第三話:愚鈍/混交・1
少々一話にかかる分量が多い気がするのでこの話は1から3に部分分けします。
ところでより多くの人の目に留まるには何時ごろに投降すべきなんだろう。謎
カプツィナ。
その興りは周囲の村で収穫された農作物の集積地としてであったが、後に王国の離宮が建設され城下町として一層の発展を遂げた。当時の建物は一部が現在でも町中心部では残っており古い歴史を感じさせる。特に、離宮とその周辺の荘厳な建築物群はわざわざ観光に訪れる人間もいるほどである。
しかしその一方で近年では大規模な工場の建設が行われたことによって人口が増加し、結果として深刻な治安の悪化と同国最大規模の巨大なスラム街の形成を引き起こしている。
「おい、兄ちゃん。そろそろ着くぞ、起きてるか?」
「ああ、起きてるよ。それにしてもでかい街だな」
「そうだな。俺はこのまま市場の方に行くが、どうする?宿を取るなら降りた方が近いと思うぞ」
「ありがとうございます。ここで降ります」
結局、着いた頃にはもう日が暮れていた。
荷馬車に乗ったおかげで歩くよりはずっと疲れずに済んだが、乗っている間はずっと変な姿勢だった所為で背中に鈍い痛みを覚えた。
「とりあえず今日は泊るところを探して、ニーアを探すのは明日にしよう」
幸いにもカプツィナは昨日まで居た村とは違い、大きな町であった為泊るところには困らなそうだった。
荷馬車に降りた地点から小川を遡上して、町に入った。
一番に目に飛び込んできたのは石畳と木で出来た落ち着いた街並みだった。
その光景はこの町の歴史を感じさせる美しいものであったが、ユウにはそんなことはどうでもよかった。
お金を貸してくれたデジデリーに感謝しつつ通りの看板の中から教書を頼りに文字を翻訳し宿を探した。
「見つかってくれるといいけど」
ユウの心配を他所にすぐに目的の建物は見つかった。
夕方だったためためか開いている店が少なかったのだ。
その建物は木と土壁の細い家で、扉の上部に”宿、営業中”とだけ書かれた看板が掛けられていた。
「すいません、泊まりたいんですけど?」
「はい、どうぞ中へ」
気のよさそうなお爺さんが奥から出てユウを迎え入れた。
「それで、何日の宿泊になられますか?」
ここで、ユウにある不安が起こった。
デジデリーから借りた金の価値がどれほどのものかわからないのだ。
それの何が問題か、元々料金の数字を見ればそれに応じて払えば損することはないだろうとユウは思っていたのだ。しかし、宿屋の中にはそれらしいものは無かった。
もしここで幾らか聞けば多めに言われるかもしれないのだ。金を無駄に使うことは避けたかった。
しかし、この時咄嗟にある策を思いついた。
「この額で泊まれる分だけお願いします」
デジデリーに借りた紙幣の半分を宿屋の爺さんに渡した。
半分までなら宿泊費に使っても問題ないだろうとユウは考えたのだ。それに長く泊まることは考えなくてもいい、最低一日でも止まれれば、そのうちにニーアを見つけ出して帰ればいいのだ。
そして、もしこれが一泊に満たないのなら宿を出て別の宿を探すつもりだった。
しかし宿屋の爺さんは紙幣を受け取ると驚いた様子しばらくの間黙ってちらちらとユウを見てきた。
「あ~、こ、これだと2泊ぐらいかの~」
「嘘下手かよ」
「ホッホッホ。冗談じゃよ、本当はこの料金表の通りじゃ」
宿屋の爺さんはそういうとユウによく見えるように紙をカウンターから取り出して見せてきた。
「わかったからもういいよ。ところで、ここは人は良く泊まるのか?」
とにかく泊まることができるのであれば気にしなくてもいいのだ。
「あんまりじゃのう、一月後のパレードの時にはお客さんは増えるじゃろうが。今はあんたしか泊まっておらんよ。どうかしたのかい?」
