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スキルレンタルで異世界無双 〜修行なんてもう古い、これからの時代は《借りる》!〜  作者: はがき
第三章 なんでも屋、ジンサイトエージェンシー。開業致します!
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俺はバッタバッタと兵士、いや、騎士たちを戦闘不能にしていくと、ひときわでかい扉にたどり着いた。

その扉の前には大勢の騎士が守るように立っている。


俺は剣を肩にかつぎ、どうしようなと数秒迷っていると、ドアが内側から開けられた。

そこには、ヨボヨボのじいさんと10歳ぐらいの子供、その子供を怯えるように抱いている母親が出てきた。

扉を守っていた騎士たちは、そいつらが出てくると大慌てで「戻れ」とか「死ぬ」とかを丁寧語で訴えかけるが、子供が右手を上げて何やらボソボソと言うと、騎士たちは左右に分かれてそいつらに道を開けた。


ヨボヨボのじいさんは、騎士に支えられ俺に話しかける。


「…………思ったより間抜けな面構えじゃの」

「第一声がそれかよ……」


するとじいさんはあごひげをまとめるように撫でながら、


「ほっほっ、お主の目的はわからんが、ちと話を出来るかの?」

「……ああ、そのつもりで来た」

「そかそか、中に入られい」


大きな扉はまた開き、じいさんと子供と母親は中へと入っていく。


するとじいさんを支えていた女騎士が俺まで歩いてきて、


「どうぞ。ご案内致します」

「…………ああ」


罠もあり得る。だが警戒していても話は進まない。思いっきり敵地だが、俺は女騎士の案内されるままに扉の中へと入って行った。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




扉の中は更に廊下が続いており、何部屋も部屋があるような感じだった。


その中でもまた大きな扉の部屋に案内されると、大きなソファにじいさん、子供、母親と並び、テーブルを挟んで向かいにもソファがある。女騎士は俺にソファに座るように案内すると、じいさんの後ろに立った。


すると予想外なことに、じいさんではなく子供が話し出した。


「はじめましてジンサイトさん。僕は王位継承権第一位、アルベルト=ファン=グランダムです」

「……ジンサイトだ。ってことは皇太子か?」


アルベルトは子供に似合わない苦笑いをする。


「それはさっきまでですね。父、現国王は先程崩御されましたので、今は僕が国王です」

「……」


見た目は10歳くらいにしか見えない。

だが、まだ一言二言だが、とても10歳には見えない。


「あー、国王」

「アルベルトで構いません」

「……ならアルベルト、お前いくつ?」


アルベルトはニコリと微笑み、


「11になりました。まだ成人には四年ありますので、おじい────、先代、いえ、先々代のミカエル=フォン=グランダムが後見人となります」


と、じいさんを紹介してきた。

俺がじいさんに目線をやると、じいさんは黙ってあごひげを整えている。

アルベルトが、


「ジンサイトさん、率直にお聞きします。ジンサイトさんの目的はグランダム王国の消滅ですか?それとも王族だけ抹殺すれば気が晴れますか?」

「っ……はい?」


とんでもないことをいうガキだ。

いや、そう思われても仕方ないのか。

いきなり武力で押し込まれ、偶然とはいえ王様を殺してしまったのだ。冷静に考えたらとんでもないことをしている。

だから母親はこんなにも怯えているのだな。


逆にアルベルトとじいさんの肝の座り方がハンパじゃないとも言えるが。


「これ以上の戦闘は望んでいない」


それを聞くとアルベルトは「ほっ」と短い息を吐き、


「ひとまず安心し────、て、いいのですよね?」

「ああ」


母親は泣きながらアルベルトに抱きつく。

なんか、罪悪感がハンパねえんだが……


「ならば要求はなんですか?」

「要求なんてねえよ。────あー、あるな。要求は俺に追っ手を差し向けるな。戦争まがいの戦闘はもうこりごりだ」


アルベルトは深々と頭を下げた。


「その節は申し訳ありませんでした。先代がしたこととはいえ、心よりお詫び申し上げます」


そして頭を上げて、子供とは思えない真剣な眼差しをする。


「ですが、このままでは終われません」

「……は?」


アルベルトは続ける。


「50000人の兵士を我が国内で殺され、首都を武力制圧し、国王を殺したのです。こちらとしてはこのまま終わることは出来ません」

「…………」


アルベルトはマジだ。

本気か?やるつもりなのか?

アルベルトはソファからスクッと立ち上がり、ポケットから白い何かを取り出し、それをぽいとこちらに投げ捨てた。


手袋だ!!!


