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拾った呪いの石がウザい~エルフとめぐる異世界逃避行~【第一部完】  作者: 麻路なぎ


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20/37

20 目立ちたくねえよ

 旅をするには金がかかる。

 だから町に寄ったら石を拾って、小銭を稼ぐ。

 地味だけど、大した危険はないし一攫千金も夢じゃない。

 俺は大金が欲しいわけじゃない。旅ができるだけのお金が得られればいいんだけど。

 俺は町の人たちに混じって、川原を歩いて石を探す。

 辺りを見回すと、やっぱり光って見える場所がある。

 その光の強さは場所によって違っていて、強く光っている所がわずかだけどある。

 町の人たちはこの光が見えていないみたいで、なんか的外れなところ、捜してる。


「ほんとに皆には見えねーんだな……この光」

 

 試しに町の人をよく見てみると、持っている袋とか、首元とかが光って見えた。

 今のところ、石の価値がなんとなくわかるだけで他に何かわかるのかっていうのはないんだよな。

 まえにアレクシアさんと一緒にこの魔法の目について調べたけど、これといって何もわからなかった。


「王都に行けば、詳しい人がいるんじゃないかしら?」


 ってことで、とにかく王都を目指すってなったきりだ。

 俺は大きく息をつく。

 

「今のままじゃ、アレクシアさんに守られるだけだもんなぁ……」


 なんか戦う力とか俺、持ってねえのかな。

 この目、金もうけにはなるけど戦う事はできねーし、今のところこの目のせいでなんかトラブルに巻き込まれるし。

 俺は光っている所を目指して歩き、ひとり呟く。


「まさか速攻で俺の姿見つけて、声かけてくるとは思わなかったな」


 そこで俺はハッとして、町の方を振り返る。

 町について宿に入っただけで俺、動き回ってもいなかったのに。なんであのスターダスト協会のひとはすぐに俺を訪ねてきたんだ?

 それってつまり。


「もしかして俺の事、組織の中で共有されて見つけたら教えろとかになってるって、こと?」


 そう呟いて、思わず身震いしてしまう。

 俺の見た目、目立つからすぐわかっちゃうもんな。帽子かぶってたってのに。

 もしかしたら宿に手を回されていたとか?

 もしそうだったらやばすぎるだろ。

 そこまでして俺の能力欲しいもんなのか?


『お前、自分の能力わかってねーな』


 不思議そうな声で言うクロに、俺は思わず目を向ける。

 

「どういうことだよ」


『だってお前、石見て偽物かとかわかるわけだろ? 宝石の鑑定なんてすぐできるもんじゃねえんだよ。価値あるやつは偽物も出回るし、偽物だってすっげー見分けにくいやつもある。お前は一瞬でそれが出来ちゃうわけだろ? そんな能力あるやつ、超欲しいだろ。偽物つかまされなくて済むし。お前の目を使って、偽物の特徴や本物の特徴を見分けることも可能なんだから』


「う、あ……え?」


 俺が思ってもみなかったことをクロに言われ、変な声が出てしまう。

 俺はゆっくりと、自分の目元に触れる。

 そんな価値、俺の目にあるのかよ?

 そう思うとなんかぞっとするんだけど。

 俺はできれば大人しく生きたいのに。せっかく異世界に来たんだ。この世界を満喫したい。

 俺は首を横に振り、


「俺は普通に生きたいの」


 と、強い口調でクロに向かって言った。

 すると、クロは青っぽく光る。


『お前、夢とか希望とかないわけ? 金欲しいとか、えらくなりたいとか』


「俺は、アレクシアさんと旅して、色んな石見つけて、旅の地図集めたいの。世界を見たいの。ちゃんと夢あるっての」


 言いながら俺は、川原のある場所に近づいてそして、石をひっくり返した。

 まあまあな光を放つ石が、そこにある。

 あんまり高そうな石を見つけないようにしよう。

 これ以上、俺、目立ちたくねえんだよ。

 普通に、のんびり生きたいんだ、俺は。

 そう思って俺は無難な、そこそこの石を探してアレクシアさんに頼んでスターダスト協会にその石を売りに行ってもらった。

 スターダスト協会以外にもこういう石の買取をしている組織はあるらしい。でも各町、各村レベルまで網羅しているのはスターダスト協会だけだそうだ。

 石を売り払った後、俺とアレクシアさんは飯を食いに料理屋に入る。

 そこでも俺は絶対に帽子をとらない。

 だって、見つかりたくねえし。

 注文を済ませたあと、俺はアレクシアさんに尋ねた。


「スターダスト協会ってまじすげーんですね」


 すると、アレクシアさんは大きく頷く。


「そうね。一番大きな石の鑑定協会だからねー。どこに行ってもあるって強いわよね」


 そしてアレクシアさんは、お茶をグイって飲む。

 すると、近くの席に座る男性が、ガン、と勢いよくカップをテーブルに置き、憎々しげな声を上げた。


「あいつらマジやべえけどな」


 俺はびくっとして、その男性を見る。

 年齢はたぶん、四十過ぎくらい、だろうか。

 飲んでいるのはお酒じゃなくって俺たちみたいなお茶、だろう。

 なんかお酒飲んでいる雰囲気、醸し出しているけど。

 俺は、びくつきながらも男性に尋ねた。


「や、やばいって……何かあるんですか?」


 すると男性は、眉をぴくり、と動かして、眉間にしわを寄せて信じれらない物を見る目を俺に向けてくる。


「お前知らねえのかよ? スターダスト協会って言ったら、欲しい石を強引に奪ったり、鉱山をだまし取ったりしてるって有名じゃねえか」


 その言葉に、店内の客たちの目が一斉に男性へと向けられる。

 妙に静まり返る店内に俺は驚いて、おろおろしながら辺りを見回した。

 

 

 

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