「いや、俺は人捜しに来たんだ。栗色の髪をした女の子を見ませんでしたか?」
「知らんな。なんせこの町は多くの人が住んでおるし、他の村々との往来も多いからのう」
「どうもありがとうございます、お爺さん」
「役に立てずすまんのう。今日はもう休むのかい」
「はい、そのつもりです」
「そうか、部屋は二階の突き当りじゃ」
「はい」
宿屋の狭い階段を上がる、かなりの年季が入っているのか木の階段はミシミシと音を立てている。
「疲れた、やっと休める」
部屋は小さかったがベットで寝れることが数日ぶりなだけに嬉しかった。
「それにしてもデジデリーさんなんでこんなに沢山お金を」
一泊と少しの食費さえあれば十分だと思っていたのだ。
まさかそんなに渡されているとは思いもよらなかったのだ。
「この宿が安いのか、結構ボロイし」
部屋はお世辞にも綺麗とは言えなかった、しかし、最初から長居する気の無いユウには安いに越したことはなかったので、気にはしなかったが。
「ボロクて悪かったのお~」
「うわ!爺さんいつの間に」
部屋のベットで横になっていたユウの横に宿屋の爺さんが立っていた。
「ホッホッホ。部屋のカギを渡し忘れておったわい」
そういうと宿屋の爺さんは年季の入った机にこれまた年季の入ったカギを置いた。
「それと、食事は朝晩二回、明日から用意しよう。食べられないものがあったら言ってほしい」
「いいえ、食べられないものは別に無いですよ。普通の料理なら」
「ん?そうかわかった。そうじゃ、今の料金なら六日は泊まれるが、もし延長するなら前日までに言って
くれると助かる。じゃ、良い夜を」
「ああはい、よい夜を」
ユウの驚いた様子を気にも留めず宿屋の爺さんは部屋を出て行った。
部屋に備え付けられた窓を見ると、確かに空はすでに暗くなり始めていた。
そしてその空に先に幾つかの煙突が煙を上げていた。
「あの古い階段で軋む音が全く聞こえねえ。あの爺さん幽霊か何かか?それより、暗くなる前に寝る準備しないと危ないな」
咄嗟にそう思ったユウだったがすぐに思考を切り替えた。
部屋の天井には電球などはないのだ、そのため日が落ちれば部屋は真っ暗になってしまう。
ユウは眠りに落ちた。ここ最近では珍しく夢を見ることも無く、ぐっすりと。
全く知らない土地で人を探すのはユウの想像以上に大変なことだった。
それに加えて、この町はすごく広いのだ、とても一日で人を一人見つけることなど不可能だった。
土地勘のないユウの頼みはデジデリーから渡された地図だけだった。
しかし、その地図はとても大雑把なもので、少し横道に入るだけで機能しなくなってしまう。
それでも、贅沢は言ってられなかった。まず調べたのは宿屋の周辺だった。しかし、本人どころかそれにつながる情報すら一切手に入らなかった。
次に高い煙突の見える地帯へと向かったが、結果は同じだった。
「この地図の中で後調べてないのは城の近くの地区だけか」
この町に来てから3日が経った。着々と地図を塗りつぶすように街を回っていたユウも行ける場所の残りは少なくなっていたが、それは逆に、そこを探してしまえばもう行く当てがないということを意味していた。
「今日は夜も探してみるか」
それは苦肉の策だった、夜の街は視界も悪く、正直に言ってそれで見つかるとも思えなかった。
けれども、もし最後の場所を探して見つからず途方に暮れるより先に、探しておくべきだと思ったのだ。
ユウは荷物を宿の部屋に残し、地図と文字を読むための教書だけ持って夜の街へと向かった。
「夜遅くまで工場は稼働してるのか。いったい何を作ってるんだろうな?」
朝夕拘わらず煙を吐いている煙突がつい気になってしまう。
しかし、そんなことを気にしている暇などはなかった。
