恐怖! キレイに締める女
〈龍士郎てめコノヤロー! サシでヤってやるよコラ! かっ切ってやるよコノヤロー!〉
「は、母です。すみません」
「ずこおおおおおおぉぉぉおお!!」
シズカの恥ずかしげな告白に俺の腰が大きく砕けた。
「こ、これは理事長がお呼びのようだぞカタリ。すぐに理事長室に向かってみてくれ」
「呼び出しなのこれ?!」
持ち直したサリオが教えてくれたが、俺は衝撃で動けない。
〈──12・31、武道館……決着つけてやるよ〉
どこの大晦日クライマックスだよ。ボイスチェンジャーでも使ってるのか、テレビなんかでプライバシー保護の時に流れる変な音声みたいだ。
〈誰が一番か教えてやるよエ~?! 首洗って待っとけエ~?! 龍士郎てめこのやろエ~?!〉
ポンパンポンピ~ン♪ と締めてきたところで再度みんなの腰が砕けた。
「キレイに締めるな」
持ち直した俺がツッコんでおくとシズカが申し訳なさそうに苦笑い。
「じゃ、カタリン。行ってきて」
「あ、わたくしがご案内しますので」
「ぜってー行かねー!!」
会長に促されるも断固拒否だよこんなの。やはり危ないお方だったよ。俺の目に狂いは無かったよ。
「理事長もきっと君の事心配してるのよ」
「想いを汲み取れないよ!!」
淡々としたライフに俺は衝撃で固まる。
「ん、リューシロ、GO!」
「やめたまえ君ぃ! 押すんじゃない! 押さないで! 危ない人と係わっちゃだめってママが……!」
「ほら、途中まで私も一緒に行くから安心しろ」
「途中で離脱するんじゃないよ! あ、や、怖い!」
「怖くないですから、ね?」
ナツミとシズカに両サイドから腕を取られ、引きずられる様に俺は連行された。
────理事長室、か。
木製の重そうな扉の上に掲げられたプレート。まあ、普通だ。
クラシックな廊下と相まって、扉を開けたその先には英国調の装飾に囲まれる中、上品な貴婦人がティーカップを片手にスラリと立っていそうな雰囲気だが……。
俺はシズカと二人、校舎一階にある理事長室の前にいた。
ナツミは通信会議の為、道中でシズカに俺を託し、司令室へと向かった。──いやあえて言わせて頂こう! 逃げたのだよ彼女は!
「……なんだろ。またさっきの戦闘の事かな」
俺がふう、と一つ息を落とすと、シズカは「いえいえ」と小さく手を振る。
「どちらにせよ放課後あたりに呼んでくる様、言われていたんですよ。挨拶がてら、今後の事に関して何か色々、あるのでしょう」
微笑む彼女がドアをノックした。
「静です」
「失せるがいい!!」
中から威厳に満ちた女性の声が返ってきた。
──じゃ、帰ろうかシズカ。




