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ダンジョンサバイバルinゾンビワールド  作者: score


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57/166

第57話 クミンの育成方針


 ──────────

 ──────────

 【前書き】

 途中のQ&Aコーナーは細かい設定の話なので読み飛ばしてしまっても問題ありません。

 ──────────

 ──────────




 クミンとの契約が成ったあと、俺は自身のステータス画面を開いてそれを確認する。


 ──────

 上杉 志摩

 召魔忍者

 レベル10

 所持EP:1


 HP71/145

 CP30/170(使用中90/260)


 力:21

 魔:32

 体:12

 速:32

 運:24


(中略)


【テイムモンスター】

 『クミン』(ワーカーアント)

 ──────


 CPコストを払いながら、ちゃんとテイムモンスターの『クミン』が追加されている。

 クミンの詳細を表示させてみると、入れ子構造のようにステータスが表示された。


 ──────

 クミン

 ワーカーアント

 レベル2


 HP62/62

 CP16/16


 力12

 魔5

 体13

 速10

 運5


【セットスキル】

 [パッシブスキル]

 甲殻(蟻種) 嗅覚(蟻種) 怪力(蟻種)

 壁歩き(蟻種)


 [アクティブスキル]

 掘削 加工 牽引


【テイム条件】

 1.コストCP10

 2.ウサギ肉1個/1日(保留中)

 ──────


 ぱっと見は典型的な脳筋タイプの前衛かな。

 防御高めの速度低めで、序盤に出てきたら相当やりにくそうな奴。見るからに戦闘向きなパッシブもあるしガチ性能すぎる。


 というか俺がレベル2の時に戦ったら普通に負けそう。

 その頃の魔とか死にステも良いところだし、運も戦闘にはあんまり関わらないし……うん負けるな。

 速の差で逃げられはするだろうけど。


 とはいえ、今の俺と比較するとステータスも可愛いもんだ。

 俺も随分と強くなったものだな。

(なお、体のステータスは比較しないものとする)


 まぁ、そういう自画自賛は良いので、俺はとりあえず気になったことを端末くんとクミンの双方に尋ねてみることにした。



【なぜ所持EPが存在しない設定なのか】

 ↓

『テイムモンスターの獲得したEPは一度テイマーに預けられ、そこから改めて割り振りを行うようになっている』



【レベルアップを行なったときステータスの割り振りは行えるのか】

 ↓

『行える。基本的にはテイマー側が決定権を持つ。ただしテイム条件になんらかの縛りがある場合はその限りではない』



【レベルが一定に達したときに、人間で言うジョブ習得のように種族が変わることなどはあるのか】

 ↓

『種族進化や変化などはある。詳細に教えることはできない』



【習得できるスキルはテイマーとテイムモンスターで共通なのか】

 ↓

『共通のものもあれば、違うものもある。基本的に端末を介して発生したスキルは共通だが、種族や職業固有のスキル、および行動により発生したスキルは個別になる』



【なぜパッシブスキル分のCPがコストとして引かれていないのか】

 ↓

『種族特徴として持っているスキルの分は最初からコストが引かれている。それ以外のスキルを習得させた場合はコストが発生する』



【テイム条件の項目があるがこれを破ったらどうなるのか】

 ↓

『条件を破った場合、テイムモンスターは使役状態を打ち切る権利を持つ。打ち切られた場合、モンスターは元いた場所に戻るが、テイマーが育成した分のステータスを一部喪失する』



【他に契約を打ち切られる場合はあるのか】

 ↓

『テイムモンスターが使役状態をあまりにも不当と感じ、ダンジョンのシステムに申請した場合に、使役関係に著しい問題が見つかれば、システムが強制的に契約を解除する可能性がある』



