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異世界の男ってやつは……

更に森を突き進む。注意深く歩くと、動物が結構いることがわかった。うさぎやら鹿やら、たまにはイノシシやら。

でも俺の気配を察知すると、向こうのが逃げていく。これは狩猟のが大変だなと思った。


何げに結構オークが出てくる。

もう五体も倒した。一度倒し方がわかれば、あいつらは動きが遅い。首に刺してしまえさえすれば勝てるので、意外と楽なものだった。



俺は雰囲気の焚き火をして、地面に座ってベティのお弁当を広げる。


「サンドイッチか」


手軽に食えて助かる。しかしベティはいつ作ったんだろうか。


「…………うまい」


肉は入ってなかったが、卵と野菜のサンドイッチだ。マヨネーズが日本のよりも優しい味がする。


食い終わった頃に、何か人の声のようなものがうっすらと聞こえる。


「……なんだ?」


俺は焚き火を消してから、声のする方に歩いて行った。




声は森の歩道から外れ、森の奥から聞こえてくる。徐々に大きく聞こえ出すが、まだ姿も見えないのに、うっすらとしか聞こえないってことは、相当な怒鳴り声なんじゃなかろうか。

それに女の甲高い声もする。

俺は足を早めた。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「近寄るんじゃないわよ!!」


身長140ほどの女が男四人に囲まれている。


「おれぁ思うんだ、大体よお、冒険者なのにその格好は誘ってるとしか思えねえだろ。お前が悪いんじゃねえのか?」


女の格好は、かなりの軽装だ。パーカータイプのワンピースとでも言うのか、男物のパーカーを小さい女が着ているだけとでも言うのか、膝上20cmぐらいでナマ足だ。


「エリーが何を着ようと勝手でしょ?!」


後ろの男がいやらしい笑みを浮かべる。


「でもよぉ~、ずっとチラッチラ、チラッチラパンツが見えんだよ。これは誘ってる以外にないでしょお」

「動くんだから仕方ないじゃない!」

「それがわかってるなら、普通ズボンを履くんだけどなあ~」

「あんたに指図される謂れはないわ!!」


男たちはジリジリと距離を詰めていく。女は太ももから、クナイのような短い刃物を二本取り出し、両手に持って腰を落とす。


「それ以上近づかないで!ホントにやってやるんだからっ!」


男たちはにやけた顔を更ににやけさせる。


「あ~、俺も同感だ。本当に、ヤッてやるよ」

「この変態!」

「大丈夫、すぐに気持ちよくなるって。女なんて突っ込んじまえばアンアン言いだすんだからよ」

「ホントーに殺すわよ!」

「俺たちも殺してやるよ。たぁ~っぷり楽しんだ後でな!」

「きゃっ!」


女の後ろの男が、女を後ろから抱きしめた。女の両腕は拘束されてしまった。


にやけた男たちが女に近づく。


「こんのっ!感電(スタティックトロン)!」

「ぎゃ!」


女が呪文を唱えると、近づこうとしていた正面の男に電気が走った。


「おい!魔法を使わせるな!口を塞げ!」

「お、おう!」


後ろから抱きしめていた男は、片手で女の口を塞いだ。


「んぐ、んぐう!」


女は全身をバタバタとさせる。

足をバタバタするのでパンツが丸見えだ。


「うへへ、よぉ~し、大人しくしろよ」

「うひょお!」


感電してた男ももう復活する。


「いつつ、魔法を使いやがるとは油断したぜ」

「んぐう!!」


一人の男が女の両足首を掴んだ。


「うへへ、もう終わりだ。観念しな」

「んぐう!!」


女は全身を掴まれてるのにもかかわらず、バタバタと懸命にもがく。


「早く地面におさえつけろ!」

「待て、慌てるなよ」


一人の男が両足を持っていたのを、もう一人が右足を持った。一人一足を持ち、地面へとつけた。

上半身と口を抱えてる男が、


「おい、こっちも手伝え!」

「めんどくせえ」


ボフッ!


「んぐっ!」


女の腹にパンチを入れた。女はくの字に曲がった。


「いいか、大人しくしてれば痛い目を見ずにすむ。暴れるなら手足を切り落とすぞ?俺たちぁ穴さえあればいいんだ」

「…………」


女は暴れるのをやめたが、目だけは男を睨みつけていた。


「よーし、いい子だ。よし、寝かせろ」


両腕を拘束していた男が、女を地面につけようと力を少し緩めた瞬間、女は両手のくないを、後ろから抱きしめていた男の腹に突き刺した。


「ぐあっ!」


拘束が解かれる。


「スタティックトロン!、スタティックトロン!」


「ぎゃ!」

「ぎっ!」


両足首を持っている男たちに魔法をかけ、右足の男はカエルのようにひっくり返った。だが左足の男は足首を掴んだまま感電している。


ザシュ!


