表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンサバイバルinゾンビワールド  作者: score


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/163

第55話 テイマーチュートリアル



『テイマーのチュートリアルでは、実際にモンスターのテイム方法をスキルを行使しながら確認できます』


 チュートリアルを受ける宣言をした俺に、端末くんが説明を始める。


『その際、チュートリアル用のモンスターは全ダンジョンの一階層と二階層で現れるモンスターの中から、チュートリアル利用者がテイム可能なモンスターがランダムで選ばれます』


「ってことは、いきなりドラゴンとかが出てくる可能性はないのね」


『あくまでチュートリアルですから』


 まぁ、そりゃそうだ。

 最初のテイムモンスターガチャでうっかりSSSランクモンスターを引いてしまって無双する……なんて状況をダンジョンが許すわけがない。

 そもそも、テイムにもCPを要求される時点で、格上が出てもどうしようもないだろうけど。


「ただ、少なくともこのダンジョンでは出ないモンスターが選択される可能性があるってことだよね?」


『はい。ゴブリン、ゾンビが選択される可能性は低いと思われます』


 無いとは言い切れないが、その可能性は限りなく低い。

 多分、単発一発でソシャゲの最高レアを引き当てるくらいの確率。

 俺の運は24もあるんだから、今なら一発で最高レアだって引ける……あれ?


「念のため聞いておきたいんだけど、そのモンスターガチャってリセマラできる?」


『できません』


「そこをなんとか」


『できません』


 くそ、端末くんが事務対応モードに入ってしまった。

 こうなった端末くんは俺が相当可哀想な状況でも無い限りテコでも動かねえ。



 このランダム召喚は、俺に突如もたらされた希望の光である。

 というのも、テイマーを選ぶことを決めたは良いが、悩んでいたことの一つに、テイムモンスターの種類というものがある。


 別にモンスター差別をしたいわけではないが、常識的に考えて、ゴブリン、ゾンビ、スケルトンを使役するテイマーって嫌じゃん。

 自由にテイムモンスターが選べますってゲームがあったとして、狼とか鳥とかスライムとかを差し置いて、初手ゾンビ選ぶやついるか? いねーだろ。

 何が悲しくて、モフモフに癒されるのが魅力の一つであるテイマー選んで、腐肉を侍らせなきゃなんないんだよ。


 もし選ぶやつがいるとしても、それはよほどのゾンビマニアか、種族進化だかでゾンビが違う女性モンスターになると目論んでいるエッチなやつくらいだ。

 そうじゃないなら、ゾンビをテイムしようとするのは、俺みたいに他に選択肢がないやつだろう。



 そう諦めていたところで、降って湧いたランダム召喚である。



「ここでなんとかマトモなモンスターを召喚できれば、南小のコミュニティにもちゃんと紹介できる」



 ちなみに、テイムモンスターがダンジョンの外に出られる、というのは忍者とテイマーを選ぶ段階で確認済みだった。

 そうでなきゃ、なれはてたものたちとの戦いを前にテイマーを選ぶ理由ゼロだからな。


 だが、それでテイマーを選んだとして、南小の人たちに説明するとき、ゴブリンやゾンビ、スケルトンを引き連れて挨拶しに行くのは狂気の沙汰だろう。

 特にゾンビを引き連れて行くのは、喧嘩売ってると思われてもおかしくない。『これはダンジョン産なんです』の言い訳がどのくらい効くか。

 変な称号を与えられた俺だけど、松川さんや杉井さんらを混沌に陥れたいと思っているわけではない。


 だから俺は、ここで誰に見せても恥ずかしくない立派なテイムモンスターを引き当てたいのだ。


「希望は、俺の能力を補えるタイプ。前衛が出来るやつか、俺の索敵をカバーできるやつ」


 前者は、ステータスの力と体、それに速が高いタイプだったらなんでもいい。魔はそこまで求めないし、運も最低限あればいいだろう。

 後者は、ステータスよりも特殊な能力を持っているかだな。犬みたいに嗅覚が鋭いとか、鳥みたいに空から索敵できるとか。そういう、人間は持たないタイプの能力が欲しい。


 だが、最悪闇系のモンスターでなければなんでもいい。

 召魔忍者として胸を張って隣を歩ければそれでいいのだ。


『無駄かもしれませんが、神様に良縁を願ってみますか?』


「冗談でもやめてね」


 端末くんからの恐ろしい提案に、俺は頬を引きつらせた。

 願ったらちょっと考慮されそうな気もするけど、それと引き換えにとんでもない負債も背負わされそうだ。


『それでは準備はよろしいですか? なお、テイム交渉の如何によっては喚び出したモンスターとの戦闘に発展する場合や、交渉が難航してCPが底をつく可能性もございますが』


