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43話「パパ」


HORIUCHI SPACEの戦闘員たちを調べていたノアが、解析結果を表示した。


『興味深い結果が出ています。』


玲奈たちがモニターを見る。


『彼らの義体は、内閣宇宙開発安全保障局が開発した義体転送技術とは異なります。』


玲奈が尋ねる。


「どう違うの?」


『本人の肉体そのものを、シリコンを主体とした身体へ変換しているようです。』


ノアは解析結果をさらに表示した。


『まず脳の情報をデータ化する。次に、本人の身体組織をシリコン化する。そして最後に、保存した脳のデータを身体へ戻す。』


悠斗が画面を見ながら呟く。


「つまり……別の義体に魂を移すんじゃない。」


「本人の身体そのものを、別の物質へ置き換えているのか。」


『その可能性が高いです。』


玲奈は、拘束されている兵士たちを見る。

年齢も外見も様々だ

ノアが答える。


『ただし、技術としては未完成です。脳のデータ化と再構築の過程に、重大な不確定領域が存在します。』


玲奈はしばらく黙っていた。


HORIUCHI SPACEがやったことは許せない。

多くの人間を実験台にした。

それでも――。


「……すごい技術ね。」


悠斗が玲奈を見る。

玲奈は複雑な表情で続けた。


「完成していない。危険な技術なのも分かってる。」


「でも……ここまで本人の身体を維持したまま変換できるなんて。」


玲奈は、横たわる戦闘員たちを見つめる。


「HORIUCHI SPACEの技術力は……正直、かなり高いと思う。」


ひかりは、船内を駆け回っていた。

ブラックホールに閉じ込められてから、ずっと意識を失っていたのだ。


「ここ……どうなってるの!?」


目を覚ましたばかりのひかりには、何が起こったのか分からない。

壁は大きくへこみ、配線がむき出しになっている。

照明はところどころ消え、床には部品や破片が散乱していた。


「何があったのよ!」


ひかりは叫びながら走り回る。

そして医務室を覗き込んだ瞬間――。


「アレックス!?」


ベッドに横たわるアレックス。

身体のあちこちに傷を負っている。

さらにその隣にはリサもいた。


「リサまで……!」


ひかりは目を丸くする。


「いったい何があったの!?」


誰もすぐには答えられなかった。

ひかりはさらに船内を走る。

そして中央ホールへ出た。

そこには、異様な光景が広がっていた。

敵戦闘員が20人ほど、手足を拘束された状態で床に寝かされている。


「……何これ?」


ひかりが近づく。

胸が上下している。


「生きてる。」


一人の兵士のマスクを外す。

20代くらいに見える。

隣の兵士は30代。

さらにその隣は50代くらいに見える。

年齢も、義体の形状も、それぞれ微妙に違っている。

ひかりは首をかしげる。


「私達とは違うみたい……。」


そして――。

ひかりの視線が、一番奥にいる大男に止まった。

アレックスと激しい殴り合いをした、あの司令官だった。

190センチ近い巨体。

今は両手両足を拘束され、床に横たわっている。

ひかりはゆっくり近づいていく。

大男の顔をじっと見る。

何かを思い出そうとしているようだった。


そして――。


突然、ひかりの表情が変わった。

驚き。

戸惑い。

そして、懐かしさ。


「……パパ。」


その一言が、静かな中央ホールに響いた。

遼が振り返る。


「……え?」


玲奈も驚いてひかりを見る。

ひかりは大男から目を離せない。


「パパ……?」


誰も言葉を失った。

大男は目を閉じたまま、何も答えない。

ひかりだけが、その顔を見つめ続けていた。

まるで――。

ずっと探していた誰かを、ようやく見つけたかのように。


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