自己理解をするために、まずはこの世界の神術とらやの素質を知る必要があるみたいです。
「ルナ! おはよう。昨夜はよく眠れたかい?」
眩いほどの笑顔で駆け寄ってきたのは、あの日サンルームで私をトキシックから庇ってくれた、お兄様だった。
朝の光が差し込む広い食卓には、温かい料理がずらりと並んでいる。
「おはようございます、お兄様。」
私は心からの純粋な笑みを浮かべて、兄の挨拶に応えるのだった。
このまま何事もない平坦な日々が続けはいいのに――。
食堂には、父、母、兄家族全員がいた。
「おはようございます。お父様、お母様」
「おはようルナ」
「おはよう。良い朝ね」
メイドに促されて 席に着く。
今日の朝ごはんもまた豪華。
今日は牛肉を食べることにした。
席に座って、ご飯を待っていると、お父様に話しかけられた。
「ルナ、君に伝えなくてはいけないことがある」
え?なんだろう。
「はい、なんでしょうか?」
「三年後、君が十三歳になった時、学園に通って貰いたいんだ」
学園…?
「それにあたって、それまでの三年間を、神術を使えるようにするための特訓の期間にしたいと考えている」
「わ、わかりました……」
お母様が、お父様に続けるように言う
「それでねルナ、あなたに神術を教えてくださる家庭教師の方を決めたいのだけれど……、何か要望はありるかしら?」
「要望……。そうですね、ええっと、リヴァイア様の恩恵を受けている女性の方が良いです。」
「ええ、わかったわ。」
そしてお兄様も口を開いた。
「ルナ、僕からも伝えたいことがあるんだ」
え?報告ラッシュ?なんだろう。
「この夏が終わったら僕は18歳まで学園に通うことになっている。主に社交のために。」
「そうなんですね」
「だから、夏季休暇などの暇以外はルナに会うことが難しくなるんだ。」
「それはつまり、寮で生活なされるということでしょうか?」
「そういうことだね。」
じゃあしばらくは我が家にお父様、お母様、私の三人か……。
というか、神術とやらを使えるようにするために家庭教師を呼ぶってことはかなりガチでやりそうだよな。
覚悟せねば……。
――翌朝。
いつものように朝ご飯のクロワッサンを食していた。
「おはようございますルナ様。本日のご予定をお伝え致します」
ノクターン公爵家のすべてを取り仕切る初老の執事がやってきた。
今日もお勉強に、ヴァイオリンのお稽古なのだろう。
「本日は、この後直ぐに、家庭教師の方がいらっしゃいますので、本日は神術のお稽古をしていただきます」
え?もう早速?昨日あの後、家庭教師の人を即決したのかな。
「家庭教師の先生は、『本日は初めてということで一日中お稽古になりますので、気を引き締めてくださいな』と仰られていましたよ。」
「そう。予定の報告ありがとう。」
「お食事を済ませ次第、メイドがルナ様をお連れしますので、よろしくお願いいたします」
「ええ、わかったわ」
「それでは失礼いたします」
執事が食堂を後にする。
――神術。一体どういうものなのだろう。
直接見たことがないからどんなものなのか分からないな。
やっぱり魔法みたいなもの?……気になる。
「ご馳走様でした」
食事をしながら色々考えたがよくわからなかった。
まあ、実際見た方が早いだろう。
「ルナ様、家庭教師の方が到着したそうなので、ご案内いたしますね。」
「ええ、お願い」
塵一つ見当たらない長い廊下を歩くいて、庭に出た。
庭の開けた土地に着いた。
「ルナ様、ここが訓練所として使用されている場所です。ルナ様は今後、ここで神術のお稽古をされる予定でございます」
「そうなのね」
広い。テニスコート二面分はありそうだ。
どれだけでかいんだよこの家……。
そう思っていたら、後ろから声が聞こえた。
「あなたがルナ様でいらっしゃいますか?」
…まさかこの声の主が家庭教師?
