↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拾った呪いの石がウザい~エルフとめぐる異世界逃避行~【第一部完】  作者: 麻路なぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
22/37

22 これからのこと

 宿に帰って、俺とアレクシアさんは今後のことを相談した。

 宿の人に大陸の地図を借りたけど、まじで大陸を分断するように、北から南にかけて大きな山脈が連なっている。


「すげえ……」


「山越えができないことはないけど、前に言ったように、山の中にはモンスターがいることがあるのよねー」


「あぁ……そうなんですね。モンスターって危険なの?」


「私もそんなに見たことはないんだけど。山奥の深いところにいるらしいの。しかも人に討伐されることなく生き残っているものだからねぇ」


 そしてアレクシアさんは苦笑を浮かべる。


「けっこう危険だって聞くわよ」


「マジかよ……」


 そうか。人に狩られることなく生き残っているってことは、それだけ強かったり危険だったりするって事か。

 それはそれで嫌だなぁ。

 俺、戦えないし。

 そう思うと山越えは躊躇してしまう。 


「だから皆、西と東の行き来には海路を使うのよ。山は海よりもずっと危ない目に遭うかもしれないから」


 そうなんだ。

 でも、待てよ?


「でもそれだと、海路を使うと思われて港、見張られたりとかするんじゃ……」


 そんな俺の呟きに、重い沈黙が流れてしまう。

 アレクシアさんと俺は顔を見合わせそして、地図に目を落とした。


「そうねえ。その可能性を考えると、山を越える方がいいかも。山道ならいくつか候補があるし。危険度で考えたらどの道も差はないんじゃないかしら。ただ問題は、ユーキの黒髪が目立つ事よね」


 そう言われると痛い。

 

「髪の色なんてかえらんねえし」


『髪の色変えたいって? 任せろ!』


 そんな、クロの調子に乗った声がしたかと思うと、まばゆい光が辺りを包む。


「え、な、なにこの光……」


 驚いた、いや、ちょっと怯えたようなアレクシアさんの声。

 たぶんクロの仕業だ。でも何が起きてるのか全然分かんない。

 視界が見えないって怖い。

 どうしようもなくただ怯えていると、光はすぐに収まって、アレクシアさんが驚いた顔で俺を見つめて指をさす。


「え、あ……ユーキ、その髪……」


 震えた声で言われて、俺は自分の頭に触れる。


「か、髪が、何?」


 俺は辺りを見回して、壁にかかっている丸い鏡の存在を思い出し、立ち上がってその前に立つ。

 そこにいたのは、明るい茶色の髪をした俺だった。

 俺は慌てて、自分の髪をくしゃり、と掴む。

 痛い。ちゃんと俺の髪だ。


「な、な、な……」


『へへー。俺にかかればこれくらいぱぱっとできるんだぜー?』


 そうどやっとした声で言うクロ。

 ちょっと待て。

 俺はクロを掴んで声を上げた。


「何勝手なことしてるんだよ? 俺は願ってなんていねえぞ!」


 どうしよう。これで代償とられたら……

 なんだかわからない代償だ。こんなことで命とられるとか嫌だぞ俺。

 するとクロは青っぽく光って焦った声で答えた。


『ちょ……だ、代償はねえよ! だってこれは俺が勝手にやったことだからな! それくらい俺にできるって事だっての!』


 そう言われても、にわかに信じられない。

 いや、でも。前に懐中時計を出した時も代償、求められなかったな……

 そのことを思い出して、俺はクロから手を離す。


「わかった。信じる」


『なんで怒るんだよ……せっかく髪色変えてやったのに』


 青く光りながら拗ねた口調で言うクロ。

 なんか悪いことしたようで、ちょっときまずい。

 いや、でも。


「なあクロ。髪色変えてくれたのは感謝するけどさ、その前になんか俺に相談してくれよ」


『え? あ、そ、相談?』


 黒は驚いたような声で言う。

 そんな驚く事か? 不思議に思いつつ、俺は言葉を続けた。


「相談。いきなり力使われてもビビるからさ」


『そ、そうなの? 今までの持ち主は喜んでたからてっきり嬉しいのかと……』


 しどろもどろになるクロ。

 そうなのか? いきなりなんかされたらみんな驚くんじゃねえのかな。

 

「俺は嬉しくないの。代償も分かんねえのに、いきなり奇跡起こされても困るんだよ」


 するとクロは黙り込み、そして、オレンジ色っぽく光りながら言った。


『わかったよ。今度からは相談する』


 その答えに俺は頷き、


「そうしてくれよ」


 と、答えた。

 その様子を黙って見ていたアレクシアさんが、怪訝そうな声を上げる。


「本当にその石、喋るのね。私には何にも聞こえないけど、ユーキが喋った後、なんか嫌な魔力感じるし」


 そして小さく身震いする。

 嫌な魔力。俺にはよくわからないけど、クロ、そんな悪い石なのかな。クロとやり取りしてるとそうは思えない。

 

「アレクシアさん、この石、なんか嫌だって言ってましたもんね」


「えぇ。喋る石って、謎すぎるし。王都や他の国で何かわかるといいけれど」


 確かに。

 俺にはクロのこと、何にもわからない。そもそもクロが喋ろうとしないっていうのもあるけど。

 願い事の代償、なんなんだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。