表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~  作者: 出雲大吉
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

151/154

第151話 密偵


「お前らが密偵なことはわかった。それに俺達のことを黙っていてくれたことは助かった。しかし、そうなると、お前らがここにいる理由はその密偵の仕事関係か?」


 話の流れ的にこいつらがここにいる理由はそれしか考えられない。


「それが本題だ。俺達は密偵だが、さっきも言った通り、そこまで真面目にやっているわけでもないし、イラドも俺達にそこまでの期待をしているわけではないだろう。だから基本的にはエルディアで働いているし、こうやって出張ってくることなんてないんだ」


 そんな感じはするな。

 あちこちに買い付けに行くニーナはともかく、カルロは船の職人だからそう長い間、町を空けられないだろう。


「それはわかる。つまりそんなお前達がここにいるってことはランスで何かあったってことか? もしくは、北のゲイツ」


 ランスはイラドの同盟国であり、ゲイツは逆に敵国だ。

 だからどちらもイラドにとっては重要な国になる。


「何かあったのはランスの方だな。これはまだ表立って発表されていないことだが、ランスがイラドに対して、一方的な同盟破棄をしたらしい」


 は?


「ランスが?」

「そんなことありえるんですか?」


 さすがのエルシィも驚いて聞く。


「俺もそう思っている。国同士の詳しいことは俺達にはわからないが、それでもイラドとランスは衝突もなく、仲の良い国ってイメージがある」


 俺もそうだ。

 新聞を読んでいてもランスと問題が起きたことなんて書かれたことがないし、積極的な交流が行われている仲の良い国ってイメージを持っている。


「何があったんだ?」

「わからん。俺らみたいな下っ端だけじゃなく、上の方も混乱している感じだった」


 上層部も寝耳に水か。


「一番考えられるのはランスがゲイツについたってところだが」

「そんな雰囲気はないっぽいんだよな。ゲイツとランスもまあ、仲が悪いし」


 うーん……


「わかった。これは俺達が考えてもわからないことだろう。それでお前達がここにいる理由は? その調査か何かか?」


 密偵ならそうだろう。


「いや、違う。さっき言ったミュリエル先輩だ。ミュリエル先輩はこのランスの担当の密偵なんだよ。でも、あの人はイラドの人間だからちょっとマズい」


 一方的な同盟を破棄ってことは敵対の意思があると思われてもおかしくないし、下手をすると、一気に緊張状態になることもありえる。

 そんな中でイラドの密偵は危ないか。


「マズいのはわかるが、こう言ったらなんだが、それが密偵だろ。お前らだって、ターリー政府にバレたら縛り首もありえるぞ」


 密偵というのはそういうものだ。

 逆に情報を得るために拷問だって付いてくると思う。


「わかっている。でも、俺達はよほどのことがない限り、大丈夫だ。もし、イラドとターリーが緊張状態になったらその時は考えるがな」


 そこまでは付き合えないってことか。


「ミュリエル先輩は?」

「あの人もそうだと思う。でも、マズい点があって、ミュリエル先輩はランスの王都にいるんだが、あの人はイラド人であることを隠していない。普通にイラドから引っ越してきた人間ということで王都のレストランでウェイトレスをしているんだよ。しかも、政府関係者がよく利用する高級レストランだ」


 あちゃー。


「それは確かにマズいな。こんな状態では疑われてもおかしくない」


 シロでもクロ認定されそうだ。


「イラドとランスは同盟国だったし、人の出入りも多いからな……」


 カルロが首を横に振る。


「つまりお前らの仕事はミュリエル先輩の救出か?」

「そうなる。俺達は生粋のターリー人だから今回の件とはまったく関係ないからな」


 確かにイラドとランスの問題であり、ターリーは関係ないからこの兄妹が疑われることはない。


「俺達もマズいっていうのは俺達がイラドの人間だからか?」

「ああ。お前らも結構怪しいぞ。元イラドの宮廷錬金術師であり、夫婦で各地を巡りながら旅行中。悪いが、密偵の類に見える」


 確かに見えないこともないな……


「エルシィ、どう思う?」

「怪しいでしょうね。普通に考えて、宮廷錬金術師を辞めて世界を旅するってアホって思われてもおかしくないです。でも、その実態は国々を探っていると考えたらそれはそれでしっくりきます」


 ランス政府にそう思われたらマズいわけだ。

 もちろん、冒険者ギルドが身分を保証してくれるし、イラドの貴族とぶつかったと説明すれば捕まったりすることはないだろう。

 しかし、確実に足止めを食らうし、イラド側がこの情報を掴んだら刺客が来る。


「カルロ、俺達も目立つことは避けたいし、できたらランスをさっさと抜けたい」

「ああ。わかっている。だからこのことを話したんだ」


 カルロもニーナも自分達が密偵であることは話したくないことだろう。

 それでも話したのは俺達のためだ。


「具体的にはどうするんだ?」

「それをこれから話したい。お前達はここから列車を使ってゲイツに向かうんだろう?」

「ああ。今日、あの湖を見たし、明日には列車でナンスの町に向かおうと思っていた」

「ふむ……ナンスか……」


 カルロが腕を組んで考え始めた。


「兄さん、どうするの? ナンスってミュリエル先輩との合流地点よ」


 合流地点……ミュリエル先輩がナンスに来るのか。

 密偵で俺達を追っているミュリエル先輩が……

 マジかよ……

 というか、ミュリエル先輩、もう王都を離れたのかよ……

 バカ?


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~

【予約受付中】
~書籍~
~4/30発売予定~
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

~漫画~
~5/12発売予定~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)

【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)

覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
web版はこちら

【現在連載中の作品】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
ベルン国が既に永世中立国であることを祈る、ターニャ大佐がきっと(違う、そのベルンじゃない!)
基本的に国同士がそこまで仲良くないから、どうやっても疑われるな。まだ旅行できるだけマシなんだろうけど。
このタイミングで動いたら何かあっても何もなくても疑われること確定ですな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