「っ!」


女は足首を持っている男の首をクナイで引き裂いた。男の首から鮮血が溢れ出す。


「ふんっ!」

「あっ!」


一人難を逃れていた男は、女の後ろから思いっきり後頭部を殴った。

女は目を見開いて、バタっと前に倒れた。気を失ったようだ。


「……ちっ、手間かけさせやがって」


感電カエル男も復帰する。


「いつつ、このクソあまぁ……」


腹を刺された男も起き上がる。


「おい、ポーションをくれ」

「ああ」


殴り男はポーションを腹男に投げる。


「かひゅー、かひゅー」


復帰した男たちが首を切られた男を見下ろす。


「こいつはもうダメだ。楽にしてやれ」

「ああ、仕方ないな」


感電カエル男は、首男の胸を剣でひと突きにした。男は絶命した。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「くそが、手間かけさせやがる」

「まだ手間は終わってねーんじゃねーか?」

「何っ!」

「誰だ!!」


間に合った。

やはり女が襲われていたようだ。

それに女の服装がちょっとおかしい。異世界で見たことがない。てゆうか日本の服に見える。


俺は剣を抜いたまま、男たちに話しかける。


「お前らの関係は知らねーけど、無理やりはいかんだろ」

「誰だてめえは!」

「だれでもいいだろうが」


3人の男は剣を構えた。


「……そのまま引いてくれねえか?別に俺はお前らとやりあうつもりはない。その女だけ置いていけ」

「ふざけるなっ!これは俺たちの獲物だ!」

「そうだっ!」


獲物ときたか。だが、多分あの女は服装からして地球人だろ。見捨てるのはいささか気分が悪い。


「悪いが俺は女に用がある。置いていけ」


一人のやりそうな男が俺に笑いかける。


「ふはは、女が欲しいのか。なら、俺たちの後にやらしてやるよ」

「俺はガキとやる趣味はねーんだ。いいから消えろ」


男は俺の物言いに眉をしかめた。


「3対1だぞ?」

「当たらなければどうということはない」

「……」

「……」


横に回り込んだ男が俺に石を投げてきた。大丈夫、ちゃんと見えていた。俺はそれを難なく躱すと、


「うおりゃあああ!」


逆サイドに回り込んだ男が、剣を振りかぶってきた。


俺、ドラマや映画でもいつも思っていたが、なぜ声を上げながら不意打ちするんだろう。あえてバラす意味があるのか。


俺はそれをサッと半身で躱したあと、そいつの背中に蹴りを入れた。


ドン!


「いぎっ!」


男は木の幹に頭をぶつけてうずくまった。

すると正面のやりそうな男が、


「シッ!」

「おっと」


キン!


俺の首めがけてするどく突いてきた。速い。トラオより速い。

俺はそれを剣で払い、払った力を利用して、そいつの足を切りに行く。


「ふっ!」


そいつは後ろ向きに飛んでかわした。


(すげぇ、人間、あそこまで跳躍出来るのか?)


そいつは着地と同時に俺に向かって飛び込みながらついてくる。

同時に、石を投げた男も短剣で俺の背中から切り掛かってきた。

俺はしゃがみ込む動きをしながら、ブレイクダンスのように足払いを円を描くようにする。

軌道では剣で足払いと見えたが、それをしたらこいつらの脚がなくなっちまうので、足払いにした。


「へぶっ」


後ろのやつは足払いに引っかかったが、出来る男は大きくジャンプした。


「うおおお!」


俺の脳天に突き刺してくる。俺はそれを斬りはらうように、天を斬る。


キン!


男の剣は吹っ飛んだ。だが、そいつはそのまま俺に落下してくる。

俺はでんぐり返しをしてそれをかわし、剣を寝かせて、剣身の腹で後ろを薙ぎ払う。


「ぐはっ!」


それは着地と同時にまた俺を追ってきていた出来る男の胴体にヒットした。

俺はスクッと立ち上がる。


「まだやるか?」

「…………化け物め……」


盗賊の時といい、今といい、人を化け物扱いはやめていただきたい。


「おまえ、おまえも。死体と伸びてるやつを持って消えろ。そうすれば命は助けてやる」


出来る男はギリギリと歯ぎしりをしたが、


「……行くぞ」

「あ、アニキ!」

「死体を忘れるな!」


死体と装備を持って男たちはどこかへ消えていった。



「さてと……」


俺はうつぶせで倒れている女を見る。

完全にミニから尻が出ていて、パンツが丸見えだ。しかもPK(パンツ食い込む)していて、Tバックのようになってる。


「ん?」


そいつの尻には★の形のアザがあった。


「珍しいな。つか肌白いな」


エルフかと思うほど肌が白い。

とりあえず俺は女のパンツの食い込みを治してやった。


「まあ、子供だから触っても良いだろ。はい、NPK(ノーピーケー)


本当に肌が白人のように白い。


「え?つうかエルフか?」


髪はブロンドが究極まで色が薄くなったような色、若いからか白髪と言うより銀色に見える。だが日本人ではなさそうだ、なぜ気づかなかった。銀色の髪の日本人はいないだろ。

俺は女の髪をかきあげる。耳は尖ってない。


そして女を仰向けにして抱き上げる。


「っ!」


エルフではないだろう、間違いなく言えることは日本人の顔つきではなかった。ロシア系の子供と言う感じに見える。


「おーい、おい、大丈夫か?」


軽く叩いても目を覚まさない。胸を服の上から触ってみると鼓動は感じ取れる。息もしているようだ。


「……B、いやCか?」


俺は焚き火をまた作り、女が起きるのを待つことにした。

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