ユウがまず向かったのは昼の内にも何度か通ったことのある大通りだ。
何度か通っていると言っても夜になると昼の様子とはまるっきり違った。
まず昼とは違い人通りが全く無い。そして街灯も無い道は月明かりだけに照らされてまるでゴーストタウンの用で少し不気味な雰囲気を漂わせていた。
ユウは出てきたは良いものの、人が居ないのでは探すにしても方法が無かった。
もう帰ろう。そう、思って大通りを引き返そうとした、まさにその時だった。
「そこの人、どいてください」
小路地から小さな女の子が走り出てきたのだ。ユウは偶々その小路地の前に立っていたのでその女の子とぶつかりそうになった。
結局、驚いたユウが避けたのでぶつかることは無かった。
そしてその女の子はユウの事など目もくれず道を横切って別の小路地に入っていった。暗がりで細かくは見えなかったが10歳ぐらいであった。
何があったのかと思う前に女の子が出てきた小路地から一人の若い男が飛び出てきた。
「この辺で小さい女の子を見かけませんでしたか」
若い男は息を切らしながらもユウに尋ねてきた。
「あ、ああそれなら、向こうの路地に入っていったぜ」
いきなりの事に驚いたためか、考え無しに女の子が入っていった路地を正確に指さした。
「ありがとよ、感謝するぜ」
そう言うと男は俺の指さした先の路地へと消えていった。
「何だったんだ今の」
嫌な予感がした。
もちろんこれが自分の本来の目的である、ニーアの捜索と関係があるとは思えなかったが、それでももしかすると何か犯罪的なものであるかもしれなかったのだ。
ユウは二人の入った言った路地に入る事にした。
といってもそれが正義感に裏打ちされた行動であるというよりはむしろ好奇心に近いものだった。
「触らぬ神に祟りなし、だけど今は何もしないよりは祟りの方がましだな」
何かあったら逃げればいい、ユウは最初からそう思っていたのだ。
ユウは路地に入りすぐさま行き詰った。
入り組んだ小道に沿って右へ左へと行くうちに持っていた地図は役に立たなくなってしまっていた。
これでは路地に入った二人どころか自分自身が危なかった。
来た道を引き返すこともできたが、通って来た路地の複雑さからそれも確実ではなさそうだった。
ユウに残された元の道に戻る手がかりは路地の先に見える煙突だけだった。
「あの煙突の方向を基準に考えれば戻れそうだな、どれだけ時間かかるかわからないけど」
できることなら誰かに道を尋ねたかったが、夜遅くの小さな路地にはそもそも人自体ユウ以外にはいなかった。
しかし、諦めて進もうとしたユウに助け船が現れたのだ。
路地の暗闇から一人の女が駆けだしてきたのだ。
その女はユウを見るや否やすがりつく様に必死になってユウに掴みかかった。
「た、助けてくれ、追われてるんだ」
「追われてる、誰に?」
ユウは女の何かに怯えた様子に咄嗟に聞き返した。
すると、その女が答えるよりも早く、後ろの路地の陰から声がかけられた。
「すまないねー、その女が迷惑をかけて」
その声の主が路地の陰からゆっくりと姿を現した。
それは、身なりの整った背の高い男で、ユウに対して小さく頭を下げた。
状況を見て女が追っているのはその男で間違えなかった。
ユウはその男が何者なのか気になったが、とてもユウの方から聞けはしなかった。なぜなら、ユウに掴みかかっている女がその男の声を聞いただけで震え上がっていたのだ、それだけでこの状況が危険であるように感じられたのだ。
ユウは何かあったら逃げようと思っていた。しかし、今ユウに掴みかかっている女を振り払い路地に逃げ込むことはできなかった。
目の前の男の眼光ががそれを許さなかったのだ。
「別に怪しいものではないよ、私はその女の仕事仲間だ。暗い路地でパニックになってしまったようで
