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ダンジョンサバイバルinゾンビワールド  作者: score


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第213話 五階層三日目の予定確認




 目を覚ます。

 爽やかな朝とは言えない。昨夜の疲れは概ね取れたが、頭に眠気の残滓。

 頭を振って周囲を見れば、クミンがモクモクと吸血蝶無限狩りを実行しているところだった。


「おはようクミン。何時間寝てた?」


『およそ十時間くらいです』


 ……しまったな。

 寝たのが3時くらいだとすれば、もう13時。朝は終わってとっくに昼を回っている。

 思ったよりも寝すぎたことを悔やむべきか、夜型への調整が楽になったとポジティブに考えるべきか。

 寝起きのゴーレムランニングは少し早めに切り上げる必要があるだろうか。


「何か変わったことはあった?」


『特にはないですね。ゴーレムさんにCPをチャージしてあげてください』


 クミンの視線の先では、たった今、箱型からコアに戻ったゴーレムが居た。


 このサモンゴーレムの挙動に関しては、未だに謎が多い。

 その最たるものは、どこまで俺なしで行動できるのかという点だ。


 ぶっちゃけると、ゴーレムは俺の言う通りに動くことはできるが、自分で行動を臨機応変に変更するとかはできないっぽい。

 この吸血蝶狩りのルーティンも、俺が『クミンの声に反応して、温存、ゴーレム、箱型を切り替えろ』という命令をしておけばその通りに動く。

 だが、そういうのなしでクミンが『温存、ゴーレム、箱型に変形』と命令しても動かない、みたいな感じ。

 同時にどれくらいの命令を伝えておけるのかも、いまいちよくわかってない。


 他にも『敵が来たら撃退しろ』は命令できるが『敵味方は自分で識別しろ』はまだまだ難しいところだ。

 まぁ、このダンジョンには俺とクミン以外は敵しかいないので、問題はない。


 言っている間に、クミンがゴーレムのコアを回収して来たので、俺はそのコアにCPを注いであげる。

 外付けのCPタンクにも同様に注ぐのだが、注いだ端からガボガボCP回復薬飲んでる姿は、ちょっとどうなのと思わなくもない。

 CP回復薬の副作用とかが気になる今日このごろだ。


「さて、いつも通りにスケルトンスカウトを四階層に派遣してから、朝ごはんにするか」


 ひとまずチャージを終えた俺は、ルーティンのように朝の準備に取り掛かった。

 飲食物用のストレージから物を取り出して、少し眉間にしわを寄せた。



 食料の方は、まだ余裕がある。

 というか余裕がなかったらやばい。ここで食料の補充はできない。

 最悪、屍肉草を食うか喚屍草を食うかという極限の選択になる。


 問題は、水の方。

 余裕がないとまでは言わない。

 ただ、ちょっと問題がある。

 南小の氷水魔術師にもらった、綺麗な水がもうすぐなくなりそうだ。

 確か20リットルくらいはもらったはずだが、もうそんなに飲んでいたのか。


 これが無くなっても、まだ水はある。

 風呂桶に貯めていた水のほうだ。

 飲用にするにはちょっと衛生面で気になるけど。


 いや、全然余裕でいけるとは思うんだよ。

 今なんか体のステータスも高まっているわけだし、状態異常耐性も高い。

 世界レベルで安全な日本の水なんだから、全然余裕で飲めるはず。

 五階層のあの赤黒い謎の液体の5億倍くらいは安全だ。


 ただちょっと「これ風呂桶に貯めてた水なんだよなぁ」という気持ちになるだけで。


 そうなると他の選択肢はあれだ。

 救済ジョブの魔法使いを取得して、氷水魔術引き当てガチャを行う。

 多分、きっと、メイビー、今の俺は氷水魔術を取得できると思う。他に持ってない魔術はそれだけなので、確定ガチャのはず。

 そうなれば、水に関する悩みは全て解消され、なんなら水を冷やす自由すら手に入れられる。


 ただし、ジョブが一つしかつけられない以上、そのジョブを取得する時は召魔忍者を外さなければならない。

 そこで水を貯めて、またすぐに召魔忍者に戻ればそれで済む話ではある。

 でもそれを外すと、クミン曰く「不快な眠りを強制される感じ」になるらしいんだよな。クミンが。



『どうしたんですか?』


「いや、なんでもないよ」



 優先順位的には微妙だけど、あるものを消費するのは悪いことじゃない。水を出すのにもCPを使うし。

 クミンの機嫌を損ねることを恐れたわけではないが、俺は風呂桶の水を消費することに決めた。


 まぁ、使うときは沸かしてから飲むことにしよう。

 朝ならゴーレムランニングから帰ってくるころには、常温の水になっているだろうし。





「出発する前に、グールがどういう動きをしたのかは確認しないと」


 ウサギ肉を貪り尽くした俺は、完成に一歩近づいた五階層の夜マップを眺める。

 グールたちは順調に探索を進めていたようだ。

 近場でゴブリンを手放した様子もない。これはあれか。


「喚屍草を使ったグール狩りの影響で、それなりに広い範囲が安全地帯になっていた感じ?」


 少なくとも、この入り口洞窟から近い範囲で敵グールと遭遇したらしき形跡は一切なかった。

 ちなみに、途中でゴブリンを手放した場合は、そのポイントを記録してもらうようにオートマッピング先生にはお願いしてある。マジで頭が上がらない、先生ありがとう。


 というわけで確認をしてみるが、ふむ。


「どうやら、ゴブリンとグールが同時に死んだ地点はないみたいだな」


 出発前に懸念していた、グール以外の強敵の出現は、昨日の探索範囲には存在しないようだった。

 グールがどのくらいのスピードで走ったのかは知らないが、だいたい距離にすると、この入り口から『ホブゴブリンの塒』までの中間地点あたりでゴブリンを手放しているケースが多い。

