ババア
「これをお前にやる。向こうの冒険者ギルドで換金すれば17万ユーロになるだろ」
「い、いいの?」
「ああ。ただし、異世界のことを言う訳にはいかないのだから、それはどう収入を得たか説明出来ない金だ。イタリアの法律は知らんが、お前に国税局から査察が入るかもしれんし、追徴課税が発生するかも知れない。それでもいいのか?」
エリーは両手を広げて、肩を竦め、
「元々エリー一人で稼いだとしても同じことだわ。それに誰かから奪ったり犯罪したわけではないもの。ただ地球のルールと当てはめられないだけ。いざとなったら異世界に住むし、ジンの家に行くわ」
金貨200枚をエリーに渡した。
「さて、これでここでやり残したことは終わりかな?」
「はい、後は実際にフェルズ共和国の転移門へ行ってみないことにはわかりませんね」
「よし、じゃあ帰るか。エリー、いつ日本に来られる?」
「多分3日後かしら?」
「わかった。到着日が決まったら教えてくれ」
「わかったわ、お金ありがとう」
「いい、気をつけろよ」
エリーは先に帰って行った。
「さてと、俺たちも────」
「仁さん」
「ん?」
家の片付けも終わったし、日本へ帰ろうと思ったが、アヤカが呼び止めてきた。
「私は先に日本へ帰ります。仁さんはお世話になった人へ挨拶をした方がいいのではないですか?当分グランダムには来れなくなるかもしれませんよ?」
「…………」
アヤカは澄まし顔で言ってるが俺もバカじゃない。もう3度目だ、俺を一人にさせたい時は後からアレがやってくる。
「…………もういいだろ?満足したろ?」
「コスプレは生き様です。満足とかありません。それに私は良くてもミコトを満足させないと契約違反ですよ?」
「…………」
何故だろう、ハメられた感がするのは。
だがその程度を好きにやらせてやるくらいでみんなが納得してくれるなら、それも有りかと思った。
「あー、わかったよ。じゃあ先に帰れ。俺は挨拶回りしてくるわ」
「はい。車をお借りします、鍵を下さい。車は冒険者ギルド前に戻しておきますね」
「はいよ」
アヤカも先に帰った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺はブラブラとグランダムの街をふらつき、屋台のおっさんや服屋のエスパー店員、その他色々な人にしばらくこれないと挨拶した。
「おっと、武器屋も行っとかなきゃな」
むしろ1番世話になっている。初めての装備を破格で売ってくれたことには感謝している。
慣れた道を歩き、武器屋へと到着した。
「よお」
「……何だ?もう壊したのか?」
「ははっ、……あー、」
こいつには本当のことを言ってもいいだろ。世話になったし。
俺は少しドワーフのおっさんに近づき、
「おっさん、ここだけの話なんだけどよ、俺フェルズ共和国に引っ越すことにしたわ。今まであり────、助かったよ」
ドワーフは眉ひとつ動かさずに俺を見ていたが、
「ちょっと待ってろ」
「あん?」
ドワーフはいつものように奥へ入っていき、10分ほど待たされた。
おかしい、いつもはすぐに戻るのに。
するとドワーフが戻ってきたが、ドワーフの隣に子供がいる。
身長は120cmほど、エリーより更に一回り背が低い。
長くない髪をツインテールにし、動くたびに髪が跳ねるオーバーオールを着ている女の子だ。
だが、なんだ?子供みたいな顔つきじゃない。雰囲気が大人びている。
「俺の娘だ」
「居たのかよ!」
「あたいはザラ、よろしく」
「お、おう」
見た目に反して低い声で、大人っぽい挨拶をされてびっくりした。
「フェルズに行くならザラを連れてってくれ」
「は?!」
いきなり何を言ってるんだ、こんな子供を。
「別に仲間にしろとは言ってない。送ってくれるだけでいい」
「いやいや、こんな子供を送ってほっとけってそりゃ無理だろ」
するとドワーフとザラはきょとんとして、ザラは大笑いを始めた。
「ぎゃははははは、あたいが子供?ぎゃははははは!面白いこと言うガキだね?」
「は?」
「ははっ、まあ確かに親父からみたらひよっこだけどね、あたいは63だよ」
「マジで?!!」
まさか、まさかの俺の2倍と来た。
「あんた人族だろ?人族でその顔じゃ、あんたのが子供なんじゃないのかい?」
「……うそだろ……」
「なんだい、女のドワーフを見るのははじめてかい?」
63歳、全く見えない。肌はつるつる、ヒゲとかも生えてない。あー、よく見たら肉付きは割といいかもしれない。
これが噂のロリババアか。
「で、どうなんだい?連れてってくれるのかい?」
「あー……」
俺たちの移動手段は転移門だ。門をくぐれば言葉は通じなくなるし、何より全く違う世界を経由する。秘密も危ない。
俺が考えこんでいると、
「なんだい報酬かい?しみったれてんねえ。なら、道中あたいがあんたのシモの世話をしてやるよ。それでいいだろ?」
「は?!いやいやいやいや、そう言う事じゃなくてだな……」
ロリババアは腰に手を当て、
「ん?金かい?意外とせこいんだね」
「そうじゃない。あー、ちょっと訳ありでな。これもここだけの話だが、俺はお尋ね者になるかもしれない。だから関わらない方がいい」
「ほぅ、面白いガキだ」
ザラはドワーフのおっちゃんに向き直り、
「親父、決めたよ。親父はもう引っ込んでくれ。あとはあたいがナシをつける」
「わかった……、小僧、頼んだ」
「……待て待て待て…………」
するとザラは荷物をひと担ぎし、俺の右手と手を繋いできた。まるで子供の手だ。
「よし、じゃあ飯でも食いながら話そうか。奢りなよ、あんたも男だろ?」
と、片側の口角をあげてニヤリとし、俺の手を引っ張り出す。
ち、力がすげえ強い!!
