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拾った呪いの石がウザい~エルフとめぐる異世界逃避行~【第一部完】  作者: 麻路なぎ


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19/37

19 どうしよう

 これ、テストだったんだ。

 俺の目が本物かどうかっていう。

 そう気がついたときには遅かった。

 男の笑顔がすげー怖い。

 俺は冷や汗をかきながら首を横に振った。


「た、た、たまたまですよ」


「たまたまはないでしょう。これはルビーとしては本物です。ですが、人が手を加えてスタールビーに見せかけた偽物なのですよ。貴方はそれをひと目見ただけで見抜いた。うちの会長が貴方の目を欲しがっています。ぜひ、スターダスト協会で働き……」


「無理です、失礼します」


 被せるように言って、俺は室内に戻ってバタン、と扉を閉めた。

 どうしよう、心臓が痛い。

 これ、まずいことになるんじゃあ。

 そんな俺の懸念は当たっていた。

 翌日。

 朝から俺の所に来客があった。

 どこかの貴族や商人の使いを名乗る人たちが俺の部屋を訪れて、


「うちで働きませんか?」


 と、声をかけてくる。

 さすがにこれじゃあ出かけられないし、平穏な生活を送れない。

 ここには数日滞在しようって思っていたのにどうしよう……

 隙を見て俺はアレクシアさんの所に行って、この困った状況を相談した。


「そうねえ、とりあえず宿を移動、しましょうか? 後できることは何かしら?」


 言いながらアレクシアさんは頬に手を当てて首を傾げた。

 宿を移動しても、この容貌だしすぐばれるよな……

 ってなるとこの町に長居、できねえよな。

 明日にはさっさと旅立つしかないか。

 アレクシアさんの部屋で話していると、廊下で話し声が聞こえてくる。


「あれ、部屋にいないようですね」


 この声は宿の人だ。また、俺に来客がきたんだろう。

 もう、嫌なんだけど?

 なんで放っておいてくれないんだよ。石の価値がわかるってそんなに貴重? なんでそんな欲しがるやつがいるのか訳分かんねえよ。

 困惑する俺に、アレクシアさんが声を潜める。


「結局、宿の人が案内しちゃうのね」


『なら宿の奴らに金、握らせればいいだろ? お前金、あるんだから』


 そう言ったのはクロだった。

 俺は視線を下に向けてクロを見て、


「あぁ、そうか。その手があったか。でもいくら渡せば?」


『そうだなぁ……銀貨一枚あれば充分だろ』


 銀貨一枚かぁ。結構な額じゃねえかな。

 ここに来るまでに石拾いで稼いだとはいえ、毎回それ払っていたらきつい。

 この町で石拾いしたかったのに。

 そう思っているとアレクシアさんが心配した様子で声をかけてくる。


「ねえ、ユーキ。前から気になっていたんだけど、その石と喋ってる、わよね?」


「え? あ……」


 俺はアレクシアさんの顔とクロを交互に見る。

 これ、話してもいいんかな。

 でも隠しても仕方ねえよな。アレクシアさんは旅の仲間なんだから。

 俺はアレクシアさんの顔を見つめて言った。


「うん、そうなんです。あの、俺にしか聞こえないんだけど、こいつ俺に話しかけてきて」


 そして俺は、クロが願い事を叶えろと話しかけてくることと、宿の人に金を握らせろと提案されたことを伝える。

 するとアレクシアさんは、あー、と呻って複雑な顔になる。


「確かにお金を握らせるのはよさそうね。それはそれとしてその石のことも気にはなるけれど。あんまりいい気配がしないし。しかも持ち主にだけ話しかけてくるなんて嫌な感じね」


 そう、アレクシアさんが警戒した声で言うと、クロが悪態をつく。


『けっ! エルフ風情が俺に怪しいとか嫌な感じとか。たかだか百年程度しか生きてねーくせに!』


 それ、自慢することなのか?

 石だからめちゃくちゃ人生、長そうだけど、生き物と無生物で比べるもんじゃないと思う。

 とりあえずクロの謎マウントは無視して、俺は金を握りしめてアレクシアさんの部屋を出た。



 宿の人に金を握らせて、俺たちは宿を変えた。

 とりあえずこれでしばらくはスターダスト協会の人と会わないで済むかなぁ。

 ちょっと心配だけど、とりあえず金、稼がないと。

 だから俺たちは石を探すために外に出た。

 もちろん俺は目深に帽子を被って。

 アレクシアさんもエルフで目立つから、フードを被ってもらった。

 ここまでの旅路でわかったけど、エルフ、ほとんど見かけない。

 そして俺の黒髪。組み合わせたら珍しさが爆上がりだって気がついたんだ。

 俺たちは宿で貰った町のマップを片手に、町はずれへと向かう。

 石拾いをするためだ。

 ホープ晶石は特定の場所でしか採れないらしく、採掘場所には近づけないらしい。

 だから俺たちは、トパーズを探すために川を目指す。

 基本的に、川や海岸での石拾いは認められているけれど、道具を使って山で採掘、っていうのは禁止されているそうだ。


「山崩れとか、自然に影響があるからね。山を勝手に掘るのは絶対にだめなのよ」


 と、アレクシアさんが教えてくれた。

 にしてもだよ。


「川であんなに石が拾えるって知らなかったよ」


 そう俺が言うと、アレクシアさんはあからさまに驚いた顔をする。


「あらそうなの? ユーキって不思議よね。ストーニア大陸じゃあ、どこの国でも町でも石拾いでお金稼ぐの、普通なのに」


 そう言われると、俺は笑って誤魔化すしかできない。


「あはははは……えーと、ここで一番拾えるのがトパーズなんだっけ」


 言いながら俺は、石の本に書かれていたトパーズの説明を思い出す。

 青とか白とかいろんな色があって、特に赤系の色が希少らしい。

 赤いやつは産地が限られているとか。

 俺は通りの向こうを見つめる。

 トパーズってどんな石なのか、すっげー楽しみだな。

 

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