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スキルレンタルで異世界無双 〜修行なんてもう古い、これからの時代は《借りる》!〜  作者: はがき
第三章 なんでも屋、ジンサイトエージェンシー。開業致します!
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しばしの別れ

「ご主人様っ!!!」


俺の姿を見たベティは、大粒の涙を流して俺に抱きついてきた。


「言ったろ?俺は絶対にお前を見捨てないと」

「信じていました!!信じていましたとも!私は溢れすぎて湖になっています!」


だから毎回何が溢れてんだよ。



~~~~~~~~~~~



ベティが落ちつくのを待ち、それからベティに事の顛末を説明した。


「私に更なるお仕事が貰えるのですか?!」

「ああ、それもとびっきり重要なやつだ。だけど長旅をしてもらわなきゃならなくなる」


するとベティはキラキラした目で、深々と頭を下げた。


「そのくらいどうと言うことはありません。お任せください、あのチンチクリンが覚えられたことなど、造作もありません」

「誰がチンチクリンよ!!」

「来たか」


エリーだ、俺たちに遅れてきたようだ。まあ、うるさいことには変わりないが、あの翻訳機のイライラよりはだいぶマシだ。


「あら、居たのですか。小さくてわかりませんでした」

「いるに決まってるでしょ?!、ジン!」


と、また一段と飛び上がり、俺に抱きついてくるが、


「ぐえっ!」


アヤカとベティのダブルラリアットで地に落とされた。


「痛いじゃない!何すんのよ!」


現れた。また現れた世紀末の修羅と氷の女王だ。

2人は冷ややかな目で床に落ちたエリーを見る。


「ふふふ、チンチクリンは随分と調子に乗っていたようですね、アヤカさん」

「ええ、それはもう。私たちが譲ってあげたと言うのにやりたい放題……」


エリーはじりじりと後ろに下がる。


「な、何よ!協力してくれる約束じゃない!」

「だからって調子に乗りすぎです。仁さんの膝を占拠するなんて言語道断」

「っ!!……本当ですか?アヤカさん」

「ええ、あまつさえ、3回も」

「っ!!ゆ、許せない…………、譲ってあげたのを利用して3回もなんて……」


エリーは言わなきゃいいのに、余計なことを言う。


「へ、へへ~んだ!あんたらみたいに贅肉ばっかりの年増だから回数すくないんじゃないの?!エリーなんて繋がったまま一晩寝たのよ?!」


アヤカとベティはカッと目を見開き俺を睨んできた。

そしてエリーは、勝ち誇った顔で半眼で2人を見返し、


「知ってる?目を覚ました時に繋がってるこの快感と幸福感、もう死んでもいいと思ったわ?!一晩ジンの厚い胸の上で寝て、目を開けるとジンの顔が目の前にあるの。そして私の中にはジンの温もりが…………、はぁ~、幸せだわ……」


エリーは思い出しながら蕩けた顔で自分を抱きながら言う。

2人からは黒いオーラが立ち上っている。


(あっ、死んだな)


「ふふふ、ならエリーはもう思い残すことはありませんね」

「ええ、冥土の土産も充分でしょう」


アヤカはポキポキと指を鳴らしながら、ベティはコキコキと首を鳴らしながらエリーへと歩く。


「な、何よ!ひがみなんて醜いわよ!」

「エリー、もう言葉は入りませんよ」

「現地人だってスキルはあるんですよ」


「や、やめて!来ないで!ジン!!」


エリーは俺を見たが、俺はヒラヒラと手を振った。


ガシッ


エリーはアヤカとベティに両脇を掴まれ、足をバタバタとさせる。


「離しなさいよ!ジン!助けて!ジン!」

「付き合ってられるか」


俺は3人を置いて、グランダムの街へと繰り出した。


「ジィィィィン!!!!」




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




酒場に来た。ランスロットを探すためだ。まだ昼間だが情報を得るには酒場ってのは古からの鉄板だ。


「あー、そういやーランスロットは今日フェルズに帰るって昨日言ってたぜ?」

「本当か?!どっちの門だ!!」

「そりゃ、フェルズなら南だろうよ」

「助かった!!」


俺は大銀貨一枚をカウンターに置き、ダッシュで南門へと走った。


「おい、ランスロットを見なかったか?!ランスロット知ってる?!」

「ランスロットさんかい?1時間前ぐらいに出たよ」

「ど、どっちだ?!」

「街道沿いに馬車で行ったよ」

「っ!!馬車かよ!!」


だが馬車は遅いと聞いたことある。


(逃すか、ランスロット!!スキル借りといて良かったぜ!)


「うおおおおおおおおおお!!」


俺は持てる力の全てを使い、ランスロットたちを街道沿いにダッシュで追いかけた。