「ちょっ、待てって!俺の話を聞け!」
「だから聞いてやるってえの!ほら、さっさと歩きな!」
俺はザラに引きずられるように歩いた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
場末の酒場のような場所に連れていかれ、ザラは昼間っからエールをガブガブと煽る。
「ふぅ、一息ついたね」
「一息って量じゃねえだろうが……」
「ここなら安心だよ、さっ、聞かせなよ」
「あのな……」
頭が痛くなる。強引すぎるだろ。
「いい加減にしろよ?話せないから『ここだけの話』って言ったんだよ。無理だ、他を当たれ」
「親父があんたの腕はピカイチだってんだ、あの親父が他人を褒めることなんてねえ。あたいはあんたに決めたんだよ」
「俺に関係ねえだろうが」
「なくはないだろ?あたいの剣を使ったんだろ?」
「あん?」
「あんたが安値で買い叩き、オークキングを貫いた剣だよ」
「あー」
あれの作者がこいつか。あれはなかなかいい剣だった。
「あたいもあんたに興味があったのさ。あたいの剣でオークキングなんてとんでもねえ化け物を倒したなんてね。嬉しいじゃないか」
「あー、まあな……。ってそれとこれとも関係ねえよ」
「ぎゃはは!生娘みたいにガードが固い男だねぇ?、ほれ、あんたも飲みなよ?!こんなチビに飲み負けて恥ずかしくねぇのかい?!」
ザラはドン!とジョッキを叩き、俺に目線で訴えてくる。
俺はちょっとカチンときて、ジョッキを一気に傾けた。
「ぎゃはは、やるじゃんかガキのくせに」
「誰がガキだ、このロリババア」
「ロリババア?なんだいそれ?まあ、いいさ、ほれ、飲みなよ」
エールの味はランスロットに聞いた通りだった。発泡酒を水割りにして、少し酸化したような味がした。
「なんだい、もう終いかい?、まあ、ガキじゃ仕方ないね」
「あぁ?ふざけんな、ロリババア。こんなうっすい酒で酔うわけねーだろ」
「ほう、ならイキなよ」
「おう、イッたらあ」
俺はどんどんエールを傾けた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
チチチチ、、チュン、ピロロロロ
「…………」
どうしてこうなった。
意味がわからない。
だがとても危機的状況だということだけはわかる。
見たことない天井、外は朝日が登っている。さっきまでは昼だったのに。
そして俺には掛け布団がかかっていて、ベッドに横になっている。
更に最悪なことに、布団の中で何かあったかくて柔らかいものが俺にしがみついている感覚がする。
怖い、布団の中を確認できない。
布団をめくらずにベッドから抜け出してやろうとしたが、物凄い力でがっちりと掴まれていて動けない。
首だけを起こして室内を見る。
俺の服が散乱し、パンツも脱ぎ散らかしてあるのが確認できる。子供用のオーバーオール、認めたくないが女物のパンツとブラのような物も見える。
俺とコレの荷物もちゃんとあるようだ。
「やっちまった…………」
もぞっ
柔らかな肉が俺を登ってくる。
ピコンと顔を出したのは、ツインテールの目がクリクリとしたロリババア、ザラだ。
「おはよ」
「…………みえない、俺は何も見えない」
「(・_・#)」
ザラはバサっと掛け布団を全て剥いだ。全裸の俺とザラが現れる。
俺は前にエリーをプニロリと言った。それは間違いだった。エリーはまだ子供のような身長ながらも女性のラインをしていた。
だがザラはおかしい。身長は小学校低学年なのに、胸は膨らみ、下腹もぷるんとしていて腕や腿にも肉がついている。
これがプニロリだ。ネットで見た二次元のアレそのままの体型をしている。
「まだ見えないかい?」
「…………頑張って脱がしたのか、大変だったな?」
「あんたが欲しがるからちゃんと相手もしてやったよ」
「ふざけるな。俺は子供に手を出さない」
ザラは鼻でフッと笑い、
「あんたはそのご自慢の悪魔で、あたいの腹の形が変わっちまうほど、さんざっぱら突き上げたくせに何言ってんだい?」
「…………そんなことはしない」
「流石のあたいも何度も天国を見させられたよ。なかなかやるじゃないか」
「嘘だ」
「あたいの中を海にするのかと思うほど、何度も注いだくせにまだしらを切るのかい?」
大体こういう時は実は未遂とか嘘をつかれてるってのがドラマでも映画でもほとんどだ。こいつは俺にフェルズまで送らせるために、罠にはめようとしている。
「手口が古いんだよ。大体、俺のがお前のサイズに入るわけが────」
ザラはスクッと起き上がり、俺の腹をまたいで脚を開き、くぱぁしてみせた。
ドロリ
「ほら、あんたのがまだたっぷり残って────」
「わあああああああああああ!!!!すんませんでしたあああああ!!!」