「そういうことは先に言って」


 チュートリアルのくせにこっちにもしっかり覚悟を求めてくるのは、やっぱりこのダンジョンだよ。

 少なくとも、そう聞いてHP2の状態でチュートリアルに挑めるほど、俺は命知らずじゃない。

 多少は回復してから挑むことにしよう。





 それから、チュートリアルを開始する前に先に昼食を済ませ、残っていたスキルの疑問をついでに解消した。



『アライメント鑑定』は、相手の性格傾向を鑑定できるスキル。消費CP1。

 性格傾向とは『秩序・中立・混沌』という社会的な属性と『善・中立・悪』という人間……じゃなくてモンスター的な属性を組み合わせたもので、大まかな行動方針を示すもの。


 秩序に寄っている相手は社会のルールや規律を重視するし、混沌に寄っている奴はそういう決められたものに従うことを良しとしない。

 これが社会的な属性の簡単な考え方。


 善に寄っている相手は仲間を助けるといった行動を時に自分を犠牲にしてでもやるし、悪に寄っている奴は自分にメリットがなければ動かない。

 これが人間……ええい、モンスター的な属性の簡単な考え方。ただ、単純な善悪というよりは、利他的か利己的かといった印象だ。


 そしてこれが何に関わってくるかと言うと、テイム時の印象に関わってくるらしい。

 称号の効果的に、俺はこれの混沌属性のやつや、闇≒悪属性のやつから一目置かれるとか。

 つまり俺、もう秩序とか善とかのやつから敬遠されるってこと?



『火炎魔術・中級』は初級からの純粋な強化だ。

 扱えるCPの最大値が50まで増え、魔術をストックできる数も10にまで増えた。

 あと称号の効果でCPの変換効率も体感1割くらい良くなっている、感じ。まだ検証不足。

 単純に数字が増えただけだが、この後に求められる戦いで純粋な火力アップは両手を上げて歓迎できる。


 魔の女神様本当にありがとうございます!

 ついでにストレージも10枠になってたの、めちゃくちゃ助かります。今度腐った心臓でよければお供えしますね!



 あとは《闇夜と死の徒》に含まれているスキルがちょっとだけ増えていた。

 細かいところだと『すり足』が『忍び足』に変化していたり、『隠蔽』とか『虚偽感知』とかの面白そうなスキルが増えていたり。

 その中でも気になったのは『正心』というスキルだ。


 ──────

 正心


 あらゆる状況において正しい心を忘れない。

 コストCP:(複合スキルに統合済み)

 ──────


 こんな状況で正しい心もクソもないとか思ってしまいそうになるが、大切なことだと思う。

 目的の達成のために、惑わないというのは今の俺には重要なことだから。






「よし、回復完了」


 生のウサギ肉を焼いて塩胡椒をかけただけという昼食を終え、食後の運動でちょっとゾンビを2体狩ってきた。

 それでちょろっと稼いだなけなしのEPでHP回復薬を3個購入し、現在のHPは70まで回復している。

 まだ不安といえば不安だが、一階層や二階層の相手ならまぁ、大丈夫だろう。

 むしろCPの方が不安かもしれない。こちらも41まで回復しているので多分大丈夫だけど。


『チュートリアルを開始しますか?』


「よろしく頼む」


『承知いたしました。これよりテイマーのチュートリアルを開始します』


 端末の言葉とともに、ダンジョンの第三階層の通路に、いかにもらしい魔法陣が現れる。

 俺が警戒しながら見ていると、魔法陣が青白い光と稲妻のようなものを迸らせ始め、程なくして『カッッ』と一際強い光を放つ。

 果たして、その魔法陣の上に乗っていたのは。



「アリ?」



 蟻だった。

 もちろん、現実的なサイズのそれではなく、全長1mくらいはありそうな、モンスターらしいサイズのアリである。

 体の色は赤っぽい黒で、顎についているハサミがなかなか凶悪な感じ。


 そのアリは、自分がいきなり召喚されたというのに混乱する様子を見せず、じっと俺の方を見て様子を伺っていた。


『チュートリアルで呼び出されるモンスターは、事前にダンジョンが召喚の承諾を得ています。いきなり襲いかかってくることはありません』


「なるほど」


 どこか他のダンジョンから直接召喚したのか、ゼロからポップさせたのかは知らないが、説明もなしに襲ってくることがないだけで十分だ。

 もう少しだけ観察させてもらう。

 こう見ると、つぶらな瞳が意外と可愛らしくも見えるし、膨らんだ昆虫の腹の部分を見ると思わずこう思いもする。



「アリって、食えるのかな……」


「!?」


「あ、ごめん、冗談だよ」



 敵対しないことになっているアリが、俺の言葉を聞いて明らかに身構えていた。

 違うんだ。ただ、ゴブリンやゾンビよりはマシだなと思ったら、ついポロっと出てきただけなんだ。

 別に積極的に食べたいと思ったわけじゃないんだ。


『…………それではチュートリアルを続けましょう。まずはテイムのスキルを行使してみてください。やり方は基本的に魔術の扱いと一緒です』


「了解、最初は口に出せばいいのかな。『テイム』」


 少しだけ端末くんからもドン引きの気配を感じながら、俺は言われた通りにテイムのスキルを行使してみる。


 すると、上手く言葉にするのは難しいのだが、俺からアリに向けての『意識』のラインが通ったような、不思議な感覚があった。

 なんだろう。お互いの心同士が繋がったような?

 今なら、言葉ではなく心で相手と交渉できるような感覚だ。


 そして、その感覚で繋がった相手であるところのアリは、開口一番(テレパシー一番?)にこう言った。



『ウ、ウチは食べても美味しくないですよ!?』


「ごめんて」



 やっぱりばっちり俺の言葉の意図が伝わっていたらしい。

 あと、女の子なのね。働きアリかな?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