 逆説的に考えると、だいたいそのくらいの距離があの無限わんこグールの効果範囲って感じか。


 そんなグールも夜明けからしばらくしたら、吸血蝶にたかられてじわじわなぶり殺しにされた感じかな。

 やっぱり対策なしで昼に出歩くのは無理くさい。


「さて、こうなると、ますます『ホブゴブリンの塒』の位置が作為的に思えるな」


 もちろん、衝風魔術で匂いを撒いたのだから、その魔術の強さで効果範囲が広がることは考えられる。

 だが、正確には呪いだというのなら、呪いの効果範囲が匂いが伝わる範囲と同じだとは思えない。


 まぁ、この距離でポップしてそこから走ってここに向かったにしては到着時間が早すぎるので、システム的な仕掛けはあるだろう。

 たとえば、呪いの効果範囲は10kmで、その効果範囲内のグールの出現ポイントの数だけ、グールを500m以内に喚び出す、みたいな。


 もし『ホブゴブリンの塒』の位置が、五階層攻略のために計算された位置であるなら。

 だいたい同じくらいの距離のラインに、他にもオブジェクトが存在していたりするかもしれない。

 今夜偵察部隊を出すときには、その辺も考慮してみよう。


「まぁ、仮説の一つとして置いておこう。当たっていたら行動のヒントになるし、外れてもグールと遭遇するだけだ」


 たとえば、冒険に出る前に無限グールを処理しきっておくことで、『ホブゴブリンの塒』まで向かう道中のエンカウント率が半減となるならば、利点はある。

 そこまでの疲労に釣り合うかの問題はあるが。


 だめだな、一度そういうのが気になると止まらないのは、情報系の学科に入った人間の性かもしれない。

 まぁ、既存のどんなプログラム言語でも、ダンジョンを作ることはできないだろうが。


「とりあえず、レベリングするにしても、五階層を調査するにしても、一度『ホブゴブリンの塒』を調査するのは必須っぽいなぁ」


 頭の中で、軽く時間を計算してみる。

 夜の時間はおよそ12時間、余裕を見るなら10時間くらいで考えておくとして。

 無限グールを適切に処理できたとするなら、準備に30分、殲滅に1時間半……いや2時間か、片付けに30分。合計3時間。

 ここから『ホブゴブリンの塒』まで、まっすぐ進んで3時間……いや走れば短縮はできる。

 道程の半分はグールが一掃できているとすれば、2時間で見てもいいか。となると往復で4時間だ。


 この時点で合計7時間。

 オブジェクトである『ホブゴブリンの塒』の観察、および殲滅は3時間しか猶予がないと考えるか。


 本当だったら、3時間たっぷり観察に費やして、翌日夜襲をかけにいくみたいなムーブがしたい。

 だが、時間がない。可能なら、一日でケリをつけよう。もしゴブリン達が夜にはちゃんと眠るお行儀の良い子達だったら、捗るなぁ。


 それはそれとして、もし先日の仮定──『ホブゴブリンの塒』が攻略後には安全地帯に変わるというのが正しかったとしたら。

 その時は、場合によって行動を分けるか。


 たとえば、端末くんが生えて来て安全地帯だよって教えてくれたなら、拠点をそちらに移すことがほぼ確定する。

 寝起きのゴーレムランニングができなくなるが、それどころではない。

 そうなったら、五階層は中継地点を作らないと攻略が難しいほど広いという情報が与えられたようなものだからだ。


 端末くんが出現しなかった場合は、とりあえず偵察だけは放って、一度入り口まで戻ろう。

 何かしらのイベントが起きたとしても、それを自己判断せずに端末くんに質問した方がいい。

 答えられないってなったのなら、改めて拠点を移すか考えてもいい。


 ひとまずはこの二択か。

 平和なゴブリンの村に夜襲をかけることについて、罪悪感はある──いや、本当にあるかな? 微妙にあると思う。

 だが、こっちも命かかってるし、うちの骨のモンが先にやられてるからな。

 お礼参りだと思って罪悪感は見ないことにしよう。



「とりあえず、そんな感じで考えているけどどう思う?」


『現状はわからないことだらけなので、その計画で異論ありません。ウチも最近全然戦えてないので、ホブゴブリンとの戦いがちょっと楽しみです』



 クミンはそこまで好戦的な性格だとは思ってなかったが、最近のTくんの後ろに隠れてお祈りするみたいな生き方には思うところがあったらしい。

 俺も思うところはある。

 まぁ、もし隠密作戦になったらTくんの出番はないので、俺とクミンが頑張ることになるだろう。


「じゃあ、俺はゴーレムランニングしてくるよ」


『お気をつけて、決してCPをケチって危険な状況にならないようにしてくださいね』



 クミンに釘を刺されつつ、俺は朝の日課に向かうことにした。

 フラグじゃないからね。




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