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嘘か真か

どうやら道はこいつらが知ってるようだ。道中野宿で一泊するようだが、リュックを持ってるやつが3人いるだけで、こいつら全員荷物を持ってない。

一体どうやって野宿するのか、木の上で寝るのか?


俺?俺は一応迷子になって、水が無くなった時とかのために、日本から持ってきた雑貨類の中にパンと水のペットボトルを入れてあった。それが背負ってる亜空間バッグに入ってるので問題ない。


「なあ、あんたジンって言うんだろ?どこの流派なんだい?」


俺に胸を揉まれた赤髪の女、ティアモは、俺の隣を歩き、執拗に話しかけてくる。なんだ?胸を揉まれて気持ちよかったのか?


「流派なんてない」

「そんなわけないだろ?どこで修行したかで流派はあるはずだよ。カザミ流かい?ベロニカ流かい?」

「ない。しいて言えば我流かな?」

「ああ?」


俺の返事が気に入らなかったのは、先頭を歩いてる男、いけすかない顔の男だ。確か名前をガルムと言った。


「かっこつけんじゃねえよ、我流なんかでレベル3になったやつはいねえ!」

「だけど3だから仕方ない」


ガルムは苦々しい顔をして、


「くそっ、ギルドが言うんじゃなきゃ絶対フカシと思うとこだ!」


ガルムは前に向き直った。

なるほど、ギルドの発言とはそこまで信憑性があるのか。


「おい」

「ん?」


1番後ろから声がかかる。虎男だ。


「なんだ、とらオ」

「…………ジスだ」

「で?」

「俺と手合わせしろ」


ガルムも振り返る。


「おもしれえ!やれやれ!」

「……いいけど練習用の木刀とかねえよ」

「お前が本当にレベル3なら、俺など相手にならん。手加減は容易だろう」

「なるほど」


信じてないってわけだ。


「獣人は、虎人族は見たものの力しか信じない。お前が本物なら力を示せ」

「それ、俺に得ある?」

「俺が負けたらお前の指示に従おう」

「ふむ」


俺も興味はある。ティアモの動きを見る限り、ティアモレベルなら余裕だろう。それに対人はまだないし、剣の最適な軌道が見えても動ける自信はない。

……やってみるか。


「いいだろ」

「ふん」

「やったぜ!こりゃ見ものだぜ!」



皆が俺とトラオから離れ、興味深く見守る。

トラオと俺は10mほど離れ向かい合い、トラオは背中から2mほどある大剣を構えた。

重そうだ、あれを振り回せるのか。


「いくぞっ!でああああ!」


トラオは上段に振りかぶり、俺にまっすぐ駆けてくる。


(冗談だろ?)


遅い、遅いのだ。物凄く遅く見える。多分これは剣術と身体強化の相乗効果だろう。

俺は剣を鞘に入れたまま右手に持ち、トラオの振り下ろされる大剣の下を余裕でくぐりぬけ、トラオの右側に出て剣の鞘でトラオの首をツンとつついた。


「なっ!」


ザシュ


トラオの剣先は地面について、トラオの動きが止まった。いや、全員硬直したように止まっている。


「マジか……」

「うそ……」

「ティアモ、見えた?」

「うっすら……」

「あたしは気づいたらジンがジスの横に居たわ」


そこまでか。こりゃレベル4なんてレンタルしたらどうなっちまうのか。4は剣聖レベルってのに嘘はないらしい。


トラオは剣を離し、俺の前に片膝をついた。


「すまなかった、許してくれ」

「あー、気にすんなよ」


俺もいい実験になった。


「トラオ、剣術レベルいくつ?」

「大剣レベル2だ」


2と3でここまで違うのか。4万と10万だから2.5倍だけど、実際はそれ以上の差がある気がする。


(こりゃあ、実戦レベルは最低でも3からだな)


ということは俺の魔法も大したことないってことか。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




再び歩き出す。

だが何故か、俺の両隣は女二人になった。俺は左の魔法使いに話しかける。


「なあ、えっと……」

「リンダよ」

「リンダ、魔法ってどのくらい使えるんだ?」

「私は水魔法がレベル2よ」

「ほう」


俺と同じだ。


「ちなみにどんなのか見たいな」


するとリンダは目を輝かせて、


「見たい?!ホントッ?凄かったらあたしとパーティ組んでくれる?!」

「へ?」

「あっ、ずるい、リンダ!あたいは胸を揉まれてるんだ!パーティならあたいが先だ!」

「そんなの関係ないわ」

「いや、あるねっ!」

「ないわ!」

「「ない、ある、ない、ある……」」


俺は足を止めて二人の間から抜けた。


するとトラオが俺の肩に手を置いた。


「……女なんてあんなものだ、ジン殿」

「ジン殿?……、まあ、いいか。つか、冒険者の女、ヤバイな。現金っつうか、遠慮がないっつうか……」

「冒険者は女のが浅ましいぞ……」

「みたいだな……」


また異世界の常識を垣間見た。本当、気をつけないと面倒に巻き込まれるな。


「して、ジン殿」

「あん?」

「俺とパーティなんて────」

「男も同じじゃねーか!!」





それから、俺をあたしをパーティに!合戦が始まったので、「俺に勝てたやつしかパーティは組まない!」と言ったらひとまずは収まった。


そして、日も暮れて野営の時間になる。


「すまん、団体行動をしたことねーんだ。野営はどうしたらいいんだ?」


いけすかない顔のガルムが説明してくる。


「そりゃ珍しいね、ジンさん」

「ああ、修行に明け暮れてたからな」

「どうりで。で、野営は交代で見張りをして交代で寝るんだ」

「ふむ。飯とかは?」

「そりゃ各自だな。今回はリンダがみんなの水係をしてくれるから、戦闘では楽していいことになってる」

「なるほど」


魔法の水は飲めるのか、ならペットボトルはやめて、次から缶ビールにしよう。


「見張りの順番は?」

「俺が決めていいかい?一応Cランクだ」


おお、ガルムは俺より2ランクも高かったのか、意外だ。


「いいんじゃないか?」

「ジンさんは強いから、見張りは2人でいいかい?それなら三交代だし」

「おう、いいぞ」


するとガルムは、


「おーい、見張りの順を決めるぞ?三交代で3人、3人、2人だ。2人のとこはジンさんが受け持ってくれる。さあ、決めんぞ」


俺でもわかる。何故戦争になりそうなことをあえて言うのか。むしろ2人は俺とお前でいいんじゃないのかと思うのに。


予想通り戦争になったので、俺はバッグからクリームパンとメロンパンを取り出し、1人隅っこでかじりついた。


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