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ダンジョンサバイバルinゾンビワールド  作者: score


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第59話 秘策あり





 三階層の探索が終わる前に次への階段を見つけた俺たちだったが、当然いきなり挑んだりはしない。

 忍者型に見つからないよう細心の注意を払って後退した俺は、クミンを回収して即座に広間から離れた。


 さて、どうするべきか。


 四階層に行けたら行く、というのは計画の内だったが、あれほど強力そうな門番が控えているのは想定外だった。

 素直に考えるのならば、四階層のことはすっぱり諦めて強化に専念し、強化をあらかた終えて余裕があれば改めて考える、というところ。


 だが、スケルトンのうち一体が忍者型であったというのが、俺に少しの欲を抱かせる。



(忍者型ってことは、俺の適正武器を持っているってことだよな?)



 現在、俺は未だにメタルラックの足を武器として採用している。

 それは、スケルトンの武器が色々とショップに追加されている今でも変わらずだ。

 というのも、俺はどうにもそれらの武器がしっくりくる気がしないのだ。


 攻撃力を高める装備をするのは良いが、俺は物理攻撃メインではない。かといって魔術師が持つような杖を持つのも、いざという時に近接戦が不安になる。

 欲を言えば、魔術の補助をしつつ接近戦にも有用な武器が欲しいのである。


 そして、相手が自分と同じ忍者型であるなら、相手の持っている武器に自分が欲しい補正が乗っている可能性があるのだ。

 最悪魔術の補助ができなくても、速ステータスの補正が乗っていれば、それだけで怪物戦では気休め程度の力になる。


 俺のレベルアップが怪しいとなった以上、装備で強化できる可能性はなるべく捨てたくないのである。



(だが、現状は打開策がなぁ)



 と、己の欲を晒したところで、今の手札で12体のスケルトンを封殺するイメージが湧かない。

 真正面から突っ込んで行くのは論外にしても、斥候や忍者がいる中で釣り出すのもどれくらい上手く行くか。

 せめて、ランダムエンカウントする斥候で対策を固められてから挑みたいところだ。



『上杉さん。考え込んでますけど大丈夫ですか?』


「ああ、ごめんクミン。一応共有しておかないとな」



 俺が無言になっていた時間が長かったせいか、クミンが心配そうに声をかけてくる。

 俺はクミンに先ほど広間で見たスケルトンたちのこと、そしてそのスケルトンを突破しないと四階層にはたどり着けないだろうことを話した。


 実のところ、その辺の斥候入りと戦うのに一番てっとり早い戦法はもう見えているのだ。

 それは、クミンを前衛役として斥候にぶつけ、余っている後ろは魔法で薙ぎ払うこと。

 クミンのレベルを上げさえすれば、それで解決する方法ではある。


 ただ、これが通用するのは相手が戦闘能力の低めな斥候一人の時だけの話。

 斥候二人と忍者一人をまとめてクミンに相手させるのは難しいだろう。

 レベリングには使えても、ボス戦では使えない戦法というやつだ。



(いや、でもそういう手札は俺にもあるな)



 そこまで考えて、俺は自分の職業を思い出した。

 俺のこの召魔忍者は、忍者であり、テイマーであり、そして同時にサモナーでもあるのだ。


 レベリングには使えてもボス戦には使えない戦法があるように。

 ボス戦には使えても、レベリングには使えない戦法もまたある。

 秘策あり、というやつだ。



「とりあえず、四階層に向かうのは一度諦めておこう。それよりはこの三階層を回って、強化とマップ埋め、宝箱の探索を行う。それで能力が高まったところで、改めて四階層に挑むか決めるんだ」


『わかりましたけど、突破できるんですか?』



 クミンは、相手が12体のスケルトンと聞いてわずかに尻込みしている。

 だが、俺は現時点では問題ないと考えていた。


「俺に考えがある。クミンはとりあえず、スケルトンの特徴をよく観察しておいてくれ」


『……はい!』


 今はまだ、慌てることはない。

 この三階層でやらなければいけないこともある以上、先のことは一度棚にあげておけばいいのだ。





 ボス部屋の周囲のマップも少し埋めてから、俺たちは端末のところにまで戻ってきた。

 手持ちのCP回復薬はもう残り1個という有様で、少しはしゃぎすぎたかもしれない。


 ただその分戦果は上々だ。


 ──────

【レベルアップ】

 所持EP:962

 対象:クミン(ワーカーアント)


 レベル6に上がるために必要なEPは70です。

 ──────


 ゾンビを狩ってCP回復薬を買った余りがEP2

 スケルトンのパーティは合計で7パーティ狩った。

 斥候抜きの六人パーティ1、五人パーティ2、四人パーティ2、三人パーティ2。

 合計スケルトン30匹の大戦果。さらにドロップアイテムが一個乗って合計EPは24*30+240=960である。


 こう考えると1日使えば俺のレベルアップも現実的に見えてくるところではあるが、有用性を考えた話なのでそこは涙を飲む。

 今はまず、クミンのレベルアップだ。


「とりあえずクミンのレベルを10まで上げるぞ」


『はい!』


 自分が強化されるとあって、クミン自体はご機嫌である。やっぱりモンスターって本能的に強くなるのが嬉しいのかな。

 まぁ、人間もそういうところあるからなんとも言えない。


 クミンを5から10まで上げるのに必要だったEPは合計で640。

 やっぱりこの辺はノービスと同じで、謎計算である。

 EPに余裕があるとまとめてレベルアップ処理をしてくれた。

 

