表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルレンタルで異世界無双 〜修行なんてもう古い、これからの時代は《借りる》!〜  作者: はがき
第三章 なんでも屋、ジンサイトエージェンシー。開業致します!
70/85

like a 核弾頭

はっきり言って感謝してる。

絶対口には出さないが、俺はこのロリーズに心から感謝してる。


俺は人を大量に殺した。日本で裁判を起こされたら100回じゃ効かないほど死刑にされるほど殺した。


だが、俺は自分の殺人に気づいた瞬間から、思いふける瞬間さえ作られずにぎゃあぎゃあやられ、罪悪感地獄に落ちることさえも許されなかった。

夜は夜で、俺に『後悔する暇なんて与えない!』と言わんばかりに、ずっと二人が奪い合うように俺に跨がっている。

これじゃあ神に懺悔することも出来ない。



まさか、まさかだよ?

こいつらそれを分かってやってるのか?

自ら人殺しした俺が、罪悪感で潰れないためにこんなことを?


……まさかな、考えすぎだ。このクソロリーズにそこまで頭が回るはずがない。




「まだか?エリー」


俺が質問するとエリーは、


「ん?あー、おとといあたりからコツは掴んでるわよ。もうディアーブロ(悪魔)でちゃんと満足出来るようになったわ」

「なんの話だよ!!フェルズまでまだかって話だろ!!」


やはりこのクソガキが、そんなに頭が回るわけがない。


大殺戮のあの日から、すでに10日が経っている。あの日から追っ手は一度も来ていない。もう諦めたのだろうか。


それに、そろそろ着いてもいい頃なのだが、エリーはスキルで分かると言うので道を任せているのだが、一向につかない。


するとザラが俺の手を握り、くいくいと引っ張ってきた。


「(あたいも楽しいから黙ってたけど、エリーはわざと道を間違えててるよ)」

「……っ、は?!」


俺はゆっくりと先頭を歩くエリーを見て、エリーにすぐさま駆け寄り、ほっぺたを強めにつねりあげた。


「いっ、痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!」


俺はつねりあげながらゆっくりと言う。


「い、い、か?、い、ま、す、ぐ、た、だ、し、い、ほ、う、が、く、へ、む、か、え!!」

「追っ手を避けてたんじゃない!痛い痛い痛い!!、わかった!わかったから!アザになっちゃうわよ!!」


エリーは進行方向を()()()曲がった。

このクソロリが。



~~~~~~~~~~~



ギルドの亜空間バッグが消えた。とうとう40日経ったことになる。

流石にフェルズ共和国には入り、今日にでも首都ファイザに着く予定だ。それにしてもフェルズ共和国はエルフが多い。そしてとても優しい。

国境で一悶着は当然予想していたのに、ものすごく暖かく迎えられ、国境兵たちはファイザまで護衛を付けるか?とかまで行ってきた。どこまでサービスがいいのか。

フェルズ国軍の申し出を丁重に断ると、「金は大丈夫か?」「次の村ではここに泊まれ」など、本当に至れりつくせりなオモテナシだ。


そんなんが、立ち寄る町立ち寄る村で、延々と続いている。グランダムとは大違いだ。本拠地をフェルズにしたのは正解だったかもしれない。


あー、だけど、まあ、しかし、そんなことよりも……、



当分せっくるはいらねーわ…………。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




~~エリーとアヤカが別れた日まで時間を遡る~~


アヤカは、首都ファイザの中心、まごう事なき城にしか見えない建物の中に居る。

この城がフェルズ共和国、大統領官邸だ。


アヤカは3日ほど大統領に謁見を頼んだが、全く謁見が通らないので、なんと力技に出た。

官邸前に赴き、結界魔法を自身に張り、風魔法で兵士が傷つかないようにブンブンとぶん投げた。

1時間もそれを続けると、兵士たちもアヤカに殺意が無いことがわかり、どうしようか考えこむと、アヤカはいきなり魔法を解き、自分から両手を出して兵士に捕まった。


兵士はそれを大統領に報告すると、「面白いから連れてこい」と言われ、やっと大統領の面前に立つことに成功したのだった。




「はじめまして大統────」

「御託はいい、どうせお前は今から死ぬのだ。面白いから要件だけは聞いてやる。言ってみろ」


大統領は白髪の壮年のエルフだった。

肘掛に肘をつき、頬杖をしてアヤカを見ている。


「ふむ、人族の割になかなか美しい。それに魔法も得意なようだな」

「ありがとうございます。私の()()は1つのみです。今、冒険者ギルドに指名手配されている『ジンサイト』と言うものが居ますが、もし冒険者ギルドから援軍要請が来ても、フェルズ共和国は応じないで頂きたいのです」

「ジンサイト?」


大統領の側近のような奴が、大統領にすぐに近寄りヒソヒソと報告する。


「ほう、たかがそれだけの為に死にに来たか。だが残念だったな、お前は犬死だ」


アヤカは表情を変えずに澄まし顔で、


「ではジンサイトの────」

「バカが、犯罪者だろうが。何故助けねばならん」

「助けなくてかまいません。軍を送らないだけ────」

