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拾った呪いの石がウザい~エルフとめぐる異世界逃避行~【第一部完】  作者: 麻路なぎ


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24 ゲルマーニャ王国へ

 グランデを出て十日ほど。

 徒歩と馬車を使って俺たちはゲルマーニャ王国へとたどり着いた。

 っていっても王都はまだ先、だけど。

 ゲルマーニャの国境の町、ギルス。

 国境には門があって、門番たちによる審査があった。

 大丈夫かな。

 緊張して入国の審査の列に並ぶ。

 今までいたどの町よりも人間以外の人の姿が多い気がする。

 ドワーフにエルフ、ハーフエルフっぽい人たちがいる。

 髪色も黒髪や茶髪、金髪に赤髪と様々だ。

 これなら俺、そんなに目立たないかも。

 どれくらい並んだだろうか。アレクシアさんと一緒に俺は入国の審査を受けた。

 名前と、出身、目的を書いた書類を出して、簡単な面談を行う。

 革鎧を着た兵士は、俺が出した書類と俺の顔を交互に見て、怪訝な顔をした。


「ユーキ……クラウスト。ユーキとは珍しい名前だな」


「え、あ、はい。あの、お、親がその、東方の出身で……」


 しどろもどろに答えると、兵士は納得したのか頷き答えた。


「あぁ、あっちには変な名前の奴が多いからな」


「そ、そうですね」


 ひきつった笑いを浮かべて言うと、兵士は書類にハンコを押して下半分を切り取る。

 

「よい旅を。次!」


 入国証明書を受け取り、俺たちは無事、ゲルマーニャに入国した。

 よかった。ここの兵士には俺の事、知られてないのかな?

 クロのお陰で髪の色、明るい茶色だし黒髪じゃないからバレなかっただけかもしれねえけど。

 グランデの町を出たあと、何か所かの町や村に立ち寄った。

 そこで何回か黒髪の男を探す人たちに会ったけど、幸い顔まで知られていなかったからバレることはなかった。

 昼過ぎの町。

 山から下りてくる風が心地いい。

 入国審査の時に貰って来た観光用の地図を広げると、町の上をとぶ鳥の姿や鉱山の姿が浮かび上がった。

 この町にももちろん名産の石がある。

 どんな石に出会えるか楽しみだな。

 歩いていると、パンらしき匂いが漂ってくる。

 どこからか鐘の音して、俺は懐中時計を出して時間を確認した。

 時刻は一時過ぎ。

 時間に気が付くとぐう、と腹が鳴る。


「とりあえず宿、決めないとだよね」


 辺りを見回しながら言うと、アレクシアさんが頷いた。


「そうね。二日ここで休んで、王都に行って、そこから山越えを目指しましょう。その石の事もわかるといいけど」


 アレクシアさんの言葉に、クロが怒ったような口調で言った。


『俺の事なんて放っておけよ!』


「何でだよ。ならお前、自分のこと教えろよ」


 そう俺が言うと黙るんだから、ずるいと思う。

 

「ねえその石、そんなにお喋りするの?」


「え? あぁ、うん。すっげえ喋るんだけど自分のことになると教えてくれなくて」


「ほんと不思議な石ねぇ。いったい何の目的があるのかしら?」


「目的かぁ……」


 そう思うとクロがすっげー気味の悪いものに見える。

 クロは感情の起伏が激しくって、怒るし拗ねるしすごく人間ぽい。

 だけど、その正体は未だに謎だし、クロは絶対に喋ろうとしない。

 願い事の代償って何なんだろう。


「ほんとお前、何者なんだよ」


『いいだろ、何者でも。困ってねえんだから』


 拗ねた口調で言われると納得しそうになる。

 確かに困ってねえけどさ。


「頼んでないのになんか叶えてくるし。しかもタダでだろ? それどうやってるんだよ」


 そう尋ねる俺にクロは何も答えない。

 そうかたくなになられると、こっちも意地になる。


「絶対お前の正体、掴んでやる」


『できるもんならやってみろ!』


 そう挑発してくるクロがなんか怖く感じた。



 宿に行き、念のためもし誰か俺たちを訪ねてきても誰も通さないように、お金を多めに払って頼み込んだ。

 なんか不思議そうな顔をされたけど、


「かしこまりました」


 と言って、宿の人はお金を受け取った。

 とりあえずこれで安全に過ごせるかな。

 泊まるたびにお金を多めに払ってきたから、すっげー金、減ってきた。

 その分、石拾っては売って稼いではいるけれど、目立つことしたくないから高い石、避けてるし。だからまとまった金は手に入れていない。

 まじで厄介だ。

 風景見て、石拾って、スタンプうめて地図集めて静かな旅を楽しみたいのに。

 とりあえず東側に逃げるまでは安心できない。

 だから今日も俺たちは石探しだ。

 今日は休みなのか、石が拾える場所に行くと子供の姿が多かった。


「この石きれー!」


 と、目を輝かせる子供の姿が目に付く。


「ねえねえ、こっちも綺麗だよ!」


 子供たち、すげえ楽しそうだ。

 なんか東屋があるし出店もあって、談笑しているカップルらしき男女の姿もある。

 あぁ、のどかだなぁ。

 俺、スローライフ送りたい。

 スローライフがどんな生活なのか想像できないけど。

 石を探していると、子供たちが集まってくる。


「ねえねえ、お姉ちゃん、エルフ?」


「えぇ、そうよ」


 手を止めて、アレクシアさんが答えて微笑む。

 何歳くらいだろう、十歳いってるかいってないかくらいの子供たちが、目を輝かせてアレクシアさんを見つめていた。


「うわぁ、すげー。エルフ初めて見た!」


「お姉ちゃんかわいいー!」


「あら、ありがとう」


 まんざらでもない様子でアレクシアさんが答える。

 可愛いって言われて嫌な気はしないもんな。

 その様子を横目で見ながら石を探す。

 ここでも俺の力は発揮されて、強い光や弱い光の石を見つけることができた。

 でも目立ちたくないからほどほどの石を集める。

 何となく相場がわかってきたけど、俺がほどほどって思う石はだいたい五十デューカ前後だ。たぶん五千円くらいかな。

 それだけあれば二晩宿に泊まれる。

 五十デューカが目立たず、ほどほどの金額を稼げるちょうどいい石だった。

 なんとか十個くらい石を集めた頃、すっかり子供たちと仲良くなったらしいアレクシアさんが声をかけてきた。


「ねえユーキ。この子たちが面白いもの見せてくれるって! 一緒に行きましょう?」


 と言ってくる。

 面白い物?


「なんですか、それ」


 すると子供たちは顔を見合わせてくすくす、と笑う。


「あのね、内緒なの! でもすっごいの!」


 そうひとりの子が言うけど、うん、何にもわかんない。

 でも興味はあるから、俺はアレクシアさんと一緒に子供たちが言う、面白い物を見に行くことにした。

 


 

 

 

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