28. 虫よけ
中々更新できずすみません。
今日はもう一話投稿しますので
お待ち下さいませ。
昨日の放課後に公開された園遊会の情報で、今日は朝から学院中がざわついていますわ。
結局、私は昨日午後から登校したのにも関わらず、教室の席に座ることなくずーっと生徒会室おりました。念のため失踪? 行方不明? になったアリアーヌ様の事を、殿下達にお伝えしようと出向いただけのつもりでしたけど、気が付けば生徒会のお手伝いをすることになりました。
園遊会のアドバイザー、と言ったところの役割みたいですわ。まあ、確かに現生徒会役員は、エレンツィード殿下を筆頭に、側近の男子生徒ばかりで構成されていますものね。学院は男女共学ですから、女性の意見も当然組み入れなければ猛反発を喰らうでしょう。ましてそれが、学生とは言えミニ社交会の様な位置付けのイベントですもの。女生徒の期待は大きいですわ。
「という事で、2ヵ月後の園遊会は、妖精達の集う仮面園遊会と題して行われる。ついては、生徒会役員に加え、カテシーナ・ハントルーク嬢とヴィヴィエット・レベンデール嬢にもアドバイザーとして参加してもらう事とした」
今、私は全校生徒の前で、生徒会役員たちと共に壇上にいるのです。ええ、全校生徒集会です。
私の横には、ポスターの作者であるカテシーナ様も並んでおりますが、なぜこのようになったかと言うと、情報を最小限に絞ったポスターなので、改めて詳細を伝えなければなりませんのよね。
但し、まだ詳細は全部決まった訳ではありませんし、何よりもいなくなったジョイル様の穴を速やかに埋める必要がありました。それに、女性アドバイザーを入れる事も周知しておく必要がありますでしょ? だって、ある人から見れば、婚約者のいないエレン殿下や、ハインツ様とか、マーリン様とかの国内優良物件に近づける一大チャンスですもの。要らん女子達の嫉妬や、いざこざ、足の引っ張り合いに巻き込まれたくは無かったのですけど……。
まあ、まんまとその役に据わらせられました。
でも? 公爵家令嬢で学院での成績もベスト3に入る私ですから、早々文句も言われないでしょうけど? それにこのルックスもあるのですから、最強でしょ?
一つ引っ掛かりがあるとすれば、社交には殆ど出ていない引き籠り傾向である事と、何と言っても婚約者を格下の男爵令嬢に寝取られた(下品ですわね。コホンっ!)という事でしょうね。
「ポスター制作のカテシーナ嬢と、成績優秀なヴィヴィエット嬢には生徒会長である私が、この園遊会成功の為に是非力を貸して欲しいと、強く願い了承を頂いた。学生諸君もそのつもりで協力して欲しい。
とにかく、10年振りの園遊会を皆で楽しもうではないか」
そう言と、エレン殿下は片手を挙げて壇上から私達を促した。前に出て来いという事らしく、隣に立っていたハインツ様が小さく前に行きましょうと囁かれました。
やはり。というか、壇上から見降ろせば一瞬のざわつきを感じましたわ。まあ、さっき私の名前を殿下が発表した時もそうでしたけど。さすがに皆さんの記憶に新しいですから、噂されるのも致し方ありません。
フム。女生徒だけでなく、男子生徒もですか。
「ヴィヴィエット嬢、こちらに来て一言」
エレンツィード殿下が、私の前まで来ると手を差し伸べて下さいましたわ。そして、カテシーナ嬢にはハインツ様が……
にっこりと微笑んで、私の手を待つ殿下。もしかして、コレも醜聞一掃の為のデモンストレーションなんですか?
生徒達に背を向けて、私だけに見えるその満面の笑顔は……
胡散臭い……ですわ。ええ、本当に!
でもね、殿下のご好意は感謝しますわ。
婚約破棄劇からの婚約解消、そして元婚約者は辺境の地へ行って―の、相手の男爵令嬢は行方不明。ですもの。こんな面白い三文悲喜劇はありませんものね?
過剰に殿下の関心を引いている。という目に見えるこの状況を利用しない手はありません。最大限に使わせて頂きましょう。
「皆様、只今エレンツィード殿下よりご紹介を頂きました、ヴィヴィエット・レベンデールでございます。殿下の為にも、学院の為にも、学生の皆様の為にも、この園遊会を素晴らしい会にしたいと思います。微力ながら、殿下のご期待に応えられるよう頑張りますので、皆様もご協力頂けるようお願いしますわ」
そう挨拶して私は、これまで以上の笑みを浮かべると、完璧と称えられるカーテシーをしましたわ。
そこかしこで溜息が零れるのが判りました。
私、只の寝取られ令嬢……ではありませんのよ!!
集会が終わると、そのまま昼食時間になりました。私とカテシーナ様は、生徒会役員達に連れられて、大食堂ホールの廊下並びにある来客用の小食堂に向かいました。
昼食を兼ねた顔合わせ兼、今後のスケジュールについて打ち合わせるようです。
「あの、エレン殿下?」
「なに?」
「あの、手を……」
実は、ずっと殿下に手を繋がれているのですわ。壇上を降りる時も、閉会されて廊下を歩いている今も!
「ああ、この手のこと? ヴィヴィはイヤ?」
「嫌と言うか、もう学生も見ておりませんし。お気を使って頂いては申し訳ございませんから」
エレン殿下はクイっと手を繋いだまま、私の手を持ち上げると一瞬何か言いたそうに私を見ました。背が高いので、余り近くにいると顔を見るのに結構見上げなくちゃなりませんから、首が痛いです。
「……別に気を使っている訳じゃないけどね?」
「いいえ、殿下のお気遣いは有難いですけど、余り過ぎると要らない誤解を生む事にもなりますから」
この方には、はっきり言わないと伝わらない事が、先日以来判ってきました。不敬にならない位に整然と説明するのが一番効果がありそうに思います。
なのに!
「別に構わないけど。寧ろ僕が、ヴィヴィを特別にしているってことを皆に判って貰わないとね?
ヴィヴィは気が付いていた? 君が婚約解消した事に、男子生徒達は浮足立っていたんだよ? そんな奴らには良く判らせないとね。君の一番近くに僕がいるってことをサ」
ほんの少しだけ真剣な目でそう言うと、殿下は更に強く私の手を握りました。
「だって君、肝心な僕への返事まだしてくれないんだから」
はい? イヤイヤ、舞踏会にも行くって言いましたよ? 生徒会の手伝いもするって言いましたよ? もしかして園遊会のパートナーについてですか? でも誘われたかしら?
「まあ、それは後で良いよ。歩きながら話す事じゃないしね。とにかく、今は園遊会について考えないと。ヴィヴィ一緒に頑張ろうね」
ゆっくりと進む殿下の視線を感じて見上げると、優しく微笑んでいる顔に少しドキリとしました。
だって、滲むような笑顔が本当に優しそうに見えたのですもの。
ブックマーク、誤字脱字報告、感想
ありがとうございます。
アイリス大賞7の審査結果発表がありまして、
この連載になる前の1話~2話の分の
「アイツのせいで悪役令嬢っていわれてる」が、
なんと一次選考を通過していました。
まだまだ至らない所が多いですけど
これを励みに頑張りますね!
まずは、完結させなければ!
楽しんで頂けたら嬉しいです。