【テイム条件を変更することはできるのか】

 ↓

『可能。双方の合意のもとで変更することはできる』



【テイマーが死亡した場合、またはテイムモンスターが死亡した場合契約はどうなるのか】

 ↓

『テイマーが死亡した場合は、基本的にその時点で契約が打ち切られる。ただし、テイムモンスター側がそれを拒否した場合は契約が残ることもある。テイムモンスターが死亡した場合は、テイマーが契約を解除するまで契約が残る』



【テイムモンスターは他の人間と会話できるのか】

 ↓

『基本的にできない。テイムモンスターが人語を解することはあるが、意思疎通にはテイムの技能による補助が必要となる。稀に人語を話すモンスターはいる』



「なるほど、だいたい把握した」


 とりあえず、パッと気になったことについては一通り回答を得た。

 テイムの契約とか、特に契約書を交わしたわけでもないファジーな感じだったけど、そのあたりはダンジョンのシステムが裁判官をやるわけかな。

 なんとなくだが、人間贔屓な判決が出ることはなさそうだ。


「とりあえずクミン。俺は君を不当に扱うつもりはないが、もし思うところがあったら遠慮せずに言って欲しい」


『わかりました』


 とはいえ、クミン自体はアリ界の中では異端児だったが、破天荒な性格をしているわけではない。

 早々、仲が険悪になるようなことはないだろう。


「じゃあ、改めて俺の戦闘スタイルと、今後クミンにやって欲しいことを伝えるよ」


 まず、俺は自分の情報をクミンに共有した。

 クミンはこれから一緒に探索を行うパートナーみたいなものだし、俺に何ができて、何ができないのかを共有するのは大事だ。

 俺の戦闘スタイルは奇襲型、罠設置タイプ。ステータスは魔速振りの紙装甲。一撃離脱や遠方からの攻撃はできるが、切った張ったの接近戦は不得手。


「だから、クミンには俺の助手兼、いざという時の前衛役を目指して欲しい」


『助手ってなにをするんですか?』


「囮と工作員だな」


 囮はそのままの意味だ。

 今までは、俺が自ら姿を晒してスケルトンを罠に誘い込んだりしていたわけだが、そういった仕事を今後クミンにもこなして欲しい。むしろクミンが適任だ。

 というのも、クミンは『壁歩き』というパッシブスキルを持っている。


 これはどういうものかというと、文字通りクミンはダンジョンの壁を歩けるのだ。

 ダンジョンだけでなく、あらゆる場所で足がつくなら重力に逆らった動きができるらしい。短時間なら天井にもひっついていられる。


 だからクミンはスケルトンの囮を引き受けて曲がり角を曲がったあと、壁や天井に引っ付くだけで簡単に逃げられる。

 スケルトンからしたら、壁を曲がったらいきなり敵が消えている状態だろう。

 これは俺には真似できない恐るべき能力である……いやまぁ、忍者のスキル上げていったら、似たようなことできるようになる気はするけど。


 で、そうなると俺は潜伏したまま、スケルトンらにマインをブチ込めるようになる。

 ダンジョンくらいの暗さだと、斥候がいなければ割と正面に潜んでいてもバレなくなりつつあるのが今の俺である。

 忍者らしく壁の前で布とか広げておいたら普通に行ける気がする。

 これはスケルトン狩りに革命が起きるかもしれない。



 これがクミンに囮ををやってもらいたい理由。



 工作員については、簡単に言えば罠ゾーンを作る時の整地の手伝いとかをして欲しいわけだ。

 これはどちらかというと、ダンジョンの外で期待している働きである。


 あと一週間で、俺たちはあの怪物と戦う。

 その時は速の関係上、クミンではなく俺が囮にならざるを得ないと思っているが、奴をおびき出すためのルート作成や、キルゾーンの作成などが必要になるかもしれない。

 そのとき、クミンの力で車を退かせたり地形を弄れたら、逃走ルートの確保にどれだけ助かることか。

 クミンが持っている怪力というスキルと、掘削、牽引というスキルにはそういう部分を期待せずにはいられない。



「ついでに、クミンってどれくらいの物を持ち上げられるの?」


