歴史に名を残す者 前
とある場所。
「あれれ?」
今になって思えば、
「どうした卑弥呼?」
卑弥呼が、どうして、おもちゃ大好きっ子になったのか不明である。
「僕は、腕立て伏せ100回で、ヤマトタケルは正座1時間・・・。」
無断外出の罰である。
「どうして藤原くんは、入院1か月で許されるんだ!」
卑弥呼は、罰に不公平を感じている。
「ハハハハハッ!」
話を聞いているヤマトタケルは、馬鹿笑いした。
「仕方ないだろう、藤原くんは、人間にコテンパンにされたんだから。」
ヤマトタケルは、藤原くんをかばう。
「僕も入院して、きれいな看護婦さんに優しくしてもらいたい。」
卑弥呼の顔は、甘美な妄想でニヤけている。
「はぁ・・・。」
ヤマトタケルは、片手で頭を抱えて目を閉じる。ギロ。ヤマトタケルは、目を開けて疑念を考える。
(俺たち、歴史に名を残す者は無敵じゃなかったのか?)
現に藤原くんは入院している。
(どうして藤原くんは、重傷で入院しているんだ?)
わざわざ入院するということは、傷は治るということである。
(俺は過去の人間で、言霊だけ、この時代に呼びつけられたんじゃないのか?)
謎が謎である。
(草薙の剣は、神剣だぞ!? どうして人間なんぞに受け止められる!?)
考え事をしているヤマトタケルの顔は、怖い表情をしていた。ドカーン。卑弥呼の空飛ぶおもちゃが、ヤマトタケルの顔に当たる。
「いてててて。」
両手で顔を抑えながら痛がる。
「ごめん、ごめん! 悪気はないんだ!」
卑弥呼は、必死に謝る。
「卑弥呼! てめ! 許さないぞ!」
ヤマトタケルは、鬼のような形相で卑弥呼に襲い掛かろうとした。
「お許しください!」
卑弥呼は、土下座して頭を下げて、両手をスリスリしてお願いする。
「許さない!」
ヤマトタケルが卑弥呼に正義の鉄拳制裁をしようとした時だった。
「ハハハハハッ!」
どこからか笑い声がした。
「あん!?」
ヤマトタケルは、笑い声の方を見た。
「相変わらず、2人は仲がいいね~♪」
ニコニコ笑顔で一人、歴史に名を残す者が現れた。
「おまえは、源頼朝!」
鎌倉大好き源が現れた。
「うるさい!」
ヤマトタケルは、草薙の剣を抜いて、
「おまえも黙らしてやる!」
剣を源に振り回した。
「ほい~♪」
源は、身軽に攻撃をかわし、宙を舞った。
「危ないな~♪」
着地すると、怒る訳でもなく、源は笑顔のままである。
「チッ。」
ヤマトタケルは、攻撃が当たらなかったからか、舌打ちをする。
「僕は、藤原くんのお見舞いに一緒に行こうと誘いに来ただけなのに~♪」
お見舞いの誘いだった。
「行く! 行く!」
卑弥呼は、相方の藤原くんが心配だった。
「俺は、いかない。」
ヤマトタケルは、気分を害していた。
「あっそう、今ならお見舞いに、あの人も来てるんだって。」
源は、意味ありげに言う。
「な!?」
ヤマトタケルの表情が、すねた顔から我に戻った顔に変わる。
「聖徳太子は、お見舞いなんかには来ないだろうし・・・チャンスじゃない?」
いろいろ話を聞くなら、今しかない! と言っている。
「行くぞ! 卑弥呼!」
そう言うと、ヤマトタケルは、足早に病院を目指す。
「待ってよ!」
卑弥呼は、あとを急いで追う。
「わ~い~♪ 面白くなってきた~♪」
源は、身軽な傍観者? 愉快犯といったところだ。
「病院に着きました~♪」
3人は病院に着いた。
「は~い~♪ 藤原くんの病室に移動します~♪」
移動は、源頼朝の紙芝居スキルか、アビリティ・・・完璧。
「藤原くん、お見舞いに来たよ~♪」
卑弥呼は、明るく病室の扉を勢いよく開けた。ジロ。中にいた歴史に名を残す者の3人の視線が、卑弥呼に突き刺さる。
「え!?」
卑弥呼は、まずいことをしたと、血の気が引いた。
「ごめんない。ごめんなさい。」
卑弥呼は、簡単に頭を下げて死に物狂いで謝った。
「ここは、病室だ。」
それもそのはず、
「他の方の迷惑になる。」
病室には、
「静かにしろ。」
聖徳太子に次ぐ実力の持ち主、
「あほう。」
