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第37話 小学生、護衛 〜8〜

 伝わってくる、あのときと変わらない。

 あいつの殺気、普通じゃない。

 あいつに見られてるだけで震えそうだった。


 「俺と戦おう。あのときの続きだ」


 敵がバスに一歩近づいてくる。

 俺もバスから降りようとしたときだった。


 「――なんだぁ? 5体しかいねェのかァ?」


 聞いたことのない声がした。

 そしてクアールこ隣に一人の男が現れる。


 全身から触手が生えていて、それら1本1本が意思を持っているかのように蠢いている。

 あの触手、見たことがある……。


 いや、その前に――!


 「2体の……1型クリーチャー……!」


 隣にいる花楓がつぶやく。


 そう、あいつも1型クリーチャーだ。

 放っている殺気はクアールと同じくらい。


 そしてきっとさっきの急に来た触手はあいつのものだ。

 つまり、あいつがバスを襲ったんだ。


 「クアール! 人間なら大人は全員殺せたぜェ!」

 「なッ……! 人間を殺したのか……! お前、自分がなにをしたか――!」

 「はいはい、もう説教は懲り懲りだ。人間くらい生きてても無駄なんだからいくら殺してもいいだろ!」

 「それでも――!」

 「いっつもそうだよなァ! 『人間は殺すな』って! もうお前にはうんざりだ!」


 なんだ……こいつら……。

 言ってる意味がわからない。


 『人間を殺すな』……?

 俺たちを惑わそうとしてるのか……?


 「別行動だァ! 俺はガキを連れて逃げたチビの女を追いかけるぜェ!」

 「勝手にしろ」


 触手のほうがそこから離れる。


 ヤバい、雨米が――


 「俺が行く!」


 迅斗がそう叫ぶ。

 迅斗が行くなら――!


 「させない」


 クアールがこっちに手を伸ばしてくる。


 すると、バスが煙に包まれた。


 煙の先は何も見えない。


 それを恐れてか、迅斗はその場から動かなかった。


 「相手は俺だ」


 クアールの声が響く。


 そういえばあいつのエネルギーの質、『煙』だったな……!


 「みんな、衝撃に備えて!」


 花楓が掌を前に向ける。


 俺が近くの手すりに掴むと同時に、花楓は叫んだ。


 「一世風靡(いっせいふうび)!」


 すると、バスの外に凄まじい『風』が吹き乱れた。

 『風』によって煙は消えた。


 煙は消えたけど……花楓の体力がかなり消耗されたはずだ。

 隣を見ると、息を切らしてる花楓がいた。


 あの技のエネルギーの消費量はかなり多い。

 その上、花楓は今日だけで2回も発動させたんだ。


 「花楓、大丈夫?」

 「うん……このくらいなんともないよ……」


 深く呼吸してるのに、握っている刀は震えてない。

 さすが花楓だ。


 クアールがいつ来てもいいように、俺は視線を前に戻した。

 だけど、そのときにはすでに遅かった。


 前に立っていたはずのクアールの姿が消えていたからだ。


 「俺はこっちだぞ」


 後ろから聞こえる声。

 振り向くと、バス内の後方にクアールが立っていた。


 クアールは天菜に斬りかかる。


 天菜はナイフでそれを防ぐ。


 今度は近くにいた迅斗が刀でクアールに斬りかかった。


 クアールは舌打ちをすると、その姿が煙になる。


 その煙は俺と花楓のところまで来た。


 次は俺の番だ……!


 バス内にもう生きた人間がいないことを確認してから、叫ぶ。


 「みんな出ろ!」


 この言葉を聞いて、一瞬で俺が何を意味しているかを理解した人は多分いない。

 それでもみんな俺を信じてくれた。


 すぐに、バスから出たから。


 「一世風靡(いっせいふうび)!」


 全身からエネルギーを放出する。

 すると、バスの中に竜巻のようなものな巻き起こった。


 竜巻をバスを粉々に砕く。


 俺は上空に飛ばされ、竜巻が消えた頃には近くのビルの屋上と同じ高さまで吹き飛んでいた。


 それでも煙は蔓延できたはずだ。


 それに、俺だって天菜ほどじゃないけど頭が回るときはある。


 今俺はクアールからだいぶ距離(取れてるはずだ。


 この時間利用したい。


 俺はポケットからスマホを出して、教官に電話をかける。

 教官はすぐに電話に出た。


 「教官!」

 『風月! 聞こえるか!』

 「1型クリーチャーが出現しました! 今戦闘中です!」

 『わかってる! すでに隣の街の護殺人を数人ずつ向かわせてる! それまで耐えろ!』

 「……一般人が……数人……殺されました……」

 『今は報告はいい! 戦闘に集中しろ! なんとしても、1型クリーチャーを討伐しろ!』


 教官のその言葉を最後に、電話は切れた。


 また数人ずつ派遣してくれるみたいだ、ここに護殺人を。


 あのときもそうだった。


 そして美殊と理来が来てくれた。

 そのときに理来は……。


 ……いや、ダメだ。

 今は戦いに集中しなきゃいけない。

 じゃなきゃ俺も殺される。


 理来の命を無駄にしてたまるか……!


 「――まさかあそこで技を発動するとはな」


 後ろから聞こえるあいつの声。

 俺はすぐに屋上から飛び降りた。


 そのときに背後を確認したけど、やっぱりクアールはそこにいた。


 「どこへ行く」


 クアールも飛び降りる。

 俺よりも落ちるスピードが速い。


 そして俺に斬りかかっていた。

 俺も刀でその斬撃を防ぐ。


 だけど俺のパワーのほうが弱かった。


 クアールに押されて、空中で吹き飛ぶ。

 その先はビルの窓になっていて、俺はそれを突き破って建物の中に入った。


 中はどこかのオフィスみたいで、色々な人がいた。


 俺が吹き飛んだときに書類や文房具が飛び散る。


 一般人はそんな俺を見て動けずにいる。


 「早く逃げてください! 急いで!」


 全身に広がる痛みに耐えながら叫ぶ。


 それと同時にクアールも割れた窓から室内に入ってきた。


 それを見てやっと状況を理解できたのか、一般人は逃げ惑う。

 転ぶ人もたくさんいた。


 ヤバい……誰か攻撃されるかも……!


 そう思ってたけど、それは違った。

 クアールは一般人を見て、動かなかった。


 こいつ……本当に何なんだ……!


 手に刺さったガラスの破片を抜いて、俺は立ち上がった。


 戦わなきゃ……いけないんだ……!

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