乗船
翌日、4人はシリンの港へとやってきた。
「結構人多いんだなぁ」
地球のもの程では無いがそれなりに大きな客船の前に、シドニーへ向かう乗客達が集まっていた。
「片道250万も払える人がそれなりにいるってことか」
「商人とか……貴族っぽい人もいるね」
「貴族ってどうして分かるんだ?」
「服にゲーム時にもあった国家の紋章が刻まれてる。あっちの人はオーストラリアの南東の方のサウスニールン王国の紋章、あっちの人は日本のタイジョウ皇国の紋章」
「流石。目も記憶力も凄いな」
「目はスキルの補正もあるけど…えへへ……」
ユーイが言ったように、様々な国の貴族が乗客として整列していた。
南極は貴族にとっては一大観光地なのだ。
貴族にとってはより金がかかる地域に旅行することがステータスになったりしている。
「シドニー行きアール号にご乗船の方は整列してくださーい!」
「乗船券を確認いたしますのでご準備くださいますようお願いします!」
乗客が徐々に船の中へと入っていく。
一行も列の最後に並び、乗船した。
「おぉー、凄いねー」
「凄いな……ここまで広いとは……」
「空間系の魔道具とか使われてるのかもな」
「あ、ねぇねぇ、この船を【鑑定】してみてよ」
アール号
魔動力ペダル砕氷船
防衛設備:魔導砲(小)×8、魔導砲(中)×4、魔道レーザー×1
付与:隠蔽(大)
耐久値:100568/100568
製作者:takara
「タカラって、あのタカラか?プレイヤーの」
「そうじゃない?」
takaraとはゲーム時に生産職トップと言われたプレイヤーである。
同じトッププレイヤーとして、ケイ以外は多少親交がある。
「こんなところであいつの名前を見ることになるとはなぁ……あの乗員さん」
「はい、なんでしょう」
エムティーが乗員を呼び止めて質問する。
「この船っていつ造られたとかは分かりますか?」
「神代に生産の神の御使いによって造られたと言われておりますから約1000年前でしょうか」
「そうですか、ありがとうございます」
「いえいえ、お困りのことがあれば何なりとお申し付けください」
乗員が礼をして去っていく。
「……ゲーム時は約1000年前で神代って呼ばれてるってことでいいのかな?」
「多分な」
「プレイヤー=御使いって感じかな?」
「神として扱われてないだけマシな気がするな……思えば街のギャングとかでLv.400台ってことはLv.500がボリュームゾーンだったのは異常に見えたんだろう」
ケイが言うように、NPCにとってはせいぜいがLv.400台までであるので、Lv.500越えがごろごろいたプレイヤー達は異常な存在として見られていた。
そして長い年月が経つうちに神の御使いであったのだと認識されてしまっていたのだった。
「あんまり力は見せない方がいいかもなぁ……」
「うん、隠しとこう……」
一行は力を隠すことを固く誓ったのであった、
隠蔽(大)はモンスターに気づかれにくくなるための付与です




