↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/85

文明開化

ベティはサージェントという町の宿屋の娘だという。連れてってやろうかと言ったのだが、逆に面倒なことになるので両親には自分はもう死んだと思わせといたままのがいいと言う。

そんなんあるかと抗議するも、間違いなくこれが正解で不幸でもないと言い切られてしまえば、俺も追求しようがない。


仮自宅へベティと帰る。

流石宿屋の娘と言ったところか、風呂釜の使い方はお手の物だった。どうも風呂釜に魔力を注入して、それを動力にしてるらしい。


ベティが物珍しく自宅を見て回り、風呂を準備している間に、俺は食い物と衣類の調達に街へ出る。

ベティを連れてきた方が早いのだが、バスタオルで歩かせるわけにもいかないし、靴もない。とりあえずはそれを用意しなければ話にならないだろう。


服屋はあった。

だが、木箱に押し詰められた服が軒先に並べてあったり、あまり綺麗には見えない服だったりだ。古着なのか、俺にはウエスにしか見えんが。


更に探し回ると、ガラスの窓の中にドレスが吊るされている店を見つけた。高級そうな見た目だが、ウエスを着せる気にはなれなかったので、仕方なくここに入った。


「いらっしゃいませ」


上品そうな中年の女性が出迎える。


「あー、服が欲しいんだが」

「どのような服でしょうか」

「あー……」


そう言われても選びようがない。

店内を見渡す。ドレス、ドレス、ドレス。


「どんなのが喜ばれるのかな?」

「プレゼントですか?」

「いや、着るものがないんだ」

「…………、今はどのように?」

「あー、裸?」

「…………」


仕方ないだろ!説明のしようがないんだよ!

だが、店員は何かピンと来たようだ。


「それはあえて古着を着せたくはないと」

「そ、そう!」

「でも普段着が欲しいと」

「おう!」

「作業しやすく、それでいてみすぼらしくないと最良と」

「流石!!」

「お待ちください」


店員は奥へと消えていった。

ドレスばっかりで不安だったが、なかなか頭の回転の早い店員で助かった。


1着の黒いワンピースを持って店員が戻ってきた。


「あっ、それは?!」

「こういうことではないのですか?」

「まあ、アリだな」


メイド服だった。だが、秋葉原とかで客引きに立っているメイドコスプレの衣装よりは作りがしっかりしてるように見える。


「本来は、本人に来て頂き寸法を取るのですが、今は来られないと言うことですよね?」

「すごいな!見てきたようだ!」


悟りストかよ。


「体型は私より細いですか?」

「いや、同じくらいだな」


店員はそんなにピッタリした服ではない。


「なら、多分私より少し細いですね。背格好は?」

「同じくらいかな」

「お年は?」

「19だな」

「可愛いですか?」

「?、あー、まあ、そうだな」

「お待ちください」


この情報で何が分かると言うのか。

だが、店員はまたメイド服を持って帰ってきた。


「私の服はゆったりしております。それで同じくらいと申されますなら、まず細いでしょう。お客様にお気遣いしていただいたようなので。最近の若い方は私たちの年代より平均的に5cmほど背が高いです。ならばこのくらいのスカート丈が上品かつ美しいです。そして、可愛いと即答なさるのなら身体の起伏もそれなりにあるのでしょう。でしたらこれが最良とお見受けします」

「神かよ!!」


異世界の店員はここまですごいのか?!


