それは、お前の仕事
「事後かつ、繰り返しの事後のうえに、救いがたいエンディングばかりの俺とは違う……」
「や、待て。なんでネガティブなんだ?」
「どうやっていいか、分からない」
といって頭を振る。
「はー?成人向けの主人公のくせになに言ってんの?初期設定値が高いらしいじゃん。女の子の方から誘ってくれるし、色々してくれると聞いてる。かなりいい身分だぞ、お前」
「初期設定値が高いんだろって、期待され過ぎてて、きつい。上手いんだろ?って」
「補正かかるって、きっと。女の子がわが察して、いいふりしてくれるよ」
「気を使わせてまで、やる意味は?失敗したら死ぬかも」
「お前のとこは、やるか死ぬか、みたいなストーリーなんだっけ?」
「ユーリィルートは失敗すれば、体液が毒になる呪いにかかって、ユーリィともども死亡」
いやだぁ、とそいつは、絶望的な声をあげる。
「わ、きついなぁ。のほほんと学園ライフ出来てるオレは、割と幸せなのかもな。暇だけど」
「どうやったらいい?誤解して怒っているユーリィをなだめるのか、そのまま強引に?まったく分からない」
「テイストに沿うなら、強引に一択だろ。キスして絡めて、胸とかアチコチ触ってー。まぁその後は好みの場所に、イン&リリース」
と簡潔に告げれば、そいつは耳まで真っ赤にしていく。
そして、顔をおさえて、
「ひどい、強姦だ」
と言う。
「はー??それがお前の仕事だ。ハッピーエンドで無双状態、ヤンデレジェノサーダー、ハーレム大魔王、絶倫強姦磨。全部、お前の仕事!」
「その仕事辞める!」
とそいつは頭を抱える。
そして、頭をわしゃわしゃとかき乱し、いやだーと叫び始めるのだ。
「無理。オレが暇で暇で暇で仕方ないのも、仕事だし。仕方ない」
攻略情報をもっていた
ミトリが攻略してくれずに暇すぎたので、学園の農場を作って永久豊作農法を見つけてみたり、龍とユニコーンの交配をして王から勲章をもらってみたり、全科目オールSランクを目指して宰相になってみたり、ヒロイン以外の学園の女の子全員とデートして一夫多妻になってみたりと可能性を広げて来た。
思えば、ユーリィとデートしてそのあとのアレコレってこともあったなぁ、と仄かに思う。
成績でオールSを目指したときに、ユーリィとは親しくなった。
意外にあの子は気が強かったなぁ、とぼんやりと思い出す。
そして、思いつくのは、オレって、全員とやってたわ(ミトリ以外)、ということだ。親友からすれば、オレの経験は攻略本みたいなもんだなぁと思うのだった。
「ユーリィのことは好きなんだろ?ルートに入ってみようと思うくらいには」
そいつはうなずいた。それなら話は単純だ。
「進むっきゃない。ユーリィのエンディングがいくつあるか知らないけど、とりあえずは進めてみろよ。まずは、ユーリィと初めての時間を過ごす!」
にわかに勢いが出たオレが言えば、トリスタンは一鳴きした。トリスタンも同意のようだ。
「知ってることは助言してやる!お前が立派にその仕事(絶倫ルート)を全うできるように手伝うよ」
暇だから。
「ありがとう、ラウリィ。いや、けど、俺」
童貞だけど、と続く。
「あ、そうなんだっけ?」
「経験なくても出来るものなのか?」
「タイトル通り、ブリリアントなら女の子たち満足するんじゃ?」
「お前の経験上は?」
「いや。繊細な問題を突くなよ。オレは全年齢なんで、爽やかに。アレがどうとかこうとか、女の子に言わせないし言わない。さらっと一瞬で終わる。そういう世界観なの」
「俺は?」
「克明に描写して、嬌声の嵐だろうよ。そして長い!」
「長い?」
「長いんだろ?成人向けの主人公の先輩に聞いたことがある」
言ってそいつの顔を見たら、なぜか見つめ合ってしまった。