振り返ると、そこには二十歳程の女性がいた。金髪に青い目が綺麗な人。
「初めまして、今日から家庭教師をつとめさせていただきます、アクア・ドゥクトールと申します。アクアと呼んでください」
簡潔に自己紹介してふわっと微笑んだ。
「ルナ・フォン・ノクターンです。本日からよろしくお願いします!」
「早速ですが……、敬語はやめにしませんか?」
ふわふわしてる。でも至って真剣そうな眼差しだ。
たしかに、これから約3年の付き合いになるのだ。
ずっと敬語のままは堅苦しいし、やりにくいのかもしれない。
「ええ、大丈夫ですよ。気軽に、ルナとお呼びください!」
「ほんと!ルナ、よろしくね!!」
食い気味に返答された。
ふわふわしてるけどエネルギッシュなのかもしれない。
「じゃあじゃあ、基礎教養から行きましょうか!」
訓練所の近くにひっそりと佇む、円柱だけで屋根を支えている円形の建物といえば良いのだろうか、そんなところで話し始めた。
「――まず、基礎四神は知っているよね?
水を司るリヴァイア様、火を司るフェニックス様、風を司るガルーダ様、地を司るベヒモス様、この四神を私たちは『基礎四神』と称しているわ。」
「うんうん」
「私たちが生まれる時、誰しもこの四神のうちの一神から恩恵にあずかるの。……まあ、たまに二神から恩恵を授かる人もいるけれどね」
「へぇ!」
「そして大切なのはここから、」
アクアが少し真剣な眼差しになる。
「ルナのお兄様は氷術が得意でしょう?」
「氷……術?」
「簡単に言えば氷の力ね。」
「ああ!前にお兄様が言ってた…!」
「あと炎の力の炎術、地の力の地術……と色々あるわ。それを総じて私たちは神術と呼ぶわ」
「へぇ、それが神術……。」
「それでね、恩恵を授かっていても、全員が神術を使えるわけではないの。発動の可否や威力は、本人の肉体・魂の資質に左右されるのよ。」
「え、そうなんだ!」
でも、よくよく考えればそうだよな。
みんながみんな、神術を使えたら大変なことになりそう。
「その肉体、魂の素質として挙げられるのが神脈と神気ね。
神脈は、体内を流れる、神の力を通すための見えない血管と言うのがわかりやすいかしら。
神脈が太いほど強大な力を引き出せるわ。」
「ほうほう……」
「次に神気、神脈の中を流れる、天神由来の聖なるエネルギーそのものよ。
この神気を練り上げることで、氷や炎などの現象を引き起こすの。
個人差はあるけれど、神脈が太ければ必然的に流れる神気の量も多くなるものよ。」
「へぇ!私は神脈が太いのかな……?」
「そう、今日はそれを調べるのよ」
「え、調べられるの?」
「ええ、調べられるわ」
アクアがにやっと微笑んだ。
一体どれくらい神脈が太いのだろうか。
アクアが鞄をガサゴソしている
手に持っているのは簡易的な機械のようなものだった。
「基本的に、この測定器を使うのよ。神脈の太さ、神気の量、なんの神術を使えるのかを測定するわ。」
「へぇ、万能。」
「測定器のここに触れて。」
金属っぽいところに触れる。すごい冷たい。
「目を瞑って、体内に神脈が張り巡らされていて、その中に神気が流れ続けているのを感じて。きっと手が温かくなってくるわ。」
……え?むずくね?世の中の人これ感じられちゃうわけ?
「……ん?……んん?」
「んふふ、難しいわよね。ゆっくりでいいわよ。」
「流れてる……体全体に……」
あ、なんか手がじわじわ温かい。なんか手がむずむずする痒い。
「あ、手が痒くなってきた?そしたら、溜まった温かさがこの測定器に、流れるのを想像してみて。」
……難しい。流れる?水みたいな感じ?
「あ、神気がちゃんと流れてるわ。その調子よ。」
「んむむ……。」
「えぇ……?」
「ん?」
目をちらっと開く。
アクアがすごいニヤニヤしている。
「……もう離していいわよ。」
パッと離した。手がどんどん元のの体温にもどる。
「えええっ?すご、すごい、すごい!見間違えてない!」
「何が……?」
「何を食べたらこうなるのよ!ルナ、あなた――」
第8話をお読みいただき、ありがとうございました!
2026/10/25の17:40頃に第9話投稿します!
なんだかルナの素質が分かりそうなところで終わった8話ですが、一体測定器は何を示したのでしょうか。
少しでも
「おもしろい!」
「主人公の神術の素質気になる」
と思っていただけたら、
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ぜひ、ルナのこれからを見届けてあげてください!




