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息子②

動画は十三分くらいの長さだった。僕が視聴する間、片岡も隣でスマホをいじって大人しく待っていた。動画のオープニングはまるで映画のように派手で壮大。サムネイルで見た宇宙の背景が広がる中、DNAをイメージしたと思しき螺旋構造の図形が踊り、ゼロとイチの羅列が現れて画面をびっしりと埋め尽くす。「真理への道」というタイトルが表示されると、ナレーションが流れた。プラネタリウムのナレーターのように落ち着きのある男性の声だった。

「この世界は幻だということを知っていましたか?」

ここで、ゆっくりしたテンポで、不吉さを感じさせるBGMが流れ始める。

「宇宙はいったいどうなっているのか、大昔から人類はその疑問を抱き続けてきました。そこに科学は、一つの答えを提示しました。それがビッグバン理論です。宇宙は大爆発で始まり、今も非常に高速で膨張し続けていると言います。学校でもそう習った人が多いと思います。でも何かおかしいと思いませんか? まだまだ少しですが、今まで常識だと言われて疑ってこなかったことに対し、疑問を持ち始める人が増えています。

私たちが観測できる宇宙の直径は930億光年と言われています。つまり私たちは宇宙の全体を観測することはできません。観測することができないものが実在すると言えるのでしょうか。外側には『無』しか存在しないのです。そして『無』は宇宙の始まりにも存在していたことになっています。」

この間も映像が切り替わっていき、惑星やら光線やら炎やらが、チープに美しく迫ってくる。

「ここで、『無』とは何かが問題となります。『無』は日常的に私たちが考える『無』とは異なります。物理的にあれが有るとか無いとか言うときには物体をイメージしますよね。でも何かがそこに有るとしても、そこにあるのは物質ではなく、ただの『状態』であり、あなたの意識がそれを『物体』として固定しているに過ぎないのです。実はこのお話、二千年以上も前にブッダが言っていたことと同じなのです。『色即是空』という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。あれは比喩ではなく、物質世界の不確定性を言い当てた物理的な記述でした」

映像が徐々に宇宙のイメージから僧侶や科学者や水や森林のイメージに変化していく。


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