8人目の、
「さすが、紫式部さま~♪」
紫式部と、腰巾着の9人目の清少納言がいた。
「こんにちわ~♪」
源と、
「卑弥呼、謝ってないで、さっさと中に入れ、俺が入れないだろうが。」
ヤマトタケルが姿を現す。
「おまえたち、藤原くんは眠っている。」
藤原道長は、
「静かにしろ。」
ベットで眠っている。
「あほう。」
紫は、美しい薔薇に棘があるらしい。
「さすが紫式部さま~♪」
歴史に名を残す者は甦った時に、なぜか性別は逆転している。
「男の中の男~♪」
といことで、清少納言も男である。
「おまえもうるさい。」
紫は腰巾着にも厳しかった。
「あほう。」
冷たく言い放つ言葉は、激怒して怒鳴る言葉よりもダメージを与える。ピ! 清少は、口に手をあて、背筋を伸ばした。
「このメンツだと、ヤマトタケルがお見舞いに来ているのが、いとおかしだな。」
お見舞いに行くキャラではないのが、とてもおかしいらしい。
「あんたに聞きたいことがあって来た。」
ヤマトタケルは、本題を切り出す。
「何なりとお尋ねください。」
紫は、質問に答えてくれるらしい。
「聖徳太子でも、私の空間のことを全て把握することはできません。」
聖徳太子の全て分かるは、紫は除くらしい。
「尊氏も殿の護衛でいません。」
6人目は、足利尊氏。
「清盛は、壇ノ浦から動こうとしません。」
5人目は、平清盛。
「納言、人数分のイスを用意しなさい。」
「はい。ただいま。」
紫の指示に、清少がイスを出し、全員を座らせる。
「それで、聞きたいこととは、なんでしょう?」
紫がヤマトタケルに質問する。
「俺たち、歴史に名を残す者とは、いったいなんなんだ?」
ヤマトタケルは、素直に思っている疑問をストレートにぶつける。
「そんなことも分からないのか?」
紫は、不思議に思い聞き返す。
「分からないから、聞いてるんだ。」
気が短いヤマトタケルは、イライラしてくる。
「あほう。」
紫は、冷たい眼差しで、冷たい声で言う。
「な、なに!?」
ヤマトタケルが反射的に怒ってしまいそうになった時、
「我々、歴史に名を残す者とは・・・。」
紫が話始める。
「ん!?」
ヤマトタケルは、自分が何者なのか知りたいので、我慢して耳を傾ける。
「殿、若しくは殿に使えし者が、秘術で我々の魂を呼び出した・・・。」
歴史に名を残す者は、誰かに召喚されたらしい。
「私たちは、霊です。」
歴史に名を残す者は、霊らしい。
「!?」
他の歴史に名を残す者たちは、衝撃を受ける。
「予想はしていたが、実際に聞くと、ダメージがすごいわ。」
ヤマトタケルは、精神的にグラグラする。
「じゃあ、何のために死人である僕たちを呼び戻したんです?」
源が紫に尋ねる。
「そんなことも分からないのか?」
紫は軽蔑の視線を向け、
「あほう。」
言葉の矢を源に放つ。グサ! 源の心に命中する。ガックリ。
「本当だ・・・、心に刺さる・・・。」
いつも明るい愉快犯の源でも、紫の言葉にはダメージを受けた。
「我々は、その名を歴史に残す位だから、類まれな才能を持っている。」
紫は、なぜ呼び戻されたのか、説明を始めた。
「卑弥呼は、邪馬台国を建国した。」
おもちゃ大好きでドジっ子設定の卑弥呼は、
「そうです~♪ 僕は偉いのだ~♪」
実は、偉かったのだ。
「ヤマトタケルは、ヤマタノオロチを退治した英雄だ。」
俺キャラで戦闘好きのヤマトタケルは、
「そうだ。だから俺は草薙の剣を手に入れることができた。」
実は、強かったのだ。
「源氏は、鎌倉幕府を誕生させた。」
いつも元気な愉快犯の源頼朝は、
「は~い~♪ 紫さんは、何でも知ってるんですね~♪」
実は、すごかった。
「これだけの優秀な人材を集めるのは、現実には、不可能です。」
紫も歴史に名を残す者たちは、すごいと認めている。
「おそらく、殿という人物が考えたのだろう。」
紫は、謎の殿に触れる。
「紫さま、殿って、いったい誰ですか?」
清少は、腰巾着らしく、気軽に紫に尋ねる。
「そんなことも分からないのか?」
