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スキルレンタルで異世界無双 〜修行なんてもう古い、これからの時代は《借りる》!〜  作者: はがき
序章 何でも屋、異世界に出稼ぎに行く
2/85

猫耳女

「本当に青木ヶ原樹海かよ……」


翌朝早く、俺はメールの場所に車で出発した。

地図は青木ヶ原樹海を指していたが、一応来てみた。


考えてみたら、もし詐欺なら引き返せばいいし、取られるものも本当に何もない。身柄を拘束されるとも思ったが、こんなオッさんの身柄を拘束して何の得があると言うのか。

万が一、万が一を考えて、一応話だけは聞いてみることにした。


青木ヶ原樹海の指定地点までは車ですぐの距離だ。そこにつくと、森の中へと続く道が出来ていた。


「……こんな道あったか?」


俺の車は4WDのSUVだ、路面は問題ないのだが、鬱蒼としていて入るのを躊躇する。


「…………ここまで来てビビってどうする!」


俺は森の中へと車を走らせた。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




車で5分ほど森の中のあぜ道を走ると、何やら看板と建物が見えてきた。その看板には、


「……冒険者ギルド 青木ヶ原樹海支店?」


聞いたこともない店の看板だ。

俺は車を止め、ロックをしてこのへんちくりんな建物のドアをノックする。


「どうぞー。開いてますよ」


声は昨日の電話の声だった。

恐る恐るドアを開けてみると、事務机みたいな机で作業している女が居る。

なかなか若くて綺麗な女だが、


(痛いな。こんなところに居るからこんな痛い女になっちまったのか?)


なんと頭に猫のような三角耳をつけている。あんなカチューシャがドン◯ホーテに売ってるのを見たことある。


女は事務机から席を立ち、電子ポットにお茶を入れに行く。


「そこのソファに座ってください」

「……」


(……どこまでコスプレに本気なんだよ。尻尾までつけてやがる……)


スカートの裾から、長く伸びた猫の尻尾がゆらゆらと飛び出している。

コスプレ好きなのは構わないが、わざわざ俺が来るとわかっているのに、あえて着けて見せるところが痛々しい。


俺はソファに座り、女も俺の正面のソファに座る。俺は女が持ってきたお茶を一口口をつける。


「私の名前はミランダです。以後宜しくお願いします」

「ミランダ?」


確かにどことなく西洋人っぽい顔をしている。だが、鼻も高くないし、アジア人っぽい顔だ。日本人と言われた方がしっくりくる。


「はい。早速ですがお仕事の話をしてもいいですか?」

「……ああ」

「お仕事内容は冒険者をやってもらい、その素材をこちらに持って帰って来てもらうことです」

「冒険者?」


俺が眉を寄せると、


「あれ、知りません?最近では有名なんですけど」

「……聞いたこともない」


(なるほど、だから冒険者ギルド 青木ヶ原樹海支店か。

だが、冒険者ってことは旅をすればいいのか?)


するとミランダと名乗った女は、少し口を開けて、


「あー、もしかしたらそういうことですか?」

「どういうことだ?」

「これはちょっと予想外でした。仕方ありませんね」


女は立ち上がると、事務机から一冊の文庫本を持ってきた。表紙に何やらオタクくさい少女の絵が描かれている。


「とりあえず、今日これを持って帰って、読んでから明日また来てもらえますか?」

「これが仕事となんの関係がある」

「読めばわかります。私が説明するより早いです」

「……」

「もう一度だけ言います。私たちは本気で斉藤仁さんを雇いたいです。からかってはいません。斉藤仁さんも私たちと仕事がしたいと思ってもらえるなら、それを読んで明日来てください」


俺は、何を言ってんだこいつはと思ったが、あまりにも真面目な顔なので、ちょっとだけ本気になった。


「わかった。でも本気ならコスプレはやめろ。社会人としてどうなんだそれは」


俺はミランダの返事も待たずに文庫本を持って席を立った。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




~翌朝~

午前7時、冒険者ギルド 青木ヶ原樹海支店


「開けろ!開けてくれ!!」

「開いてますよー」


バン!


俺は勢いよくドアを開ける。

事務机には猫のコスプレのミランダが座っている。


「ほ、本気なのか?!」

「……やっとわかってもらえましたか?」

「まさか、俺にこの異世界ってとこに行って冒険者をやれと言うのか?!」

「はい。ただ、仁さんの場合は、向こうに行ったきりではなく、通い(かよい)で向こうにで行ってもらいます。そして素材の買取はこちらで日本円でしますよ。あ、向こうにお金を持って行きたいなら両替もします」


ミランダはニッコリと微笑んだ。


「……信じられん……」


するとミランダは席を立ち、俺の目の前に来た。


「私もこれはあまりしたくは無いのですが、このままでは話が進みませんからね」


ミランダの身長は150ほどだ。頭が俺の目の前にくる。


「触っていいですよ?」

「……」


俺は恐る恐るミランダの猫耳を触ってみる。


「あっ……、ちょっとくすぐったい」

「コ、コスプレじゃないのか……」


猫の耳だ。本物の猫の耳だった。耳の付け根まで触ってみたが、しっかりと頭から生えている。ミランダの髪をかきあげ、通常の人の耳が生える場所を確認してみたが、そこには何もなかった。


俺がしげしげと触っていると、


「もう、良いでしょうか?恥ずかしいので……」

「っ!あ、ああ……」


ミランダがソファに座る。俺もミランダの正面に座った。

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