全年齢用イケメンの誇り
そいつの黒い瞳は輝きがあって、その下に見える鼻筋や唇とのバランスもかなりいい。磨けばかなりイケメンになる気配だ。
だが、イケメンであるかどうかは、エロゲーでは検討不要事項だ。
オレ達のような乙女ゲームの攻略対象のように、見目麗しく清潔であれ、節度を持った交際を行え、といった規則はない。
エロゲーの主人公は男であれば、それでいい。かなり羨ましいが、オレには全年齢用イケメンとしての矜持がある。
見つめ合っていたら、そいつは視線敗けしたらしく、視線を逸らしてしまった。
「分からない、経験ないんだよ」
と言うのだ。
「童貞の何が悪い。最初はみんな童貞だろ、誇りを持て。ユーリィがフィニッシュまで導いてくれるはずだ」
「強引に一択だって言ったのは誰だよ」
「それはオレならそうするってこと。いいじゃん、嫉妬心を煽られたユーリィに、強引に迫ってもらえば。それで、一回目は終了」
「相変わらず適当だな」
とそいつはため息をついた。
「適当、軽薄。それがオレのチャームポイントなんだよ。それにユーリィは向学心旺盛だから、試してくれると思うしな」
「なんで、それをお前が知ってるんだ?」
「オレ達はさ、ヒロインに対してだけ、全年齢なんだ。それって、逆を返せばさ」
と思わせぶりに言ってみれば、そいつは眉根を寄せる。
「だとすれば、お前達のほうがひどくないか?」
「暇なんだよ、落とされない攻略対象は、ほんとーに暇なの!今のこの瞬間にも、ミトリは誰かのルートにいるんだろ。多分、クルルスだと思うけど。暇すぎて色々開拓しているわけ」
マジカルアカデミーは死亡ルートだらけ
【マジカルアカデミー】のメインヒーローポジションの王子ティルダは、ミトリが王妃として攻略しに来ないものだから、何度何人の側室を娶ったか分からない。後継者争いの謀略に巻き込まれ、何度か暗殺されている。
知略に長けた将軍のキールは片腕になるはずのミトリがいないので、一人で隣国を滅ぼしまくり、凌辱のし放題。その後裁判にかけられ、処刑を数回繰り返していた。
可愛い後輩ポジションのドミトリーは、ミトリが仲良くしてくれないので、お姉様達との酒池肉林を楽しんでいたら、隠れていた魔界の女王につかまり、女王の僕に。
とまあ、暇な攻略対象は好き放題して、自業自得で死亡ルートを歩んでいる。
農場作ったり、女の子と遊んでたりしているだけのオレなんて、可愛いもんだと思う。
「暇だからさ、お前の仕事の協力するよ。で、お前の今の名前はなんだっけ?」
「ルーク」
「OKルーク。じゃあ、立派にユーリィを×してこい!」
「その言い方やめろ……!」




