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10話 傷跡 レジリエンス


「総員、戦闘配置!」


アレックスの声がブリッジに響く。


「ノア、回避コースを算出!」


「了解。」


立体星図に複数の回避ルートが表示される。

「左十五度ロール後、反転。最大側面加速を推奨します。」


「採用。」


アレックスは即座に操舵を指示した。

巨大なアーク・ノヴァがゆっくりと反転を始める。

その瞬間――


「敵主砲、発射!」


真紅のビームが宇宙を貫いた。


「ビーム防壁、最大出力!」


青白い防壁が船体を包む。

ビームの大半は防壁に吸収されたが、一部が防壁を突き抜け、左舷後方へ直撃した。

激しい衝撃が船体を揺らす。


「左舷後部被弾!」


「第三推進補助ユニット損傷!」


「外装損傷率一二パーセント!」


真田が即座に報告する。


「主機関は無事だ!」


「航行能力に重大な支障はない!」


アレックスは短くうなずいた。


「よし。」


その直後、玲奈が叫ぶ。


「敵要塞に動き!」


巨大要塞の格納庫が開く。

十個の光点がゆっくりと姿を現した。


「無人戦闘ドローンを確認。」


ノアが解析結果を表示する。


「機数、十機。」


「全長約十五メートル。」


「本艦搭載戦闘機より一回り小型。」


「高機動迎撃タイプです。」


十機のドローンは編隊を組み、一斉にアーク・ノヴァへ向かって加速を始めた。


「艦載機発進!」


アレックスが命じる。


「隼人、遥 迎撃を頼む!」


「了解!」


隼人は格納庫へ向かって駆け出した。

格納庫。

艦載戦闘機ファルコンが射出レールで待機している。

整備士のハッサンが叫ぶ 


「遥は先に出た 頼むぞ隼人」


隼人は素早くコックピットに飛び乗った


「発進準備完了。」


「敵ドローン接近まで二十秒。」


隼人は操縦桿を強く握る。

だが、その手はわずかに震えていた。


「カタパルト射出!」《ファルコン》が宇宙へ飛び出す。


正面には、十機の無人戦闘ドローン。

一回り小柄な機体は、まるで獲物を狙う猛禽のように静かに編隊を組み、こちらへ迫っていた。

隼人は照準を合わせる。

だが引き金に指をかけた瞬間、再びあの日の記憶がよみがえる。

隼人が学生だった頃。

彼は空軍パイロット育成学校始まって以来の天才と呼ばれていた。

模擬空戦では教官さえ圧倒し、「将来のエース」と期待されていた。

その才能を誰よりも認めていたのが、女性教官のエミリア、カーターだった。


「腕はある。でも、生きて帰ることを忘れちゃだめ。」


それが彼女の口癖だった。

ある日の高機動訓練。

一機の訓練機が制御不能になった。

衝突コース。

避けられない。

その瞬間、エミリアの機体が隼人の前へ飛び込んだ。


「隼人!」


通信に響く叫び。

激しい衝突。

閃光。

爆発。


隼人は重傷を負い、生死の境をさまよう。

助かる方法は、義体転送しか残されていなかった。

命は救われた。

しかし、エミリアは帰らなかった。



桐島遥

30年ほど前の話だ 火星軍との戦争が苛烈を極める中

遥は元宇宙飛行士ということで本人の意思とは関係なく徴兵された

戦闘機のパイロットとして それなりの軍功はあげたが

それを誇ることはなかった


30年ぶりの実戦 緊張しないわけないが 覚悟を決める

敵ドローンが攻撃を開始した

回避行動

ビームが横をかすめる

回避しながら照準を合わせる

こちらは小型レールガンで応戦 ロックオン


「いけー」


敵ドローン沈黙


「隼人・・」


隼人の動きがおかしい たまらず叫んだ


「隼人!」


「大丈夫か?」


通信に遼の声が入る。


「……ああ。」


短く答えた。

隼人は照準を合わせる。

ほんの一瞬の迷い。

その隙を、一機のドローンは見逃さなかった。

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