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ダンジョンサバイバルinゾンビワールド  作者: score


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第53話 召魔忍者




「お知らせ、ですか」


『お知らせです』


 このタイミングのお知らせで、良い予感を覚える人、居ますか?

 俺は覚えません。

 あまりにもタイミングが良すぎて──その前の会話が不穏すぎて、神様がどこかで手招きしているイメージしか出てこない。


 問題は、その手招きしている場所が、地獄なのか天国なのか分からないということだ。


「一応聞いてみたいんだけど、良いお知らせ?」


『…………まぁ、はい』


「その長い溜めいる?」


 仮にも良いお知らせなら、ズバッと言い切ってしまってくれよ。

 端末くんをこんなに困惑させるなんて、よっぽどのことなのだろう。


『私情を除いてお話ししますと、こちらのお知らせには上杉様へのプレゼントが封入されております』


「それは、良いお知らせだね」


『そして、開封すればそのプレゼントは受取拒否ができません』


「不親切なソシャゲかな?」


 今時、一旦プレゼントボックスで受け取り保留できないソシャゲはなかなか無いぞ。

 まぁ、つまるところあれだ。

 このお知らせは、一度開くと後戻りできないと。


『ですが、プレゼント自体は、上杉様に有益なものであると考えられます』


「ふむ」


 散々脅しておきながら、端末くんは言い切った。

 つまり、公平に考えても俺にとってはプラスになるものなのだ。


「ならばなぜ、言い淀んだ?」


 ダンジョンに繋がっているAIが俺のプラスになると思いながら言葉を濁す理由はなんなのか。


『神からの過度な干渉は、それが良きにしろ悪しきにしろ、人の運命に影響を及ぼします。神から与えられる力は、この先、上杉様が本来迎えるべきだった『死』すらも、跳ね除ける力になるでしょう』


「…………うん」


『ただ、人間は死ぬべき時に死ぬものなのです。それこそが『ダンジョン』が生まれた理由の一端であり、同時に人間という種族の迎えるべき安寧です』


 つまり、端末くんはこう思っているわけだ。

 死ぬべき運命を捻じ曲げてまで生きようとすることは、ましてその運命を神が曲げようとすることは、よくないことなのだと。




『死を乗り越えた先が、死すらも温い地獄でないという保証はありません。あなたの掴んだ生が、あなたを苦しめる未来に繋がっていない保証はありません。上杉様が、己の意思で生き、己の意思で死ぬことを望むのなら、これは神からの過ぎた干渉になるでしょう。よくお考えください』




「なるほど、じゃあ開けるわ」


『…………え!?』


 端末くんは、俺の即断に驚きの声を上げる。

 だが、端末くんの話は、ちょっと一般的な人間には視座が高すぎる。

 運命とか、己の意思で生きるとか、ちょっと一般的な大学生には想像の範囲外だ。


 だから、考えることは、いたってシンプルなのだ。


「端末くん。俺は既に生き地獄だぜ? 家に帰るたび、俺のせいで犠牲になった女の子がゾンビになって待ってるんだ。そんな彼女を救える未来に一歩でも近づけるんなら、俺は神だろうと悪魔だろうと、喜んで手を繋いでやるさ。だから、開いてくれよ、お知らせを」


『…………そうですか、そうですね。承知しました』


 俺の言葉に、端末くんはどこか寂しげな声を出した。

 悪いな。心配してくれていることだけは分かっているんだ。

 だけど、俺が求めるものは変わらないんだよ。



 俺は茉莉ちゃんを救うためにここにいるのだから。



『それでは、お知らせを開封いたします』


 端末くんは、そう言ってメッセージを開封した。

 瞬間、端末くんとは違うダンジョンの天の声さんが頭の中で響く。


『上杉志摩様に、称号が送られました』


 へぇ?

 なんか思ってたのと違うものをもらったような?


『称号は、こちらのプレゼントを取得するために必要だったものです。後でご確認ください』


 俺の疑問に端末くんがさっと補足を入れてくれる。

 素直にその言葉に頷いたあと、俺はその表示を見た。




 【エクストラジョブ解放のお知らせ】


 いつもダンジョンをご愛顧いただきありがとうございます。

 この度、上杉様のダンジョンでのご活躍を拝見し、上杉様にあった特別なジョブをぜひお試しいただきたいと考え、ご連絡させていただきました。

 つきましては、こちらに新規エクストラジョブの概要を添付いたしましたので、ご確認の上、ジョブ習得をご検討ください。



 ──────────

 召魔忍者:4000EP→今だけ678EP!!(30分限定)


 忍者とテイマー(サモナー)の特徴を併せ持つエクストラジョブ。


 忍者の身体能力、隠密能力、豊富な手札を持ちながら、テイマー(サモナー)職の特徴である豊富な魔力と、モンスター使役能力を併せ持つ。

 単独の戦闘能力も高く、あらゆる状況への対応能力も同様に高い。

 ただし、成長に必要なEPに大きな補正がかかる。


 CP、魔、速に成長大補正。

 力、運に成長補正。


 習得条件1:忍者の習得条件を満たす。

 習得条件2:テイマー(サモナー)の習得条件を満たす。

 習得条件3:六柱以上の神からの承認を得る。

      :

