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スキルレンタルで異世界無双 〜修行なんてもう古い、これからの時代は《借りる》!〜  作者: はがき
第三章 なんでも屋、ジンサイトエージェンシー。開業致します!
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首脳会議

俺は大統領官邸の書斎のような、応接室のようなこじんまりとした部屋に招かれた。部屋の中には俺、大統領、グレンザという熊の獣人のフェルズのギルド統括、メイドが二人の五人だけだ。


そこで、アヤカが俺が居ない間にした事を聞いた。

ジジイが伝説の冒険者で《エルフの友》と呼ばれている事、アヤカがその孫である事を知り俺たちの味方になろうと決めた事、大統領はアヤカに粉をかけ逆に返り討ちにあったこと、そのお詫びに屋敷をアヤカに渡したこと。

冒険者ギルドにもアヤカは行き、俺の拉致監禁は冤罪であると説明した事、ギルドの追っ手をやめさせることなどだ。


「なら検問とかで、やけに兵士が優しかったのはその為ですか」

「ジンサイトよ、敬語は要らん。アヤカがトモゾコンドの孫ならば君も《エルフの友》だ」

「なんか、色々申し訳ない……」


大統領はワインを煽る。


「どうかね、そのワインは。地球のと比べて」

「いや、美味いですね」


本気で美味い。赤ワインのような色なのに、白のようにまろやかでフルーティなのだ。ワインのえぐみが好きな人には物足りないかも知れないが。


「数本持って帰りたまえ」

「いや、悪いですよ。屋敷の金も払います」

「はははっ、本当に良いんだ。あれはワシからの詫びだ。それを払われてはまたワシは詫びを用意せねばならん」

「でも……」


すると大統領は、俺にワインを継ぎ足し、


「安心しろ、下心もある。ファイザに個人の何でも屋を開くそうだな。その第一号にフェルズ共和国から依頼がある。それを受けて貰いたい」

「構いませんが、どんな内容ですか?」

「ファイザから南に5日ほど行った場所に、世界樹の大木がある。我らエルフには世界樹の大木の恵みはとても大事なものだ。だが、大木の周りの湖に水龍が巣食いおった。並の魔物ならば冒険者に依頼を出すが、水龍ともなるとAランクでも犠牲覚悟ではないと無理だ。徒党を組めばいけるだろうが、相当な被害になるだろう。そこでアヤカ殿にはもう話してあるのだが、正式にジンサイトエージェンシーに依頼を頼みたいのだ」

「はぁ」


いきなり龍と来ましたか。龍となればドラゴンだ。どのくらいの強さかわからないが、じじいのスキルはどのくらいの力があるのか腕試しになるかもしれない。


「討伐出来るとは限りませんよ」

「それならばそれで仕方ない。違約金を請求したりはしないから安心したまえ」


俺は考えた。


「なら、今回は無料で受けましょう。俺たちもここに根城を作りますし」

「いや、それはダメだ」

「門前の森をダメにしてしまったんです。報酬はそれと相殺で。龍の素材は買ってもらいますから」

「……いいのか?」

「ええ」

「助かるな。やはりあのま、アヤカ殿よりは話がしやすい。助かるぞ」

「……」


どんだけ、どんだけやらかしたんだよ!!本当にすいませんでした!


「なら次は俺だ」


ぶっちゃけ俺的にはこっちが本命だ。

ギルド統括グレンザが口を開く。


「さっきも言ったが、フェルズ共和国の冒険者ギルドは、ジンサイトを拘束しない」

「それ、大丈夫なのか?」

「大丈夫も何も、ジンサイト。貴様今なんと呼ばれているか知ってるか?」

「え?」

「1000人斬りだ」

「……」


アレのことか……。

熊の獣人は、呆れたように笑う。


「一体誰が《1000人斬り》に手を出したいと思う?たった一人、剣のみで1000人を殺す男に向かっていける奴がこの世に何人いるか」

「……」

「うはは、ワシも聞いたぞ。なかなかの豪気。頼もしいぞ」

「いや……」


イマイチすんなり褒め言葉として受け取れない。

グレンザは目を細める。


「だが完全ではない。それにグランダムは意地になっている。国軍を動かしても捕らえられなかった、赤っ恥だとな。だが今グランダムは、腕の立つ冒険者を軽く扱うと、人離れも起こっている。ギルドと国王は相当怒り心頭だろう。表立って軍は来ないかもしれんが暗殺者などは止めようがない。用心しろ」

「あ、はい。わかりました」


暗殺者をどう止めるか、気配探知のレベル5でも常時入れとけばなんとかはなるか?

