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第24話 シヤとミチト。

暗い中、シヤは目覚めた。

「ここは…何処だろう?」

手足は動かず身体が重い。


自身に何が起きたかを思い出すと湿ったパンを食べておかしくなった事を思い出した。


「ミチト・スティエットに会えずじまいか…。あの少女にも変な期待をさせてしまって悪い事をしたな」


「死ねばシーナとヨンゴの所に行けるのかな?あの2人はいい人間だから俺はきっと違う所だろう」

漠然とそんな事を思っているシヤの耳に「シヤ、死んじゃダメ。ヨンゴとシーナの分まで生きて」と聞こえてくる。

誰の声かは思い出せない。

だが聞き覚えはある。


「生きる?……そうだ。異論はない。俺は生きるんだ。ヨンゴとシーナの分まで生きる。諦められるか。まだ生きているなら諦められるか…」

シヤが力を込めた時、力強い声が聞こえてくる。


「1人目!無事か!?無事なら返事をするんだ!俺がわかるか!?」

なんて頼もしい声だろう。

死の不安も恐怖も消えていく。


返事をしなくては、声の主を探さねば…

シヤはそう思って目を開ける。

赤く眩しい光に目が眩みながら必死に状況を確認するシヤ。

まず見えたのは緑色。

綺麗なエメラルドグリーンの髪色。

「マスター!目が開いたよ!」


今度は左側にいるピンク色の髪色が見えた。

「顔色は良さそうです」


その声に身を乗り出して顔を覗き込んでくる男。

わかる。

この人が自分のマスターだ。


シヤは尋ねるように「…マスター?」と聞く。

ホッとした顔のマスターは「よし、そうだ!次の子を助けるからまだ横になるんだ!」と言って緑色とピンク色の髪色の女性と共に去っていく。


横で手を繋いでくれていたのはさっきまで横にいた少女と見覚えのある少女。


さっきまで居た少女は名も知らず、見覚えのある少女は名前が思い出せない。


「…ありがとう…」

「いいよ。起きたんだね。着いたよ。ミチト・スティエットの所に来たんだよ。シヤ、私の事を覚えてる?」


「…名前が思い出せない。顔は知っているんだ」

「そっか…、でも生きていたんだからいいよ。こっちの子は51番。フィフスロットの子だよ」


51番は潤む瞳で「さっきはありがとう。凄く怖かったけどあなたがいてくれたから耐えられたよ」と言うと首を横に振ったシヤが「そうか…良かったよ。俺も君を助けようと思ったから頑張れたんだ」と言って微笑んだ。



ここで全員を治したミチトがシヤ達を集めて「何か覚えてる?なんでもいいよ」と言ってくる。

シヤが周りを見るが知った顔はなく皆わからないと言う。

シーシーはそっと「今いるのはサードロットとセカンドロットばかりだから無理だよ。フィフスロットは生まれてすぐだから逆に何も知らないの。シヤが1番覚えてると思うよ。他の仲間を呼んでくるね」とシヤに告げるとシーシーはシイ達の所に行く。


シヤは手を上げて「俺、少しなら覚えてます」と言った。


「何を覚えている?教えて?」

「俺を術人間にしたのはトロイ・ウッホ。エグゼの屋敷にいた」


「トロイ…エグゼ…」

ミチトが何かを思い出すように憎しみの篭る目でトロイとエグゼの名を呼ぶ。


「俺達、トロイや代わりのマスターから離れると自分で動けたけどトロイや代わりのマスターがいると指一本動かなくて…」


シヤの言葉に緑のライブが「だから泣きながら超熱術を使っていたんだね」と言うと、それを聞いたミチトが「フラとライの兄弟分か…。くそっ」と言って怒る。


シヤはそれが気になって「フラとライ?誰ですかマスター?」と聞く。


「君たちより前にエグゼとトロイに術人間にされた子で王都まで逃げおおせた子だよ」


ここでシヤはファーストロットの事を思い出した。

絶望の中でその名を聞いて、王都を聞いて、ミチトを聞いた。


「…ファーストロット?生きていた…逃げ延びれた…」

「…そう言えばフラとライも次のロットからは安定させるってトロイが言っていたことを聞いていたな」


ミチトがファーストロットを知ってくれていて話が早いと思ったシヤは「俺達、その話を聞いた後は夜になるとその話に希望を抱いていた…。もしファーストロットが王都にたどり着いていたら助けが来てくれるって…。マスターありがとう。助けてくれてありがとう」と言う。


ミチトに会ったら礼を言おうとヨンゴとシーナと話した事を思い出したシヤは礼を言う。


会話がしっかりできるからだろう。

ミチトが「君の名前は?」と聞いてくる。


「思い出せない。エグゼの所では48番。仲間達とはシヤって呼んでた。

シーナ…47番とヨンゴ…45番と逃げたけどダメだった。大きな城が見えた所で捕まって気付いたらここに居た」


話しながらどんどん記憶が戻る。

ヨンゴを殺してしまった事、シーナを失った事。

何か大切な事をシーナから聞いたのに断片的にしか思い出せない。

その事が悲しくて泣きそうになりながら話すシヤ。


「その2人は居る?」

ミチトに聞かれたがもうヨンゴもシーナも居ない。

居るのは自分だけ。

悲しい気持ちで首を横に振るシヤ。


「ヨンゴは暴走して俺が殺した。シーナは怪我をして動けない所を奴らに連れ戻されて俺を殺しに来たから俺が殺した」




それを聞いてワナワナと震えたミチトが「許さない。許さないぞキャスパー派!エグゼ・バグ!トロイ・ウッホ!!」と言って立ち上がる。

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