 ──────────



「怪しい広告かよ!!」


 どんな文面が飛び出してくるかと思ったら、あなただけに特別なオファーみたいな広告のアレじゃねえか。

 さっきまで、結構シリアスに悩んでいた俺の気持ちを返して欲しい。


『お知らせを開いた直後から30分の間のみ、ジョブの習得にかかるEPが678EPとなっております。ご決断はお早めにお願いします』


「その678EPが俺の有り金全部なんだけど。こんなあからさまなことある?」


 いや、そりゃ4000EP出せとか言われても困るよ。

 もしここで4000EPだったら、このジョブのことはなかったことにして、さっさとテイマー取ってたよ。


 ただ、端末くんが散々俺に忠告していた意味がちょっとわかった。

 これを取ったが最後、俺は確実にこの承認したらしい六柱の神のお気に入りのおもちゃに認定されてしまうのだろう。


「はっ、上等だ」


 俺がおもちゃにされるくらいなんだ。

 これで、茉莉ちゃんを救える未来に近づけるなら上等、そうさっき覚悟したばっかりだ。

 レベルアップにかかる経験値が増えるみたいなデメリットは書いてあるが、その分成長補正も高いみたいだからトントンだろう。


 つまり、俺にメリットしかない。

 だったら、迷う必要はない。


「召魔忍者にジョブチェンジだ」


『ジョブの習得は取り消せません。本当によろしいですね?』


「男に二言はない」


『かしこまりました』


 俺に確認をとった後、俺の意思を汲んで端末くんが動く。

 途端に、俺が今まで貯めた分のEPがごっそりと体から抜け、光の粒子になって端末へと吸い込まれていく。

 そのあと、今までのスキル習得よりさらに時間をかけ、光の粒子は黒と紫の輝きを帯びて端末から再び俺の中に戻ってくる。


 途端、今までの自分が何だったのだろうと思えるほど、己の中の何かがはっきりと拡張された感覚を覚えた。

 自分という存在の性能を、俺自身が思い知らされるような不思議。

 やがて、光の粒子のやりとりを終えて、端末くんが事務的にこぼした。


『ジョブの習得、およびジョブの設定を完了しました。詳細は以下のステータスをご確認ください』


 事務モードの端末くんは余所行きの態度で、俺に確認を促す。


「わぁお」


 その表示を見て、思わず俺も声を漏らしてしまった。


 ──────

 上杉 志摩

 召魔忍者

 レベル10

 所持EP:0


 HP2/145

 CP34/180(使用中80/260)


 力:14→21

 魔:20→32

 体:10→12

 速:20→32

 運:16→24


【所持スキル】

 [パッシブスキル]

 悪臭 


【セットスキル】

 [パッシブスキル]

 《闇夜と死の徒》 ストレージ(極小)


 [アクティブスキル]

 強打 目星 測量 火炎魔術(初級)→火炎魔術(中級)

 簡易鑑定

 アライメント鑑定 New!!

 テイム New!!

 サモン New!!

 口寄せの術 New!!

 

【称号】

 『屍鬼を喰らいし者』

 『闇と死の徒』→『闇夜と死の徒』

 『混沌と孤独の同胞はらから』New!!

 『魔道の探求者:序』New!!

 ──────



「なんだこの超強化」


 ジョブ一つ取っただけで、ステータスが強化されまくりである。

 レベル1も上がってないのに、ステータス的にはこれもう15レベルくらい上がってるんじゃないの?


 HPと体はあんまり上がってないけど、それ以外は軒並みジャンプアップである。

 特にCPの上がり幅が半端ない。カツカツだったCPがこんなに余裕のある最大値になってしまった。


 というか、こんだけステータスが変わるんだとしたら、そりゃ端末くんも全力で困惑するわ。

 テイマーで忍者やるって言った時にめちゃくちゃ頑張って止めた意味がわかるよ。

 テイマーだったら力とか速とかこんなに上がってないだろうからな。


「まさかジョブ一つでここまで変わるとは」


『召魔忍者というさっき作られたジョブは、調整もろくにされていないので尚更ですね』


「……聞かなかったことにするね」


 端末くん、ぼそっと『さっき作られた』とか言ってるけど、俺は何も聞かなかった。

 まさか、俺の発言を聞いた神が超特急で作って差し込んできたとか、そんな可能性は考えない。

 どんだけ期待のおもちゃなんだよ、と突っ込みたくなるから。


「というわけで、ステータスの数値については置いておくとして、あとは……」


 スキルも、ちょっと成長したり、色々と新しいものが増えている。

 その辺は結構気になるポイントだ。

 気になるが、それよりもこう、もっと気になるものが下に三つもね。


「端末くん。この称号なんだけどさ」


『表示します』




 ちょっと待ってくれ!

 もう少し心の準備をさせてくれ!



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