「え!? まさか!? 私にも!?」
紫は、腰巾着にも甘くはなかった。
「あほう。」
冷声は、
「あんまりだ!? いつもお世話している私にまで!?」
ウエ~ン! 清少は、思わず泣き出した。
「よし、よし。」
紫は、泣いている清少の頭を撫でる。
「殿は、どこかの戦国武将だ。」
紫は、殿の素性を話し始める。ドキ! 他の歴史に名を残す者の表情がハッとする。
「・・・と言いたいところだが、違う。」
紫は、フェイクを入れる。
「強力な戦国武将たちに困り果てて、誰かにたぶらかされたんだろう。」
殿は、現在、弱り中らしい。
「死んだ人間の霊魂を召喚しようと。」
殿をそそのかした人間がいるようだ。
「その行為は、悪魔に魂を売るに等しい。」
死人を呼び戻すことは、禁忌である。
「殿は、あほうだ。」
紫は、殿にも媚びる気持ちは、毛頭なかった。
「殿は、あほうだ。」
紫式部は、冷酷に言い放つ。
「カッコイイ~♪ 紫さま~♪」
腰巾着の清少納言は、紫にゾッコンである。
「あれれ? 男同士でいいんですか?」
卑弥呼が指摘するのは、召喚時に性別が入れ替わり、紫と清少は男である。
「私は、紫さま親衛隊です!」
清少は、恥ずかしさも無く、きっぱりと言う。
「ハハハッ~♪ 清少納言は、おもしろいね~♪」
源頼朝は、他人事なので、見ていて楽しかった。
「おまえたちうるさい。」
紫は、冷たい目で冷たいオーラを放つ。
「ギャア!」
他の歴史に名を残す者たちは、紫を見た瞬間に恐怖を感じる。
「黙れ。」
紫の綺麗な顔の口から放たれた、綺麗な声は、グサ! 歴史に名を残す者たちのハートに突き刺さる。
「俺は、何も言ってないだろうが!?」
ヤマトタケルは、確かに何も言っていない。
「連帯責任だ。」
紫は、自分の間違いを認めるようなタイプではなかった。
「文句があるなら、勝負してあげよう。」
文学系の紫が、武闘派のヤマトタケルに喧嘩を売った。
「おもしろい、1度戦ってみたかったんだ、文学系の3人の誰かと。」
ヤマトタケルは、戦う気持ちが満々である。
「おまえは、私には、触れることもできない。」
紫は、冷たい声で、冷たく余裕のある微笑みを浮かべる。
「なんだと!?」
ヤマトタケルは、紫の挑発に乗りムカムカしてくるが、
「そんなことも分からないのか?」
紫の息は、冷たく気高い。
「くるぞ!」
清少は、紫の決めゼリフを待って、ワクワクしている。
「あほう。」
紫の冷たい一言は、グサ。
「うう!?」
ヤマトタケルの心に刺さる。
「戦うのは、私ではない。清少納言だ。」
だから紫には、一歩も触れられない。
「な!?」
ダメージにダメージ、弱り目に祟り目である。
「ええええええええええええ!?」
清少納言は、自分が戦うと知って、絶句した。
「ハハハハハッ~♪ 紫式部さん、さんおもしろい~♪」
源頼朝は、ツボにはまった。
「寝ている藤原くんがうらやましい・・・。」
卑弥呼は、紫ワールドに疲れてきた。
「zzz。」
ここは藤原道長の病室であり、藤原くんは、まだ眠っている。
「私のためなら、戦ってくれるんだろう?」
紫式部は、清少納言に冷たく微笑んで冷たく見つめる。
「はい! 紫式部さまのためなら、喜んで戦います!」
清少納言は、紫式部の言うことなら何でも聞きそうだ。
「俺の相手は、おかまか・・・。」
ヤマトタケルは、少しがっかりする。
「精々、頑張るんだな。おかまに負けたと言われたくなければ。」
紫式部は、余裕である。
「俺がおかまなんかに、負けるわけがない。」
ヤマトタケルは、自信満々である。
「軽く遊んであげなさい。」
「はい! 紫式部さま~♪」
紫式部の言葉に、清少納言はやる気に溢れている。
「ここは病院だ、戦闘は外でやってくれ。」
「は~い~♪ 見ててくださいね~♪」
清少納言とヤマトタケルは、舞台を外に写した。
「勝ちますよ~♪」
「がんばれよ。」
紫式部は、病室の窓から病院の庭の2人を眺めている。
「いくぞ!」
ヤマトタケルと清少納言の戦いが始まった。




