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氷河期の雪が溶ける頃   作者: Osharena


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10/12

増渕実と、擦り切れた革靴③

 実(みのる)は帰宅すると

 ジョギング用の運動靴を脱ぎ

 居間のソファに腰をかけた。


 誰もいない部屋でコーヒーを片手に

 読書にふけて終わるのが

 休日のルーティーンとなっている。


 散歩から帰ると

 自宅書斎で

 デスク周りの整理をしていた。


 溜まりに溜まった書類と書籍が

 山積みとなっており

 机の上にもホコリが舞う。


 実(みのる)が本棚を整理していると

 高校の時の卒業アルバムを見つけた。


 ああ、懐かしいな・・・。


 アルバムは開かずに

 軽くホコリをとり

 本棚真ん中の見やすい位置へ

 しまうのだった。


 ----------------------------------------------


 次の日の朝、ジョギングシューズから

 古い擦り切れ気味の革靴に履き替え

 満員電車に乗り会社へ向かう。


 現在の会社は就職氷河期に

 入社した食品メーカーだった。

 近場での求人は少なく

 東京に通うしかなかった。

 それでも履歴書さえ通らない時代だった。


 片道約2時間の遠距離通勤

 今日も多くの人波が行き交う浜松町駅。

 東京モノレールやゆりかもめ

 JR山手線、京浜東北線が乗り入れ

 ごった返す駅構内。

 乗り換える人々をすり抜け

 徒歩10分のオフィスまでの

 道のりを擦り切れた革靴で歩く。


 実(みのる)はオフィスの席に着くと

 営業へ出る準備を始めるのだった。


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