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優雅な朝食を満喫していたら、名前からして有害な害虫が湧いて萎えました。

3話目です!ぜひ楽しんでいってください!

あのナメたメイドを教育した翌朝、騒々しいアラームの音は聞こえなかった。


私が憑依する前にルナが指名していた、別の側付きのメイドによって起こされた私は、


「やっぱり、ガチで転生したんだ。」


と、改めて実感した。

高級そうなドレスに身を包み、身だしなみを整えてもらう。その間も、この世界の大まかなことを知りたくて、ルナの記憶の引き出しを漁り続けた。


準備を完璧に終えた私は、食堂へと誘導される。

そこは、転生前の私の家が三つは余裕で入りそうな、とてつもない広さの食堂だった。


ひとりで朝食を取るには、あまりに寂しさを感じるほどの空間。しかし、驚愕はそれだけでは終わらない。


普段、朝に食べていたバターたっぷりのトーストとは比にならないくらい、美しい見た目の朝食。そして、ものすごく食欲をそそる匂いが立ち込めていた。


ジビエ料理に、魚料理……。

メイン料理だけでも四品ほど並んでいる。


その中から、極厚で肉汁が溢れ出そうなベーコンと、特製ソーセージを選んだ。


さらに、ツヤツヤで、一口食べればサクッとふんわりバターの味が広がりそうなクロワッサン。

昨日のナメたメイドが持ってきた怪しい液体とは違う、深い琥珀色のオニオンスープ。


これが、今日の私の朝食だ。


正直信じられないけれど、食べたいという欲に忠実な私は、あらかじめルナの記憶から得た「いただきます」を形だけ真似、前世の親に嫌というほど叩き込まれたテーブルマナーで、優雅に食べ進めていった。


食事と並行して、ルナの記憶の整理を終わらせる。

分かったことは、主に四つ。


一つ、ここが『ルミナリア帝国』という、魔法的なのと貴族が支配するガチのファンタジー世界であること。


二つ、私の家(ルナの実家)が、その帝国の中でもトップクラスに由緒ある『ノクターン公爵家』であること。


三つ、この世界には『基礎四神』というシステムがあること。

とにかく覚えるのが大変そうだ。ここはサラッと自己解釈といこう。


――基礎四神ってのは、生まれながらに遺伝するようにして繋がっていく、恩恵をくれる神みたいなもの。

どうやら、この世界の全人類は恩恵を受けているらしい。恩恵を受けないと生まれてこれないのかもしれない。

魔法?を使う上で、その神が象徴するもので属性が分かるから、かなり大事なやつみたいだ。


【基礎四神・一神目】東の蒼天神:リヴァイア。

水や氷を象徴している。力の循環、冷静沈着、治癒、精神を司る神らしい。


ちなみに、このノクターン家は代々、リヴァイア様の恩恵を受けた人間だけの血筋で繋がれてきた家系らしい。

だからお母様とお父様は、リヴァイア様の慈愛だの恩恵だの言ってたんだなー。


【二神目】西の朱天神:フェニクス。

炎や熱を象徴している。生命の躍動、破壊と再生、情熱を司る神らしい。


これ、絶対に我がノクターン家と相性が悪いやつだわ。


【三神目】南の翠天神:ガルーダ。

嵐や風を象徴しているっぽい。不可視の刃、速度、天候の操作、自由を司る神らしい。


自由を司るな。こっちにも少しは分けろや。


【最後・四神目】北の玄天神:ベヒモス。

大地や重力を象徴している。絶対の防御、質量、磁場、結界を司る神らしい。


絶対の防御はずるいと思う。チートじゃん。


とまあ、四神いるわけだ。細かいことはまたいつか調べよう。


最後に、四つ目。

ここに来て、手放しで「勝ち組」とは言えない不穏な事実が発覚した。


ルナが九年間、この広い屋敷で完全に「箱入り娘」として育てられ、外の世界を一切知らないということ。

そして、ノクターン公爵家次期当主であるお兄様には婚約がほぼ確定しているということだ。


つまり、何が言いたいかというと、


「ノクターン家の跡継ぎは、既にどうにかなっちゃったようなものだから、もしかしたら、私はノクターン家を抑えたい王家に拾われて、王太子妃になってしまう可能性はふつうにある。

となると、王家側が申し出でもしてきたら終わり(チェックメイト)。

そうなれば、毎日、働き続けなければならない、バッドエンドまっしぐら。」


ということ。


……まあ、めんどくさい事を考えるのは嫌いなので、一旦現実逃避で強気になろう。


「私の幸せを邪魔する害虫がいるなら――今度も綺麗に駆除するだけだしね。」


上品にスープを口に運びながら、私は心の中で、おしとやかに微笑んでいた。――その時。


コト、と静かに靴音が響き、一人の初老の男が姿を現した。

ノクターン公爵家のすべてを取り仕切る執事だ。


「ルナお嬢様、朝食中、恐れ入ります。本日のこれからの予定なのですが……」


「予定? 私に何かあったかしら?」


記憶の中のルナを完璧にトレースし、首を小さく傾げてみせる。

執事は一瞬だけ目線を泳がせ、言いにくそうに口を開いた。


「はい。これより、ポイズン侯爵家からのご招待を受けていただきたく存じます。……あちらには、お嬢様の『婚約者候補』であられる御嫡男、トキシック様も、同席するとのことです。そして、トキシック様も『ぜひお越しいただきたい』と熱望されているようでございます。」


……は?


婚約者、候補?


しかも、親が毒(ポイズン)で、息子の名前が有害(トキシック)?

名前からしてろくな奴じゃない、ただの害虫なのが丸わかりなやつだ。


というか、さっき記憶を漁った限り、ルナは九年間ずっと箱入り娘だったはずだ。

それがなぜ、今日このタイミングで急に外の、しかも婚約者候補なんてものに引き合わされるのだろう?

その問いに答えるかのように、さっきの王太子妃ルートが頭をよぎる。


「あー、まじでないわー。」


心の底からそう思った。

私の、この幸せな引きこもり生活を脅かす害虫の羽音が、すぐ近くまで聞こえてきた気がした。

第3話を読んでいただき、ありがとうございました!


第4話、投稿済みですので、良ければ読んでみてください!


異世界転生を果たして早々に、やばそうな侯爵家の嫡男との婚約が進んでしまいそう……。

破談して、王太子妃ルートも有り得てしまうのでは……?

それとも他に良い案があるの……?


という不安なところで、今回はおしまいです。



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ぜひ、ルナのこれからを見届けてあげてください!

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