 そして意外だったのは、モンスターであるクミンもレベル10まで引き上げたときに、あのボーナスポイントが加算されたことだ。

 しかも、すごく極端に。


 ──────

 残りポイント:15

 ボーナスポイント:5(割り振り済み)


 力12

 魔5→10

 体13

 速13

 運11

 ──────


「なんで魔にこんなに振ってる?」


 おそらく、このボーナスポイントを振ってきているのは、俺を監視……じゃなくて応援してくれている神様だろう。

 だが、神様であるならば、俺の戦闘とかも見ているはずで、そうであるなら俺がクミンに求めている役割を知っているはずだ。


 つまり、それを知ってなお言っているわけである。

『魔に振った方がいいよ』と。

 だから、こうまで露骨に調整を入れてきた。


「端末くん。これってどういう意味?」


『申し訳ございませんが。お答えできません』


 端末くんは、本当に申し訳なさそうに言った。

 それで十分だ。

 意味のない行動なら、意味がないってことくらい教えてくれるだろう。

 答えられないというなら意味はあるということだ。


 つまり、クミンの魔をあげるだけの価値がこの先にはあるということ。

 ただ、それがなんなのか。

 そしてその価値を得るのに最低限どれくらいの魔が必要なのかが分からない。


「クミン。なんかダンジョンの神様がクミンの魔を上げたがっているみたいなんだけど、何か心当たりある?」


『ウチの魔をですか??』


 端末くんが何も言えないなら、あえてクミンに尋ねてみる。

 クミンはおそらくアリさんモンスターの中でも最下層ではあっただろうが、もしかしたら上位種の情報を何か握っているかもしれない。


『えっと、よくわからないですけど、ウチらの中でその、魔の高いアリは巣の奥の方で仕事してるみたいな話があったような?』


「巣の奥で?」


『ただ、同じ階層で会ったことはないのでなんとも』


 これはあれかな、最終的な進化先の話かな。

 俺のゲーム脳がそういう答えを弾き出す。


 前衛系のステータスを上げて行くと、割と早い段階で種族的には最終進化系になってしまう。しかし魔のステータスが高い特殊な個体は、より強力な進化先が用意されている、みたいな。


「そう考えると、利点は多いんだけど。でもなぁ、直近の話がなぁ」


 そこまで考えてはみたものの、俺は頭を抱えざるを得ない。

 今後求める役割としても囮や工作員、そしていざという時の前衛という点では変わりないのだ。


 例えるなら、俺が優秀な戦士に育てようと思っていた子供を見て、お偉いさんが『魔法使いの才能あるからそっちにしたら?』と口出ししてきているような状況が今である。

 確かにお偉いさんの言うことは一理あるかもしれないが、今の俺に必要なのは戦士なのである。魔法使いではない。

 だが、そっちの方が将来有望になると言われたら、悩みもする。


 悩んだ末に、俺は素直に聞くことにした。


「クミン。どうやら君の魔を伸ばした方が君の将来は広がるらしい。俺が求めている役割とは違うが、君自身の希望はあるかい?」


『ウチの希望、ですか?』


「ああ。最初に言ったように、俺はクミンにやってほしいことはあるけど、それを押し付ける気まではない。もし、クミンが将来的に強くなりたいと思うのならば、俺はその意思を尊重したい」


 頼れる前衛役からは外れるかもしれないが、将来的に強くなるならそれもいい。

 そうやって決断をクミンに丸投げしてみたが、クミンはたどたどしく答える。


『……その。ウチとしては、やっぱり、上杉さんが求める方向で、良いと、思いますよ?』


「強くなれるのに?」


『それで、ウチの居場所がなくなっちゃったら、イヤです、し』


 クミンは探るようにしながら、そう答えを出す。

 俺はそのクミンの言葉を聞いて、尊重した。


「分かった。そうまで言うなら俺のわがままに付き合ってもらおう」


 彼女が俺の方針に従うというのなら、俺の選択はこうだ!



 ──────

 残りポイント:0

 ボーナスポイント:5(割り振り済み)


 力12→14

 魔5→16

 体13→14

 速13→16

 運11→14

 ──────


『え?』


 そして俺は、俺の望み通りにクミンにステータスを振ってやった。


「俺の望み? そんなもん、最終的に強くなる方に決まってんだろうが」


 別に強がりでもなんでもない。

 直近で困ることはあろうが、最終的に強くなるっていうんならそれに越したことはない。


 もしクミンが使い捨てのテイム実験体1号だったら、ガチガチの前衛系に仕上げただろうが、たった半日でも彼女が良い子だと分かってしまった。

 俺のために自分の希望を投げ捨てるというのなら、俺がその希望を勝手に拾っても良いだろう。


「さて、これで何が起こる?」


 ステータスの割り振りを終えた後、俺は端末くんに挑発的に尋ねてみた。

 端末くんは、神の手のひらの上で盛大に踊る俺を哀れむようにしながら、こう答える。


『テイムモンスター:クミンの種族進化が可能です。進化先を選んでください』


 ──────

【種族進化】

 所持EP:322


 現在の種族:ワーカーアント


 選択可能進化先:


 ソルジャーアント:100EP

 タンクアント:100EP

 コマンダーアント:200EP

 マジックアント:200EP

 迷彩アリ:300EP

 ──────



 へへ、なんか面白そうな進化先が出てるじゃねえかよ。




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