まあその辺は後から考えよう。


「本来なら、ジンサイトをファイザにホームタウンを設定してもらい、依頼を消化してほしいのだが、それをするとフェルズの冒険者ギルドは、面と向かって冒険者ギルド全体に敵対することになってしまう」

「あー、構いませんよ。買取先もどこか探します」

「「いや待て!!」」


大統領とグレンザはいきなり腰を上げた。びっくりした、何事だよ。

大統領が言う。


「ジンサイト、どこにも売るな。我がフェルズ共和国が全て買い取る。安心したまえ」


グレンザはギロリと大統領を睨む。


「大統領、独り占めですか?…………ジンサイト、ファイザの冒険者ギルドは、貴様の何でも屋、《ジンサイトエージェンシー》に客として依頼を持っていく。それを受けてほしい」

「どんな依頼です?」

「色んなものだ。簡単に考えろ。通常貴様らがギルドの依頼を受けにくる所を、冒険者ギルドがそっちに持っていくというだけの話だ。もちろん、素材は全て買い取るぞ?」


大統領もギロリとグレンザを睨む。


「何をバカな。あの魔王を顎で使うつもりか?あまつさえ素材まで?少しは遠慮したらどうだ、グレンザ」


とうとう魔王って言っちゃってるから。

グレンザも睨み返す。


「ルカーレ、素材の買取はギルドの領分だぞ?国権を使ってそれを横取りするのか?」

「横取り?バカな。ジンサイトは売るのを困っているのだ、だからワシが買うと言っている」

「いらぬ世話だ。ギルドは充分買い取れる」


大統領はせせら笑うように、グレンザを見る。


「ふっ、いつまでそんなことが出来るかな?自分の地位が危なくなるからとビクビクしながらジンサイトと付き合うなら、ワシに全て任せろ。ワシは例えグランダムと戦争になってもジンサイトを守るぞ?」

「ぬかせルカーレ。どうせ戦争になれば《1000人斬り》に泣きつくのだろう?それは守るとは言わん。《虎の威を借る狐》と言うのだ」

「なんだと?!!」


大統領は立ち上がる。


「なんだやるのか?50年前の決着、ここでつけてやろうか?」

「待て待て待て待て!!!」


まるでエリーとアヤカを見ているようだ。どうしてこうも面倒くさい奴が集まるのか。しかも男ってのがまたむさ苦しい。


「2人が守ってくれようとするのは嬉しいが、守られなくても大丈夫だ。良好な関係さえ組めれば文句はない。むしろそれ以上はこっちが疲れるからやめてくれ」

「「……」」

「俺はどちらも客として平等に扱う。そして受けた恩は忘れない。だからくだらないことで言い合いをするのはやめろ」

「「……」」


2人はソファに座り、


「すまない」

「悪かった」

「いや、謝らんでもいいよ。とりあえず大統領、水龍の件は受けた。30日でいいか?」

「……ああ、構わない」

「よし、じゃあ水龍の素材は大統領に売る。金額はグレンザ、ギルドが査定してくれ。そんでその金額で大統領が買えないとなったらギルドにそれを売る。だが、自分でも買えないような査定をしたなら、ギルドに素材は今後下ろさない。また、明らかに安い査定をつけたら俺は他の国に流す。要は適正価格なら問題ないと言うことだ。そのかわり、グレンザがうちに持ってきた依頼は基本的に断らずに全部受けるスタンスでやる。どうだ?」


2人はうんと頷いた。


「冒険者ギルドのプライドにかけてきちんと査定をさせてもらう」

「ワシからのたまには依頼を出すぞ?」

「ああ、恩は忘れないと言ったろ?出来ることは可能な限りやってやるから」



なんとか丸く収まった。

更にどこにあるかまだ知らないが、拠点も国公認で作ることが出来た。

色々あったがなんとか良い方向には持っていけた。これで客が居なくて食うのに困ると言うことはなくなっただろう。


大統領とグレンザには感謝だ。



さて、今度は身内のゴタゴタをやっつけますか!!


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