精霊ノア
「はぁ……なんでこんなことに……」
「ここまで来たんだし諦めて」
ユーイの索敵を手がかりに反応がある方向へ進むと、円盤状になっている氷獄第7層の北西の端にある森に辿り着いた。
反応は森の中、ちょっとした広場になっている場所だった。
ちょっとした、とはいっても戦闘には充分な大きさの広場だ。
「お、アレがそうか?」
「そうっぽい……けど……」
「人型で名前は、【精霊ノア】っと……メモメモ……」
「スクショ撮るぞ、右側から回り込むから左側頼む。ケイはこっちだ」
「「了解」」
「はぁ……分かったよ……」
攻略サイトに投稿するために確認可能な情報を精一杯メモしてスクショを撮りまくる一行であった。
【精霊ノア】という名前を持つ人型のソレは倒木の上で寝ていた。
真っ白なワンピースのような服を着た、青い髪の可愛らしい美少女だった。
「よし、こんなもんだろ」
『こっちもOKだよー』
「精霊らしいし、中立かも知れないからまず起こすぞ」
『了解』
広場の中へと入っていく。
中央の辺り、ノアが寝ている倒木の前で合流する。
「えーっと、起きてくださーい!」
「う……ん……」
「おーい!」
「うぁ……誰……?」
寝ぼけた様子で目をこする仕草が非常に可愛らしい。
「冒険者、ってところか?」
「冒険者……あっ、そうだ……思い出した……」
ノアが唐突に起き上がりケイ達の方を向いた。
「私の導きを希望する?」
倒木から降りて立ち上がり、ケイ達を臨むノア。
その眼差しは真剣そのものだった。
「導きってなんだろう?」
「無難にクエストの導入じゃないかな」
「まぁそういう感じだろうね」
「じゃあ希望するってことでいいか?」
エムティーの質問に3人が首肯で返す。
「導きを希望する」
「……分かった、じゃあ、行くよ」
ノアが両手を広げると光がケイ達を包み込んだ。
幻想的な光の出現とともに、ケイ達とノア以外の景色が希薄になっていく。
「こりゃすげぇ……」
「神秘的だね……」
遂に光とお互いの姿以外が見えなくなり、数秒が経過した。
すると、徐々に光が弱まっていき、元の景色が現れた。
「なんだったんだ……今の……」
「外に出て、旅をすれば分かる」
ノアは森の方へと向かっていく。
「あ、おい、どこ行くんだよ」
「……神域で待ってる」
そう言って、ノアの姿が消えた。
「……どうする?」
「どうしようか……」
「とりあえず、外、出る?」
「ノアもそんなこと言ってたし、そうするか」
一行は氷獄から出るべく動き出した。