「流石にブラは計らないと無理です。下着はこれを。靴も計らないと無理ですので、このカカトのないものをお持ちください。替えは必要ですか?」

「マジすげーんだけど。任せる!」

「かしこまりました」


店員はTシャツのような服を3枚、パンツも3枚、靴、サンダル?ミュールのような靴を一足、メイド服は2着用意した。


「金貨2枚、大銀貨5枚頂きます」

「思ったより安い!」


しかも安かった。ここまで高級ブティックのような店だ。ここまで揃えて25万なら悪くない。布地もいいものだし、作りもしっかりしている。


「また来る!あり、助かったよ!」

「またお越しください」


俺は嬉しくなり、一目散で家に帰る。

それをベティに渡すと、


「新品?!奴隷に新品はやりすぎです!」

「いや、あのボロ切れみたいな服はちょっと……」

「でも、メイド服はありがたいです。これならお貴族様の奴隷として通ります」

「その奴隷ってのやめない?」

「逆です。奴隷紋が入っているのに奴隷を隠すのは異常です。もっと当たり前のように振舞ってください。特に外では気をつけてくださいね」

「……ああ…………」


何故か既にイニシアチブを取られてる気がする。何も話してないのに、全てを理解してるような。


「お風呂が沸いてます」

「先にはい────」

「ありえません」

「…………」

「兄妹なら────」

「兄妹でも家長から入るのが常識です」

「…………」


もうダメだ。勝てない。

ミレイがウチに来たような気分になる。


「わかったよ……」


俺は先に風呂に入った。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ」


風呂はやっぱり生き返る。本当に最高だ。

俺が心底リラックスしてると、ふと何か嫌な予感がする。


「待て、このパターンは────」

「失礼します」

「デスヨネー!!」


やはりベティが入ってきた。


「お背中お流しします」

「いやいや、お前、これは無しだろ!」


彩花さんとは違う。なんせこいつは自ら奴隷に徹しようとしてるのだから。当然全裸で入ってきている。


「お兄ちゃんからもらった服が汚れてしまいますので」

「だからってよ!」

「さっ、上がってください。それとも私が湯船に入りますか?」


全く有無を言わせない。


「わぁーったよ!出るよ!」


こうなりゃヤケだ。前を隠すタオルも無いが、俺は風呂から出た。

ベティは目を見開いた。


「デ、悪魔(デーモン)……」

「うるせえ」


俺は椅子に座る。ベティは「入るかしら」とかぶつぶつ言っている。


ベティはタオルで背中を流し出した。


「あっ、それ、石鹸」

「?、これ、石鹸なのですか?」

「うん」

「こんなのみたことありません」


ポンプ型のボディソープだ、見たことはないだろう。


「あー、いい機会だ。教えてやるよ」

「へ?……何、きゃっ!」


俺は椅子から立ち上がり、ベティを椅子に座らせて頭からお湯をかけた。


「ベティ、これがシャンプーだ。こっちがリンス」

「しゃんぷー、りんす?」

「そう、まずシャンプーな?」


俺はシャンプーを3プッシュし、ベティの頭をワシワシと洗う。


「っ!」


今まで頭をどうしていたのか。なかなかゴワゴワな頭だ。ベティの髪はブロンドで肩に微妙にかかるくらいだ。元は良さそうなのに浮浪者みたいな頭になってる。


一度泡だたない頭を流し、もう一度洗いあげる。


「ふぁ~~、ここが天国……」

「あほか。今までどうしてたんだ?」

「普通は水洗いです。たまには石鹸で洗って香油をつけたりします」

「これからは毎日これで洗え」

「毎日ですか?」

「ああ、毎日だ」

「お貴族様みたい……」


入念に洗ってから泡を流し、リンスを5プッシュする。


「これはリンス。香油の代わりだな。これも毎日な?」

「はい」

「頭皮じゃなくて、髪に塗り込むようにするんだ」

「はい……」


ベティはうっとりとしている。


そして俺はタオルにボディソープを3プッシュする。


「これは体用だ」

「かしこまりました」


俺はそれでベティの身体を洗いあげる。

泡が茶色くなる。

一度流してからもう一度洗う。

洗車してるような気分で欲情はしないが、ベティのスタイルはいい。

胸の下も洗うが、手にモリッと乗るくらいある。Eぐらいか。

隅々まで、隅々まで洗ってやる。シワの中まで洗うつもりで洗う。


「気持ちいい……。本当に天国みたい……」

「明日からは自分でやるんだぞ」


ベティは俺に振り返り、眉を少し寄せた。


「えぇ~~」

「うるせえ、さっきまでとエライ違いじゃねえか」

「だって……、こんなに幸せなことを知ってしまったら……」

「…………たまにな、たまに」

「はい」


ベティにお湯をかける。

頭も入念に流す。


「リンスは香油と違って、こうやって最後に流すんだ」

「すごい……、自分の髪じゃないみたい……」

「毎日やればもっとサラサラになる」


ベティはまた振り返る。


「これ以上?!ここまでサラサラなのに?!!」

「ああ。モテるぞぉ?処女かどうかなんてどうでもよくなるくらいにな」


するとベティは頬を膨らませた。


「モテる必要ありません!わたしにはお兄ちゃんがいるんだから」

「……お前、コロッコロ変わるな……」

「私の人生が何度もひっくり返るようなことが、たったこれだけの時間で何度も起きてるんですよ?!変わるのが普通ですっ!」

「はいはい、さっ、風呂に入れ」


俺はベティを立たせる。


「ダメです」

「ん?」

「今度は私の番です」

「……」


くそっ、それをされたら反応してしまいそうだから、ごまかしてたのに。


「俺はいいから」

「ダメです」


ベティはまっすぐ俺を見る。


「今教わったことを忘れないように、すぐに練習が必要です」

「……わかったよ……」



ベティは頭から教えた通りに俺を洗い出した。シャンプーなどのボトルは、日本語なので区別がつきにくいはずだが、ベティは間違えることなく正しく使い分けた。


「おい、そこはいいから」

「でも、反応しています」


それは仕方ないだろ。だから嫌だったんだ。ベティはおれの膝にまたがるように立つ。


「は、入るかな……」

「お前、いい加減にしろ。犯さないって約束したろ?」

「これは犯されるのではありません。私が犯すのです」

「ダメだ。それをしたらお前をここに連れてきた意味がボヤける。俺の心の問題だ」

「……」


ベティは少し顔を曇らせたが、すぐに顔を上げた。


「わかりました。では」


ベティの手が動く。


「おい、だから」

「洗うだけ。洗うだけですから」

「ベティ……」

「お兄ちゃんもしてくれましたよね?私は身も心もスッキリしました。お兄ちゃんもスッキリしてください」

「……」


ちょっと狭かったが二人で湯船に浸かり、風呂を出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。