第6話 迷い
「えっと・・・大将くん?」
「うん!」
首を大きく縦に振る。
「よかった~」
「え!それって、どういう・・・」
言っても大丈夫か。
「その・・・・かくかくしかじかで・・」
「え~野花さんが告白?」
やっと、普通の反応がみられた気がする。
「そうなの・・・私、女なのにね」
「やっぱり、ぐずぐずしていたら」
「大将くん?」
「オ、オレね!錦さんのことが・・・」
間。
「す・・・」
「す?」
音。
「大変だ!」
ん?
「あっちの方でナイフを持った男が暴れている!」
「危ないなー」
早くここから離れよ。
「錦さん」
「ちょっと、大将くん?」
「すぐ、戻ってくるから!」
そういうと、彼は走り出した。
「大将は普通?」
どうなんだろうか。
ナイフ。
「オレを見ろー!」
「きゃあああ」
「誰かオレを・・・」
駆けつける。
「こんなバカげたことはもうやめるんだ!」
なんだ、この男。
「お前は何者だ!」
「オレは!」
鼓動。
「都内某所の県立学校に通う1年3組学籍番号2番の血液型B型好きな食べ物はドライフルーツで・・・」
「そんなことは聞いてねえ!」
ナイフを振りかざす。
「そして、元・・・」
「うわわわわわわ!」
「レスリング国体王者だ!」
「すげえ」
「男の身体が宙に浮いたぞ!」
「学生が不審者を取り押さえた!」
拍手。
「すごいな、君」
「いや~それほどでも~」
みられると照れるなー。
「では、オレはこれで」
「おう、救世主!」
早く、錦さんの元へ。
「いいよなーお前は人に見られてさー」
振り返る。
「いいから、お前は大人しくしてろ」
みない方がいい。
「錦さん!もう大丈夫!不審者は・・・あれ?」
錦さんがいない。
「錦さんはどこに・・・」
「朝から、怖い目にあった~」
学校。
「遅刻しちゃう~」
ブレークばりの加速で私は学校へ避難していた。
大将。
「ってなことがあってさ」
「お前、置いてかれてや―んの」
「ぐぬぬぬぬ」
「で、何でお前、そっちに行ったわけ?」
「え?」
「いや、せっかく好きな人と学校行けるチャンスだったのに」
普通ならよー。
「いいところを見せようと思ってさ」
「いいところ?」
「ああ、カッコいいだろ?不審者撃退」
ああ、こいつは・・・
「馬鹿だろ」
「え?」
「普通に危ないし。錦さんを避難させることが優先だし」
「まだ、あんの?」
「お前の軽みはずの行動でもし、誰か人質に取られてたらどうする?」
「確かに!」
マジか、コイツ・・・
「考えなしに危ないことはするなよ」
「すまん」
まあ、でも・・・
「お前はすげえわ」
「え?それほどでも」
「褒めてねぇよ」
そんな、考えなしに行動できるお前が少し。
「次は錦さんにいいところを見せるぞ~」
羨ましい。
「そんなことより・・・」
「ん?」
「それにしても、錦さんって結構冷たいのな?」
「どうして?」
「いや、一応お前が助けに行ったことは錦さんも分かっていたわけだろ?なのに、お前を置いて先に学校行くのって・・・」
「ああ・・・」
「それに、小学校の時に学校中をギター弾きながら走ってたって言ってたけど」
「錦さんって、ほーんと!お茶目な人だよなー」
「はあ~類は友を呼ぶか」
錦桃か・・・一応、学年同じだしそれなりに噂を耳にするはずなんだけどな~あるとすれば
小学校のときに上履き・・・
「なあ、お前の小学校時代からのよしみって錦さん以外にいんの?」
「えっとね、二人・・・かな?」
「誰だよ、その二人って」
「佐藤さんとさい・・・」
「佐藤って、あの定期テストいつも学年トップでテニス県大会優勝した?」
「うん。その佐藤」
「あの誕生日6月1日血液型ふたご座、好きな食べ物はさくらんぼの?」
「う~ん?そこまで佐藤さんのこと詳しくないから分からないけど。多分、そう」
同じ小学校だったんだ。
「もしかして、佐藤さんのこと好きなの?」
「え?」
「いや、やけに詳しいからさ」
「べ、別に~」
「好きじゃないなら、言ってもいいよねー」
「何を言うつもりだ?」
「佐藤さんって!」
「それ以上は言うな!」
「おけまる」
「と、とにかく・・・あと、もう一人は誰なんだよ」
「え~今、それ重要?」
「どういう意味だ」
「べ~つに~」
「おい!」
「はいはい。ええ、もう一人はね。最上百合っていう人。B組だったかな?」
「ああ、あの嫌味ったらしいお嬢様か」
ことあるごとに「何とかですわ~」とかえらいお嬢様口調でしゃべる子か・・・
「最上ってお嬢様なの?」
「え?違うの?」
「いや、そんな話聞いたこともなかったから」
「だって、アイツいつもお嬢様口調でしゃべるじゃん」
「まあ、確かに」
「何だ、そりゃ」
どういうことだよ。
「お前、小学校から一緒なんだろ?」
「うん。でも、そんな話さなかったしな~」
最上百合・・・
あいつと初めて会ったとき・・・
「お初にお目にかかりますわ」
弁当を食っているときになぜか彼女は現れた。そして・・・
「少し小腹が空きまして」
そういうと、彼女はオレの手元にある弁当をみる。そして、オレは彼女を無視し。
右手で。
ウインナーを食らう!
「ちょっと、アナタ!無視ですの!」
水筒。
「いいですわ。そちらがその気ならば」
彼女は割り箸を取り出し、オレの食料を奪いにかかる。
「なにを」
それに、負けじとオレも割り箸で応戦する。
「はしたないですわ」
「どっちが」
そういえば、あの頃のオレは一人で弁当食ってたな~
「雄二?」
「いや、何でもない。それで、その最上について知っていることはないのか」
「あ!」
「いや、そういえば!」
「おう」
「父親がミュージシャンだった気がする。これも風の噂程度で聞いた話だから・・・」
「最上の父親がミュージシャン?」
「でも、最上百合は楽器なんかやってなかったから、多分デマだと思う」
「でも、火のないところに煙は立たない」
「だね」
最上百合か・・・・




