↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/33

声のデカい男⑪

帰りの電車は、途中まで片岡と一緒になった。僕は、二人きりになると、さっきの率直すぎる片岡の感想を思い出し、

「ふつう、あんな直球で不味いとか言う?」

と言って嗤った。しかし片岡は真顔で答えた。

「いや不味いとは言ってないよ。あいつが美味いって言うから。言うほど美味くなかったよな??」

「うん、まあね」

だからそれをそのまま言うのがおかしいんだよ、と僕はひとり内心で笑った。

「で、目黒はあそこのサークル、入るの?」

「ん~」僕は、正直に迷いを見せた。「片岡は?」

「俺は入らない。もともと入ろうとは思ってなかったけど、なんていうかさ、メンツ見たら余計つまらなそうというか」

「そうだよね!」僕は、片岡の言わんとすることがすぐにピンと来て、言葉にするのをためらっていたことをつい口にした。

「あいつら、他人の目ばかり気にして自分で考えるってことがないんだよ。それでも自分は賢いと思ってるところがいけ好かない。あれでよく入試受かったなと思うけど、真面目だけが取り柄なんだな」

片岡は、ウンウンと細かくうなずいた。僕は、理解者を得られた喜びとモヤモヤを吐き出す快感に包まれた。しかし、さすがに悪口が勢い余ってしまったと思わないでもない。結論はやはり、どっちつかずになった。「と言っても活動内容には興味あるし。どうするか考え中」

片岡は、そんな僕の迷いには興味を示さず、少し暗い顔をして言った。

「あの酒強い四年の奴がな。俺のこと絶対嫌いだろうからどっちみち無理だな。もう一人とはめっちゃ仲良くなったけど」

僕は言葉が見つからず、ただ黙って聞いていた。

電車は、僕が入寮している学生寮の最寄り駅に近づいた。速度が落ちてプラットフォームに停車し、ドアが開き始めた瞬間、僕は、片岡に言っておくべきことがあるのを思い出した。

「片岡! 中国語の勉強会、絶対来た方がいいよ!」

場違いなほど強い口調になったが、その甲斐あってか、片岡は力強くうなずいた。

駅からの帰り道を一人で歩いていると、丸顔の女の丸い顔が脳裏に浮かんできた。またどこかで会えるだろうか。そんな考えが浮かびかけたところで、僕は足を速めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。