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48番のシヤ。~俺、器用貧乏なんですよ。外伝~  作者: さんまぐ
少年少女の言葉、お礼と願いと仕返し。(全7話)
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第48話 パンのお礼。

「午後はどこまでやるんだ?」

「あの子達のお礼と願いを叶えます」

話の読めないモバテは「ん?なんだそれは?」と聞く。


「脱走中に巡り合わせですがフラとライ、後はシヤと亡くなった2人を助けてくれた老夫婦がジェネシス領に居るんです。お礼をしたいと言っていたんです」


ミチトは術でヨンゴの言葉をモバテに聞かせる。

「それは大切だな」

「はい」


食後にミチトは治癒院組、騎士団組、両立組を分けながらエグゼの所の21人だけはその場に残すとフラとライ、トウテの術人間達を残して順次トウテに送って行く。粗方送ると残りをイブとライブに任せて「アプラクサスさん、長丁場ですがよろしくお願いします」と言ってアプラクサスを見る。


アプラクサスは貴い者の顔で「勿論です。お任せください」と言った。

ヨシが「ミチト君、5人のお礼は何を?」と聞いてくる。

ミチトが「出来たら小麦粉を」と言うとヨシが「後は謝礼のお金です。50ゴールドあります」と言ってお金の入った袋を渡してくる。


ミチトは困り顔で「え?シヤの記憶を見る限り渡す自信ない…」と言うとヨシはツンとした顔で「500にされたいですか?」と値段を釣り上げてきた。

あの老夫婦が金を受け取る気がしないミチトは「ええぇぇぇぇ!?」と言った後で「50で頑張ります」と肩を落とす。


ミチトはシヤとシーシー、フラとライ、それとアプラクサスを連れて直結転移術で老夫婦の家に向かう。


「アプラクサスさん、受け取って貰えるように頼みます」

「ふふふ、お任せください」


ミチトは扉を開ける前にトウテの倉庫から呼び出した小麦粉を一袋シヤに持たせる。

フラとライは不思議そうな顔で老夫婦の家を見る。


「知ってる?」

「思い出せない?」


2人でそんな話をしている時に話し声がしたからか老夫婦は「またか?」と言いながら扉を開けるとシヤ達に気付いて「お前達…」と言った。


「お爺さん!お婆さん!会えた!覚えていられたんだ!王都に着いたよ!この人が会いたかったマスターなんだよ!助けて貰えたよ!」

シヤは一気に話すと困り顔になる老人。


ミチトが話せる範囲で事情を話すと死んでしまったヨンゴとシーナの事で「不憫でならねえ」と泣き出す。


「お爺さん!俺達お礼に来たんだよ!死んだヨンゴが先に助けて貰ったファーストロットも連れてパンのお礼に小麦粉持ってお礼に行きたいって言ってたんだよ。貰ってよ!」

シヤは嬉しそうに小麦粉の袋を老婆に渡す。


「こんなに沢山?」

「だって俺たちはお爺さんとお婆さんのパンに救われたんだ!お願いだから貰ってよ!」


小麦粉の袋を強引に持たされた老人は「バカヤロウ。俺達は無関係だって言ったのに…」と言って泣く老夫婦にフラとライが前に出る。


「俺達記憶がないから覚えてないんだ」

「でも助けて貰ったって聞いたから、ありがとう」


フラとライのお礼に少し泣き止んだ老人は「オメェ達もパンを食べてこんなに美味いもんは食べた事ないって喜んだんだ」と話し始めた。


「パンの後で婆さんが持たせたポテトフライを味見してもっと美味いって喜んだんだよ。後は匿ってやろうとしたら迷惑になるからって行っちまった」

そう言ってフラとライの覚えていない出来事を話す老人。


ミチトはようやく合点の行った顔で「ポテトフライ…それか」と言うとアプラクサスが「ミチト君?」と聞く。


「フラとライは助けた日の食事で沢山の種類を食べた中でポテトフライが1番美味しいって言って名前をフラとライにしたから…」


その話の中でフラとライが一歩前に出る。


「お爺さん」

「お婆さん」


「俺がフラで」

「俺がライ」


「お婆さんのポテトフライ、覚えてなくても覚えてたみたい」

「ありがとう」


この言葉に「泣かせに来たのかよ!」と言って更に泣く老夫婦にミチトがお金を渡すと「そんなのいらねえよ!」と涙ながらに怒鳴る老人。


困り顔のミチトの代わりにアプラクサスが前に出ると「受け取ってください。これは貴方がたの貴い行いへの僅かばかりのお礼です。別に金銭が全てではありません。ただ受け取って貰わないと彼もこの子達も困ります」と貴い者の顔で言う。


「お爺さん、貰って」

「貰ってよ」

「頼むよ」


この言葉に「わかったよ」と受け取った老人はここで初めてシーシーに「んで?この嬢ちゃんは?」と聞く。


「シヤが変なことをしないか見てるの。後はシヤ以外にヨンゴとシーナの事を覚えてるのは私だけだから少しでも話を聞きたくて」

「そうか、ジジイの戯言だがよ、嬢ちゃんは幸せになれよ?あの2人を思っても気負う事はないからな?」


老人に「ありがとう」と言ったシーシーを連れてミチトは次に向かう。

老人達は食べ切れないほどの小麦粉とお金を持って見送る中ミチトは消える。

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