認めないモノを認めず──ワレ、空に立つ
空を高速で走り抜けた俺は、落ちるスピードに合わせて会長とナツミを横から滑らかにかっさらった。
それぞれを両肩に抱え、惰性で斜め下へと落ちていく俺はUM緩衝を多重展開。
みなさんご存知のように、ガラスみたいなクッションを派手な音を立てながらブチ破っていき、落下スピードを殺してやった。
そうやって俺は二人を担いだまま、膝を曲げて大地にズザザっと滑り、降り立った。
とりあえず俺とほぼ同時に飛び出してきたいくつかの人影に俺は気付いていたが、この救出劇が炸裂すると何だか素早く去っていったので、まあどうでもいい。
「──え?」
「え?」
「え、何?」
「……え?」
「え……?」
襟のインカムが「え? え?」とうるせえな。
あちらこちらで乙女達の感動詞が飛び交う中、とりあえず俺はナツミを猫みたいに地面へ降ろし、会長はそのまま横抱きへと持ち替えた。
司令室の窓をぶち破って飛び出し、そのまま無謀にも空を駆けていった総司令。
落ちていく会長の名を涙目で叫びながら手を伸ばすも、あと数歩届かず、命を賭した足場の光が砕け散った。
酷い宇宙だよ。
神様は相変わらずいなかった。
もし、全ての果てとかに、そんな方がいらっしゃるのなら────俺が殺してやるがな。
──呆然とへたりこんで俺を見上げるナツミ。俺の腕の中で気を失いかけている会長。
無茶な司令殿に特に声も掛けず、ライフルに繋いだスリングベルトをタスキがけでぶら下げた会長をお姫様抱っこしながら、俺は見えない階段を駆け上がっていくかの様にまた、空を走った。