~~~~~~~~~~~




俺が南門を出てから2時間、


「見えた!おーい!!」


俺が叫びながら馬車を追うと、中から武装した人間がゾロゾロと8人も出てきた。


「ランスロットォォォォォ!!」


剣を構えていた奴らは、ランスロットの名前を聞くとランスロットの顔を見ていた。


「?、ジンサイトくん!!」


どうやら警戒は解けたようだ。

俺ははあはあと息を切らす。


「びっくりしたよ、ワイバーンでも飛んできたのかと思った。えらい速いね」

「はあ、はあ、お前に、はあ、はあ、依頼を頼みたい!!はあ、はあ、街まで戻ってくれ!!はあ、はあ」

「依頼かい?フェルズまで帰るんだが?」

「フェルズまでの護衛依頼だ!」

「ジンサイトくんには必要ないだろ?」

「俺じゃない!頼む!受けてくれ!」


俺の必死な表情に、


「……わかったよ、とりあえず話は聞こう。御者さん、フォレストガーディアンの4名はここで降りる。金は返さなくていいよ」

「へい、ではこれで」


馬車は進み始めた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ってお前、ナルス?」

「遅すぎるだろ!!なんで気づかねえんだよ!!」

「僕らは合併してパーティを組み直したんだ」

「へー」


グランダムに戻りながら、事情を説明する。

#森の守護者__フォレストガーディアン__#のランスロットとオークから救出した森の守護者のセリー

疾風迅雷のナルスと、これまたオークから救出したファタソ。

どっちも大きく人数が減ってしまったので、合流して森の守護者としてやり直すことにしたそうだ。


「はー、そりゃランスロットも大変だな」

「てめえ、まさかそれは俺のことを言ってねえだろうな」

「気のせいだろ」


ナルスは悪いやつではないが、口も悪いし態度も『冒険者!』って感じだ。ランスロットとは合わなそうな気がする。


「で、依頼を聞かせてもらえるかい?」

「ああ」


俺はベティをフェルズ共和国の首都まで送ってもらえるように頼む。


「ふむ、構わないけど、自分では送らないのかい?大事な人なんだろ?」

「大事だから適当な奴には頼めない、お前だから頼みたいんだ」


するとナルスが、


「依頼だろ?いくらジンサイトの頼みでも金はもらうぜ?いくらだよ?」

「金貨100枚出そう」

「「「「100枚?!!!」」」」


女のセリーとファタソも大声をあげた。


「はっきり言う。それほどの大事な人だ。頼む」

「やべえな、貴族の護衛だって金貨10枚がいいとこだぜ?それを100枚?どこの姫様だよ」


ナルスが疑ってくる。


「いや、盗賊にさらわれたサージェント出身の町娘だ」

「はあ?!!それに金貨100枚だと?!薄汚────」


俺がギロリとナルスを睨むと同時にランスロットはナルスの顔の前に手を出した。


「ナルス、君のそういう所は直さないとな。まさかセリーとファタソもそうだと言うのかい?」


ナルスはカッと目を見開いて、


「す、すまねえ……許してくれ」


俺は、


「ナルス、死にたくなかったら俺よりも後ろの2人に謝っとけよ?」


ナルスが後ろを振り返ると、怒り心頭の女が2人いた。ナルスはポカポカと殴られ始めたが、俺はランスロットと話を煮詰める。


「それほど大事なのに、どうしても自分では行けない、と」

「ああ、本当にすまん」


ランスロットは少し俯いて、


「いいよ。丁度装備も不安だったんだ。金貨100枚なら装備を整えてもお釣りがくる。受けるよ」

「……本当に助かる」


ランスロットは真面目な顔になり、


「ジンサイトくんの大事な人、僕の命に代えても必ずフェルズまで送り届ける。安心してくれ」

「助かる。俺は美味いエールを持って現地で待ってる。俺の家が出来てるだろうから一杯やろう」

「お?ホームを移すのかい?」

「ああ、だけど秘密にしてくれ。ギルドにもだ」


ランスロットは怪訝な顔をして、


「面倒にならないかい?」

「そっちには迷惑かけない」

「いや、僕らは平気さ。グランダムにホーム移動申請が出来ない理由があるんだね?」

「聞かない方がいい」

「そうするよ」



俺は金を先払いして、南門の宿屋でランスロットと待ち合わせする。

ベティを宿屋に連れて行こうとすると、ベティは荷造りはもう終わっていた。さすがだ。



「ご主人様、行ってまいります」

「気をつけろよ」

「ジンサイトくん、約束は守るよ」

「頼む」


俺はランスロットと硬い握手をした。

ナルスがベティを、ほけ~っと見惚れていたのが引っかかったが、ランスロットも居るんだ、大丈夫だろう。


「べ、べ、ベティちゃん!!このナルスが絶対に守るから安心してくれ!!」


ベティはナルスに、営業スマイルのような優しい微笑みで、


「はい、お願いしますね?ナルス様」

「っ!!」


ナルスは目を見開き、


「うおおおお!!やるぜ、やってやるぜ!!」


と、飛び跳ねていた。こりゃ大丈夫そうだ。


そうして、ランスロット一行とベティはフェルズ共和国へと出発した。

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