『ちゃんと計ったことはないですけど、上杉さんくらいなら五人は簡単に持ち上げられると思います。引きずるだけならもっとかな』


「そのステータスでそこまで出来るのか」



 力のステータスが、単純な力というより物理攻撃力への補正みたいな感じになっているのかもしれないな。あるいはスキルの効果か。

 俺も試したことはないけど、感覚的に車を引きずれる気はしないからな。



「で、あとの前衛役はまんまだな。俺はステータス的に殴り合いに弱いから、いざという時はクミンが前に立って足止めして、俺が後ろからちょっかいをかける、みたいな状況に持っていきたい」


『ウチもそんなに戦えるわけじゃないですよ?』


「まぁ、その辺はおいおいだよ。とりあえず、最低でもレベル10くらいは目指したいし」


 野生のモンスターがどの程度のレベルなのかは知らないが、クミンのレベルが2だったわけだし、一階層や二階層のモンスターはそんなもんなのだろう。

 俺の見立てだとスケルトンたちは最低でも4くらいはある気がするし、グールは体感で良いなら15から20くらいはあった気がする。

 なれはてたものたちは最低20相当だな。


 そう考えると、クミンのレベルをとりあえず10くらいまでは上げておきたい。

 欲を言えば、種族が変わるというところまで上げたいが、こればっかりは端末くんが情報を吐かないのでなんとも言えない。


「とまぁ、これが俺の希望ではあるんだけど、クミンはそれで大丈夫?」


『良いですよ。もともと、ウチって何かやりたいことがあるわけじゃないですし。何より『強くなりたい』っていうのは、モンスターの本能みたいなものなので、嫌がるモンスターはいないと思います』


「モンスターの行動原理が一つわかった気がする」


 なんで人間を襲ってくるんだと思ってたけど、きっと人間から何かを得てパワーアップできるようになってるんだな、モンスター。

 多分、人間側とモンスター側でシステムも少し違う。

 そうじゃないと、モンスターが端末をいじってあれこれしてることになるし。


「それじゃ、軽く必要経験値を確認しておこう。端末くんお願い」


『かしこまりました』


 とはいえ、現在のクミンはまだレベル2であり、いきなりスケルトンの前に連れ出すのは少々怖かったりもする。

 もしものために、少しゾンビを狩って最低限の速(と一応運)を確保してから臨みたいところだ。

 え? もしものための体? すでに俺より高いよ。


 というわけで、俺は一度ステータス画面を閉じて、レベルアップに必要なクミンのEPを表示してもらう。


 ──────

【レベルアップ】

 所持EP:1

 対象:クミン(ワーカーアント)


 レベル3に上がるために必要なEPは20です。

 ──────


 必要なEPは、どうやら俺たち人間と変わらない設定らしい。

 いや、序盤だけで後半がどうなっているかは分からないけどね。


「ついでに、俺の方も見ておくか」


『かしこまりました』


 召魔忍者になってから、そういえばレベルアップに必要なEPは確認していなかった。

 確か、数値が増えるとか書いてあった気がするが、それがどれほどか。

 直近の怪物戦を考えても、少しくらいはレベルを上げておきたいところだが。


 ──────

【レベルアップ】

 所持EP:1

 対象:上杉 志摩(召魔忍者)


 レベル11に上がるために必要なEPは2000です。

 ──────



「は?」



 俺は目をゴシゴシと擦って、もう一度表示を見た。

 多分何かの見間違えだったと思う。

 そして曇りなき目で、もう一度表示を見る。



 ──────

【レベルアップ】

 所持EP:1

 対象:上杉 志摩(召魔忍者)


 レベル11に上がるために必要なEPは2000です。

 ──────

 


「バグじゃねえの!?」


『……仕様です』



 俺の心からのツッコミに、端末くんは悲しげな声を返したのだった。



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