トラブル
「ここの飯ほんと美味いな〜」
「もぐもぐ……」
一行は船内レストランで夕食を摂っていた。
今日で船が出港してから3日目。
一行は体育館で運動して汗を流し、温泉で疲れを取るという生活をしていた。
「運動の後の温泉と美食はやめらんないね……」
「全くだ」
「なにぃ!席が空いてないだと!?」
「ん?」
大声が聞こえた方向に一行が……ユーイ以外の3人が顔を向けると、そこには正しく怒り心頭といった様子の貴族らしき男がいた。
「貴族王族専用席があったはずだろう!何故空いていないのだ!」
「す、すみません!今回の旅は貴族の方が通常より多く乗っていらっしゃるため席が不足しておりまして……」
「言い訳は聞かん!さっさと席を用意しろ!……む?」
「あっ、やべ、目が合ったぞ」
「「えっ」」
貴族がニヤニヤと一行の方へと近づいてきた。
そして声をかけられる。
「おい貴様ら」
「はぁ、何でしょうか」
「席をどけろ」
ぴくり。
ユーイの食べる手がようやく止まる。
3人には何故止まったかハッキリと分かった。
ユーイは食事の邪魔をされることを嫌うのだ。
幼馴染みとして長い年月を共に過ごした経験が無ければ絶対に分からないことだ。
「貴様ら冒険者だろう?貴族であるこの私が貴様らが使っている席を使ってやろうと言っているのださっさとどけ」
シュッと音を立ててナイフが貴族の頬を掠める。
「食事中。邪魔しないで」
「ひっ、ひぃぃっ」
貴族が尻餅をつく。
「おい!ユーイ!武器は出すな!」
「邪魔しないでケイ、食事の邪魔、許すまじ」
「おい、あんたも早くどっか行ってくれ、こいつの怒りが頂点に達しそうだ」
「ひぃぃ!」
急いで逃げ去る貴族。
3人が宥めたことでユーイが貴族を追うことはなかった。
翌日。
「貴様!昨日は良くもナイフを投げつけてくれたな!」
昨日の貴族が武器を持った男達を連れて体育館に入ってきた。
「おいお前ら!やれ!」
「へへっ悪く思うなよ嬢ちゃん達。金を貰った以上仕事なんでな」
「エンチャント【硬化】。これで壊れることは無さそうだな」
次の瞬間、ユーイが手に持っていたバトミントンラケットで先頭にいた男に殴り掛かる。
バトミントンラケットは男の脇腹にクリーンヒットし、男は壁へと吹っ飛んでいき、めり込む。
「「「……へっ?」」」
「しまった、壁の方は【硬化】してないから……せっかく弁償回避で【硬化】したのに……」
「昨日は……よくも食事の邪魔を……」
「あー、こりゃ止まんねぇな、壁は修復しとくか」
「ってか内蔵大丈夫なのかな?」
「一応ポーション掛けとくか」
そこから先は一方的な蹂躙と言える惨劇だった。
次々と吹っ飛んでいく男達。
武装した男達を全員吹っ飛ばしたところで【硬化】の簡易エンチャントが解け、ラケットが壊れてしまった。
ちなみに貴族の男は端っこで漏らしていた。
「ひっ、ゆ、許してくれ!助けて!」
「いや、あんたから向かってきたんだろ……もう止めらんないよ……」
貴族の男は恐怖のせいか、泡を吹いて気絶してしまった。
「泡を吹いて気絶するとかあるんだ……」
「落ち着いたか?」
「うん。流石にアレに追撃をするのはちょっと……ね」
「まぁそうだな。壁治すか……」
「武装集団はポーション掛けて縛っといたよ」
こうしてトラブルは一応の解決を迎えた。