ね、探していたんだよ。でも君が引き留めてくれて助かった。私の名はヒエラル。君、名前は?」
ユウが尋ねようとしたことを察したように、ヒエラルと名乗ったその男が名乗った。
「ユウです。その、この人本当に大丈夫ですか、なんだかすごく――」
「大丈夫?何のことだかわからないな。ところで、君はこんなところで何をしていたんだい?」
「俺はただ人を探していただけです。ただ、道に迷ってしまって。とにかくここには偶々通りかかっただ
けです」
(まずい、すごくまずい。何故かはわからないが一刻も早くこの男の近くから離れないと、間違いなく危険)
「君、どうかしたかい?何か考え込んでいるようだが」
「い、いえ。別に何でもありませんよ。とにかく俺は失礼します」
ユウは強引に会話を終割らせて、ヒエラルに背を向けて進みだした。ユウの服に掴みかかっていた女の手はこの時には簡単に振りほどけるほど弱弱しかった。
「君、待ちなよ――すまない、さっき君は人を探していると言ったが、君が探しているのはどんな人だい?私はこの町に来て長くは無いが、もしかしたら知っているかもしれない」
さっきまで立ち去ろうとしたユウの足はヒエラルの一声でぴたりと止まった。
目の前の男にユウは確かに危険な雰囲気を感じていた。しかし、それが逆にこれまで探しても手がかりさえ掴めていないニーアについて何か知っているのではないかという気を起こさせた。
「この近くの村から4日前出て来た、俺と同じぐらいの歳で栗色の髪をした女の子なんです。もう結構長い間捜しているんですけど。まだ、見つからなくて。この町にいるとは思うんですけど」
「そうか、残念だが心当たりはないね。良ければ名を聞かせてくれないかい?」
「名前、ですか」
ユウは迷っていた。今更ではあったが見ず知らずの人間に軽々しく人の名を教えてもいいものだろうか。
(ここまで話しておいて今更名前を教えないわけにもいかないか、それに何もしないよりはまだましだろう)
そう考えて、ユウはヒエラルに名を告げようとしたその時だった。ユウとヒエラルとの間で座り込んでいた女がヒエラルの居る方向へ向かって走り出したのだ。
女はヒエラルの横を通り過ぎ暗い路地へと消えて行った。
「すまないね、いきなりで悪いが私はもう行くよ、このあたりだとよく夜盗が出るから気を付けなよ。君の探し人も見つかるといいね」
「は、はい」
唐突に話しは終わり、暗い路地にユウ一人だけが残された。
「結局、何だったんだ、今の」
その答えが出ることは無かった。いや、或いはそれについてはもう考えたくはなかった、これ以上あの男と関わりたくはなかったのだ。
「ニーアに会う前に死んじまったら意味がねえ」
死ぬ。これまで普通に生きていればだれかに殺されることなどあるはずはなかった。しかし、それが今は冗談ではないと思えたのだった。
ヒエラル達と出会ってから、狭い路地をどれだけ歩いただろうか。正確な時間は勿論わからなかったが、それでもかなりの時間路地を彷徨っていた。
「こんなことなら、さっき道だけでも聞いておけばよかったか。いや、そんなわけにもいかなかったが。ん?」
ユウはここまで路地の先にうっすらと見える工場の煙突を目印にして歩いていたが、今まさに居る場所がついさっきも通ったような気がして立ち止まった。
「気の所為じゃない。ここ、さっきも通ったな。はぁー、少し休むか」
ここまで、まっすぐ進んでいるとユウは思っていたが、実際には道を進むうちに円を描いていたようだ。
ユウは路地の隅に腰を下ろした。奇しくもそこはヒエラル達と会った場所とよく似ていた。
(朝になって明るくなれば戻れるかな。くそっ、こんなことしてる場合じゃないってのに)