俺はとっさにそれを空中で掴み、


「てめえ!何してやがる!意味分かってんのか?!」

「それは僕のセリフです。よく意味をご存知でしたね」

「分かってるなら遊んでんじゃねえ!!」


手袋を投げつけるのは、確か決闘の申し込みなはずだ。地面につかなかったらセーフだと、ネットか本かで見たことがある。


「ジンサイトさん。受けてください」

「無理だろ!殺し合いに来たんじゃねえんだって!!」


アルベルトはまるで殺気を纏うかのように、じっくりと俺を見つめる。

本気かよ。


「ジンサイトさん、まさか勝負は決まってるとお思いですか?」

「……決まってるだろ」


アルベルトは女騎士に差し出された剣を受け取り、鞘を投げ捨てた。


「おい!じじい!何見てやがる!このガキを止めろ!」


じいさんは笑みを崩さない。


「ほっほっ、無理じゃ。わしゃ後見人じゃなからの。当代の国王が決めたことに口を挟めんわい」

「はあ?!そこで口を挟むのが後見人の仕事だろうが!!」


じじいは耳に手を当て、


「はて?今なんて言ったかの?歳をとると耳が遠くていかんわい」

「遊びじゃねえんだ!死ぬぞ?!」


するとアルベルトが、


「そう、遊びではありませんよ、ジンサイトさん。これは国の威信をかけた決闘です。逃げる事は不可能です。もしこの決闘を受けて頂けないのなら、アルベルト=ファン=グランダムはジンサイトの息の根を止めるまで、国を挙げてどこまでも抹殺しに行くと、ここで宣言します」

「正気か?!!!」

「むしろ正気だから言っているのです。このままジンサイトさんを帰したなら、グランダムは本当に終わりです」

「…………てめえ……」


アルベルトが剣を構えると、騎士たちはソファやテーブルを片して、簡易的な決闘場となった。

誰一人として止めようとはしない。


気が狂ってる……。


そしてアルベルトは、


「たかが異世界から来た人間が、このノヴァリースで王族をしている僕に勝てるつもりですか?自惚れるのも大概にしてはどうでしょうか」


ギリッ


俺は歯嚙みをする。

本気か?本当はすごいスキルを持ってるのか?


「分かった。受けよう」


アルベルトは少しだけ口角をあげて、


「ありがとうございます」


と頭を下げた。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「でやあああ!!」


アルベルトは剣を振り上げ、パタパタと音がしそうな足運びで俺に斬りかかる。


キン!


俺はそれを軽く切り払うと、アルベルトは剣を手放さずにズザァーと盛大にすっ転んだ。

そして、むくっと立ち上がると、


「まだまだぁ!!!」

「これいつ終わるんだよ……」



アルベルトは弱かった。下手したらレベル1の剣術され生えていないだろう。

更に剣が体格にあって居ない。俺が2mの斬馬刀を振り回しているようなものだ。

明らかに素人くさい動きなので、様子見で適当にあしらっていると、本物のど素人だった。


だが、何度倒れても起き上がり、唇を噛み締めて血を流している。

俺は切り傷を与えていないのに……。




更に数分あしらってから、


「もうやめろよ。無理だって」


アルベルトは肩で息をしながら、剣を杖にして立ち上がる。


「はあ、はあ、なら、はあ、殺せばいい!!はあ、はあ、はあ、僕を殺してみろ!!!」

「てめえ……」

「行くぞ!でやあああああ!!」



~~~~~~~~~~~



更に30分ほど、


「分かった!分かったよ!俺の負けだ!」


俺が両手をあげると、アルベルトは床に大の字に寝転んだ。


なかなか根性がある。だけどこれじゃ決闘じゃなくて剣の稽古だ。意味がわからない。

つうか決闘の意図はなんなんだ。


アルベルトはまだ終わってないと言いたげに、俺を睨みつけながら、


「僕の、はあ、はあ、勝ちですね!!はあ、はあ!!」

「…………ああ、お前の勝ちだ」

「はあ、はあ、なら、僕の要求を、はあ、はあ、聞いてもらいます」

「はあ?!」


子供相手に大人気ないから勝ちを譲ってやったのに。

すると、肩で息をしているアルベルトの代わりに女騎士が説明してくる。


「どんな内容であろうと、決闘をしたからには真剣勝負だ。国王の要求を受け入れてもらおう」

「……詐欺まがいだな」

「なら殺せばよかったのだ」


俺は女騎士の言い草にカチンときた。


「これを殺せと?アホか」

「アホはお前だ、それが決闘だろう?お前はお前の《もう追っ手を向けるな》と言う要求をかけて決闘を()()()()()。アルベルト様の要求を初めに聞かなかったのはお前のミスだ」

「あのな……」

「勝ちたかっなら殺せばよかったのだ。手袋の意味を知っていたものが、まさかわからなかったとは言わさぬぞ?」

「…………」


俺は大きくため息をつく。


「わぁーったよ……、言ってみろ。だけど、無理難題やふざけたことを言ったら、俺も腹をくくるぞ?」


アルベルトは床に座り込み、やっと息が整ってきて、


「はぁ、では僕の要求を言います。冒険者ジンサイト。貴殿は本日より僕の剣の師、兼、義兄弟の契りを結んでもらいます。今日からジンサイトさんは僕のお兄ちゃんです」


俺は大きく目を見開き、

俺と、俺の脳内で喋るミコトの声が同時に発声された。


「はあ?!ふざけんなっ!!」

『はあ?!ショタ要員だと?!お姉ちゃん会いに行く!!』



「『…………』」




これじゃあ終われない。

次ではっきりしてやる。

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