「同じことだ。ふむ、そんな冒険者などどうでもいいが、面白い。精鋭を一万人そいつの討伐に送ってやろう。そいつはなかなか腕が立つそうだが、一万人に勝てるかな?どんな絶望を顔に浮かべるのか楽しみではないか」

「……」


大統領はニヤリと笑う。


「だが……、貴様がワシの情婦になると言うなら考えてやらんでも無い」

「……」


大統領はいやらしい笑みを浮かべる。


「さて選べ。ワシの情婦となり男を救うか、ここで死んで男も死ぬか」

「……」

「ワシは気が短いぞ?情婦になれば望みを叶えてやろう」


アヤカはフッと鼻で笑った。


「ん?」


そして、片側の口角を上げて言う。


「大統領、何か勘違いされてますね?」

「なんだと?」

「私は望みなど言っておりません。()()と言ったのです。あなた方が私に降伏を許す条件に、ジンサイトに兵を送らないことを要求したのですよ?」

「ああ?」


謁見の間にいた兵士や側近たちが、「無礼者!」や、「殺せ!」などの怒号をまくし立てる。


するとアヤカの唇が少し動く。


「(魔力増幅……魔力操作……並列魔法……魔力爆発)」


バリン!!


アヤカの手錠が粉々に吹き飛ぶ。

そして、室内に台風が発生したかのように、魔力が視認されるほど濃密にうねりをあげてアヤカの周りを回る。


「バカな!!魔封錠だぞ!!!」


ブオオオオオオオオオ!!


大統領や兵士は、荒れ狂う魔力風から耐えるように腕で顔を隠す。


次第に魔力の渦が落ち着くと、アヤカの身体には、まるでオーラのようにゆらゆらと揺らめく炎のような魔力を纏った。


そして魔王のような微笑みのアヤカは、両手を大きく広げると右手には火炎旋風のような竜巻、左手にはブリザードのような竜巻が現れる。


「な、なんだあれは…………」


両手にそれぞれ魔法を放つなど、ここ100年聞いたことがない。それにアヤカの纏う濃密な魔力、明らかに自身の数十倍以上に感じられた。

兵士や側近はすでにアヤカの魔力に当てられ、失神している。


「さあ、選びなさい。私の要求を飲むか、首都を灰にするか。全ては貴方次第です」

「…………化け物め…………」


アヤカは片側の眉、片側の口角をあげ、


「私は気が短いほうです。早くしないとついつい魔法を放ってしまいそう……」


大統領は血相を変える。この女はやる。本気でやる。たとえ後がどうなろうと、やると言ったら絶対にやる。と。

大統領の本能がガンガンと警鐘を鳴らした。


「ま、待て!ま、待ってくれ!!!」

「そんな言葉は聞きたくありません」

「わかった!飲む!飲むから!」


アヤカはまた鼻で笑い、


「よく聞こえませんね」

「の、飲ませてくれ!頼む!この通りだ!!」


大統領は椅子から降り、床に土下座した。

アヤカは両手の竜巻を消す。


「いいでしょう。貴方の願いを叶えます。私の要求を飲ませてあげます」

「か、感謝する…………」


大統領は生きた心地がしなかった。背中どころか全身から汗が吹き出し、膝が笑うことだけは意地で堪えていた。

これでもフェルズで五指に入ると言われた魔法使いだ、その意地もあった。


「約束、お忘れなきよう。もし、その時は」

「わかっている!!元々そんな冒険者などどうでもよいのだ!!クソっ!50年寿命が縮まったぞ!」


アヤカはニコリと笑い、


「冗談がお上手ですね。それでは」


と、大統領に背中を向ける。


「ま、待ってくれ!」


アヤカは足を止めて振り返る。


「な、名前を聞かせてくれないだろうか?」


アヤカは指一本を顎に当て、「んー」と可愛く悩んだ。


「いいでしょう。アヤカコンドと申します」

「アヤカ、コンド?」

「はい」


大統領は少し俯いた。アヤカは歩き出す。


「似ている……、伝説の冒険者、エルフの友、古代遺跡の全てを知る者、天下無双、数々の2つ名を欲しいままにした、ユーゾコンドに……」


出て行こうとしたアヤカはピタリと足を止めた。


「ユーゾコンド、ですか?」

「…………ああ……」


アヤカコンド

ユーゾコンド

アヤカコンドウ

ユーゾウコンドウ


アヤカはパッと閃いたように手を叩く。


「あー、それ、私の祖父です」

「っ!な、なんだと!!!」

「それにユーゾコンドではありませんよ?トモゾコンドです」


大統領は目を見開く。


「っ!な、何をバカな!冒険者登録証も残っているのだぞ!?」

「ですが、孫が言うんです。トモゾコンドが本名ですよ?」

「っ…………」


アヤカは菩薩のような微笑みを浮かべ、


「それでは、ごきげんよう」


アヤカは大統領官邸を後にした。




「さて、仁さんはエリーに任せれば大丈夫でしょう。今のエリーは今の仁さんよりも強いですからね。…………、私は…………仁さんがお帰りになられる屋敷を作って、魔改造をして待ちましょう。お風呂は大きくしないとベティに怒られますね。あっ、大統領、屋敷をくれるでしょうか?、聞いてみましょう」


アヤカは悪魔の微笑を浮かべた。


名も知らぬ大統領よ、


生きろ。


それしか送る言葉はない。



アヤカはきびすを返し、まるで自分の家に帰るかのように、悠々と大統領官邸の中へと再度歩いて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