ユウは頭を伏せ、これからどうやってこの迷路のような路地を抜けだそうか考えていたが、時刻はかなり遅く眠気と疲労でその場で寝てしまいそうになった。
「おい、そこのお前」
そんなとき突然、眠気を覚ますような声がユウの耳に入って来た。ユウはその呼びかけに反射的に頭を上げて、声の主を見上げた。そこには人相の悪いガタイのいい男が一人ユウを見下ろすように立っていた。
その様子はとても善意で声をかけたようではなかった。
「なんだお前、口がきけねえのか」
「いや、別に。起こしてくれてありがとな、それじゃあ、さよなら」
ユウは素早く立ち上がりこの場から立ち去ろうとした。この場にいたら碌な事には成らないだろうとユウは直観的に感じていたのだ。
「おい、待て。此処が何処だかわかってんのか」
「何処って、ただの道にしか見えないけど」
「そんなことを言ってるんじゃねえ、誰に断ってこんなところで寝てやがるんだと言ってるんだ。お前は見た限り余所者みてえだが、此処には此処のルールってもんがあるんだよ」
「ルール、って言うと?」
「そうだな。とりあえず金になりそうな物は全部置いていけよ」
ユウの悪い予感は当たっていた、そしてそうなればユウの取るべき行動は一つだけだった。
逃げる。
ユウは手に偶々持っていた地図を男に目掛けて投げ、それによって男が怯んだ隙に全速力で走りだした。
「待ちやがれ!」
「はぁ、はぁ。撒いたか」
ユウは後ろを振り返って見たが誰かが付いてきている様子はなかった。
奇しくもユウを惑わせていた夜の闇が逃げるために役立ったからか、意外にもあっさりと撒けたようだった。
「だが、これからどうしよう。もう完全に__」
ユウの足に何かが引っ掛かった。
その何かは暗闇ですぐにはわからなかった。しかし、その感触はまるで__
「人の、足?」
ユウはその足の付け根に目を向けるとそこには路地の壁にもたれ掛かる様に人が横たわっていた。
しかし、その様子は普通ではなかった。倒れている影はユウが足を引っ掛かったというのに何も反応が無かった。
そればかりか、ユウが引っ掛かった足の感触は生きた人間のそれではなかった。それは勿論寝むっている人間とも違った、まるで生気の無い人形の用でただそこにあるだけといった具合であった。
ユウが視線を上へとをやると胴体は大きく切り裂かれたように赤く染まっていた。腐った臭いも無く、まるでさっきまで生きていたように血も乾いていなかった。いや、実際ユウにはさっきまで生きていたことを確信していた。
なぜなら、その赤く染まった体から生えた顔に見覚えがあったのだ。
「この人、さっき。ヒエラルとかいう奴と一緒にいた」
ユウはその人物について何も知らなかった。そしてもちろんなぜこんなことに成っているのかはわからなかった。だが、この状況を作った人物にはおおよその予想が付いていたのだ。
そして、ここから湧いた感情にユウ自身が大きな怒りと苦しみを感じた。
「どうして、俺は目の前で人が死んでいるのにそれを良かったと思っているんだ?俺が望めない人間だからか?」
ユウが最初に感じたのは安堵であった。もし自分があの場で行動を誤っていれば、ここで横たわっている死体が自分であったかもしれないと、そうでなくて良かったと思ったのだ。
「と、とにかく、俺には関係ない事だ早く戻ろう、そして忘れようこんなこと」
ユウは心にしっかりとした蓋をして、その場から立ち去ろうと立ち上がった。
しかし、その時であった。ユウの後頭部に強烈な一撃が襲い、意識が混濁し、そのまま地面に叩きつけられた。
崩れ倒れ伏すユウの目は必死にユウを殴りつけた犯人を見ようとしたが、それをとらえることはなかった。
ユウが最後に目にしたものは死んだ女の光の無い瞳だった。




