表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~  作者: 出雲大吉
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

152/154

第152話 密偵


「ちょっと待て。ミュリエル先輩は王都からナンスに向かったのか?」


 ニーナの言葉を聞いて、カルロに確認する。


「ああ。すぐに引き払って帰国するって決めたらしい」


 ホント……


「ミュリエル先輩は優秀な人って聞いていたんだがな……こんな状況で逃げだしたら密偵って自白しているようなものだぞ」

「どういうことだ?」


 カルロが首を傾げた。

 こいつもわかってないらしい。


「イラドとランスの同盟破棄はまだ発表されていない。こんな状況で逃げだす奴はイラド政府から情報提供を受けた奴だけだ」


 アホかな?

 せめて、同盟破棄の噂が広がった後なら身の危険を感じたとかいう言い訳ができる。


「確かにそうだな……ミュリエル先輩、行動力がある人なんだが、正直、バカ……というか、ドジな人だからな……」


 そうなんだ……

 そんな奴を密偵に雇ったイラドもバカだな。


「やってしまったものは仕方がない。適当な言い訳を考えるこったな」

「そうする。そこでなんだが、お前達もナンスからゲイツに脱出するなら俺達と一緒に行かないか?」


 それも一つの手だろう。


「密偵のミュリエル先輩とか?」


 マズいだろ。


「あの人は庶民だし、話が通じるからどうとでもなる。それに今はあの人も追われている立場だからそれどころではない。俺達はゲイツの南西の町のトールハイルの町に到着したらそこから東に向かい、ターリーを目指す。ミュリエル先輩はそこから飛空艇か海路でイラドに戻ることになる。だから北上するお前達とはトールハイルでお別れだ」


 ふむ……

 ミュリエル先輩もランス以上に敵国であるゲイツからはさっさと脱出したいし、問題を起こさないだろう。


「俺はミュリエル先輩のことを知ってはいるが、面識はない。本当に大丈夫か?」

「そこは俺達が説明するし、ミュリエル先輩も貴族に苦労してきた口だから大丈夫だ」


 カルロの言葉を信じるか……


「じゃあ、一緒にナンスに行くか。検問は突破できるんだろうな? イラド側だったランスはゲイツと仲が悪いから普通に検問があるぞ」


 ゲイツが今回の件を知っているのかは知らないし、裏に何があるのかは知らないが。関係性が悪いままと思っていた方がいい。


「そのために俺達がいるんだよ。ターリーはゲイツと同盟しているわけではないが、積極的な交流をしている仲の良い国なんだ。ニーナは間違いなく商人だし、買い出しなりの理由が立つ」

「ほう?」


 カルロにそう言われたのでニーナを見る。


「私は冒険者ギルドにも商人ギルドにも所属していますし、ウチの店はターリー政府から外国との商売の許可を得ているんですよ。その許可証も持っています。これで止められることはないと思います」


 確かにそれは良いかもしれない。


「兄であるカルロはともかく、俺達はどう説明するんだ?」

「私はナンスに着いたら大量の物資を購入します。その大荷物を持って検問に向かいますのでレスター先輩達はその手伝いということにします。具体的にはナンスで硝石を購入します。それとこれはトールハイルで別れるレスター先輩とエルシィには関係ないですが、トールハイルでは鉄鉱石を買います。それぞれ名産品です」


 ランスとゲイツはそれぞれ上質な硝石、鉄鉱石が採れる。

 それを買ってターリーに帰るという言い訳か。


「わかった。俺達だけで行くより、そっちに便乗した方が良さそうだ。ミュリエル先輩はカルロの恋人とかそういう理由にしとけ」


 それなら急いで王都を離れた理由もなんとかなると思う。


「良いと思います。一緒に国を出たエルシィがそうであるように第三者から見たら理解できないことをするのが男女ですから」

「私は理解できるよー」


 エルシィが異を唱えた。


「何も知らない人からしたら宮廷錬金術師という超エリートの地位を捨てるのは理解できない人も多いってことよ。でも、昔からそういうのはあるからね。最悪は逆ギレすればいいのよ。そしたら相手も突っ込まなくなる」


 エルシィが泣けばいいな。


「カルロ、そういうことだ。ナンスでミュリエル先輩と合流したらそういう感じで話せ」

「俺が説明するのか……」


 カルロはちょっと嫌そうだ。

 でも、気持ちはわかる。

 とてもではないが、『俺と恋人設定でいきましょう』なんて言いにくい。


「兄さん、恋人設定は私が提案するから」


 さすがにニーナがフォローするようだ。


「頼むわ。一瞬、役得かもって思ったが、よく考えたらきつかった」


 俺も自分からそんなことは言えないな。


「私達は普通に新婚ですから問題ありませんねー」


 エルシィが腕を組んできた。


「あれ? 私は一人?」


 ニーナが自分の顔を指差す。


「ニーナちゃんがこの商隊のリーダーだから」

「お花畑女子二人とか、嫌な商隊……」


 ミュリエル先輩は違うぞー。

 まあ、設定的にはかなりのお花畑なんだが……


 俺達が話していると、ノックの音が響いたので扉の方に向かった。


「はい?」

『お料理をお持ちしました』


 店員の声だったので扉を開ける。

 店員はワゴンを押し、テーブルまで運んでいくと、人数分の料理を並べてくれたので席についた。


「おー、すげー!」

「貴族みたい!」


 カルロとニーナは並んでいる料理を見て、目を輝かせている。


「それではごゆっくり」


 店員は一礼すると、部屋から出ていった。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~

【予約受付中】
~書籍~
~4/30発売予定~
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

~漫画~
~5/12発売予定~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
~6/8発売予定~
その子供、伝説の剣聖につき(1)
web版(カクヨムネクスト)はこちら


【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)

覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
web版はこちら

【現在連載中の作品】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
ウェンディ嘘か本当か見分けなくていいの?
店員が聞き耳立ててない? 合流までハラハラドキドキですね なんか逃亡請負人みたいな拵えになってきたなw これはこれで良き 自らの夜逃げ経験が生きる職場()
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