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ダンジョンサバイバルinゾンビワールド  作者: score


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第170話 リストアップ



 さて、ダンジョンの方からもゴーサインが出たところで、俺のやるべきことは変わらない。

 夜も変わらずに狩りの続きをしたいところだが、今日リポップした分のゴーレムはあらかた狩り尽くしてしまったような現状だ。

 貪欲に三階層のスケルトンを狩りに戻ってもいいが、今は溜まっていたタスクを処理するところだろう。


 すなわち、今後に役立ちそうなスキルのリストアップだ。


「相変わらず、ずらっと並んでやがるぜ」


 端末くんに取得可能スキルのリストを表示してもらう。

 が、ここに列挙するのをためらう程度には、その種類が多い。


 メジャーなものはメジャーなものとして揃っているが、そのスキルピンポイントすぎじゃね? みたいなマイナーなものもある。

 これ、一体どんな条件満たして出て来たんだよ、みたいなね。


 例えば『骨振動感知』ってなんだよ、と思って、ちょっと説明を見てみる。


 ──────

 骨振動感知:EP100


 自身の骨の震えから、周囲の悪意や足音といった外的要因、己のコンディションなどの内的要因を判断できる。

 骨の周りに肉がついていると感度が落ちる。

 コストCP:3

 ──────


 ああ、これ『白骨化』専用スキルですね。

 多分スケルトンを狩り続けて来たから増えたやつかな。

 もしくは、ずっとサモンスケルトンし続けて来たから?


 ……え? 取らないよ。


 いや、究極的に取るものなくなったら、性能落ちるだけで意味はあるみたいだから取るかもしれないけど、優先順位は低い。

 いや、音も出せない状況で、骨だけで索敵できるって考えたらやっぱ、ありか?

 ……ちょっとだけ候補に入れておくか。


 ついでに、最近はスキルを突っ込むだけ突っ込んで、中身がどうなっているのか良くわからなくなってきている《闇夜と死の徒》も、ちょっとだけ整理しておこう。


 今はこんな感じだ。


 ──────

 《闇夜と死の徒》


 闇に生き、夜に潜み、死を呼ぶ者の技術を集めた複合スキル。

 闇の女神、死の女神、夜の神の期待を一身に受けた証でもある。


 『不意打ち』『聞き耳』『危機感』『忍び足』『集中力』『罠感知』『早足』『気配察知』『隠密』『ゾンビキラー』『カウント』『暗視』『毒耐性』『麻痺耐性』『眠り耐性』『疲労耐性』『調薬』『忍び草』『直感』『精密動作』『隠蔽』『虚偽感知』『正心』『首切り』を内包する。


 複合効果:夜と闇と死の側では効果が微増する。


 コストCP:50

 ──────


 ひどいことになっている。

 こいつらをそのままセットしようと思ったら、一体どれくらいコストがかかるのか見当もつかない。


 召魔忍者になった時に増えたスキルと、俺が必要だと思ってそっと増やしたスキル(だいたい耐性系)が混ざっているが、まぁ、概ね闇に潜む忍者感しかないな。

 そして、テイムとかサモンを強化する系のパッシブが全然ない。

 多分その辺は複合範囲外だとは思うんだけどね。



「とりあえず、当初の予定通りリストアップしていく」



 今回の目的は、アイアンゴーレムを倒す上での、戦力の底上げに繋がりそうなスキルのリストアップだ。

 石工スキルのような、一見無意味に見えて魔術的に意味がありそうなスキルを探す。


「目星先生、魔術の性能に関わるパッシブスキルを教えてください」


 と、軽い気持ちで尋ねてみる。

 こういう時は、とりあえずリストを表示して目星先生が効果的。

 と思ったのだが。


「……だいたい光ってるんだけど」


 明確に関わりそうなものから、一見意味がなさそうなものまで、目一杯光っていた。

 これは、いったい。


『攻略情報を一部解禁します。パッシブスキルと呼称されるスキルですが、その大元では、魔術同様にCPを扱っております。魔術として体系化される前でも、CPを扱う時点でそれは原始的な魔術でもあり──ひいてはCP操作への微細な影響があると考えられ──魔術の性能に関わると判断されると考えられます。故に、全てのパッシブスキルが、該当すると判定されたものと考えられます』


 俺が困っていると、端末くんがヒントをくれた。

 つまり、今の俺は水を探そうとして、水分子が含まれているものがある場所を教えてと尋ねたみたいな感じなのか。

 そして水を含む大地が目一杯光ってしまったと。


 少し悩んでから、言い方を変える。


「目星先生。火炎魔術と密接に関わっているスキルを教えてください」


 ややあって、無駄に発光していたように見えたスキルリストは、随分とシンプルになった。

 見てみると、こんな感じ。

 軒並み高くなっているのは、購入時にEPで熟練度ボーナスがついているせいだろう。


 ──────

 調理:100EP

 発破:100EP

 煙術:100EP

 ──────


 火とか爆弾とか、煙とかが関わって来そうなスキル群である。

 なるほど、やっぱりパッシブスキルによって魔術の扱いが変わるようなことはあるんだなと確認できた。

 ただ、闇夜と死の徒とはあまり相性はよくなさそうだ。

 忍者的にはありなんだろうけど、火って闇のイメージからは微妙に逸れているからな。(闇の炎に抱かれる話はしていない)


 同様に、水と風、土についても確認してみる。

 水については、俺がスキルを取得してないからかほとんど何もない。

 一つだけあったのは『水泳』スキルだ。

 多分、召魔忍者になった時に取得可能になったのだろう。


 風も習得したばかりだから、こちらもあまりリストアップはされていない。

 ただ、水よりはちょっと多くてこんな感じ。


 ──────

 風読み:100EP

 天候観測:1000EP

 ──────


 前者は、普通に風の向きとかを感じるスキル。

 後者は、その流れで天候を感じるスキルのようだが、それにしては高い。

 もしかしたら、天候への干渉能力も持っているのかもしれない。

 たぶんここじゃなくて、ウサギ平原で一日空を見ていたから生えたのかな。

 もしくは、忍者的な技能スキルだろうか。わからない。


 最後に土だ。


 ──────

 土木:200EP

 掘削:200 EP

 鉱物理解:1500EP

 ──────


 土木や掘削は想定通りだが、少しだけ思うところがある。

 これはどちらかといえば、俺よりもクミンが頑張っていた分野ではないだろうか。

 もしかしたら、テイマーはテイムモンスターの経験も少し流れ込む設定になっていたりするのかもしれない。


 まあいい、本題はラスト。

 1500も要求してくる『鉱物理解』スキルだ。


 ──────

 鉱物理解:1500EP


 鉱物の知識を得る。また、その精製や加工についての知識を得る。

 コストCP:30

 ──────



「……………………」


 俺はその説明をじっくりと眺めてみる。

 どこにも、土も石も関係はしていない。

 なんなら、魔術の技術に繋がりそうな文言もない。


 だが、目星先生が言っているのか、これは間違いなく『土石魔術』に関わっているパッシブスキルなのだと。


「……そういうことか?」


 ここで正直に白状しよう。

 実は俺は、土石魔術で金属を作れないか試してみたことがある。

 だが、結論としていきなり鉄を生やすような真似はできなかった。


 その時は、土石魔術はそこまでできない。あるいは、上級くらいまで熟練度を上げないと作れない。

 そのどちらかだろうと思っていた。


 だがここに、鉱物理解スキルというものが存在している。


 どうしてこれが生えているのかはさっぱりわからない。

 いや、これも召魔忍者に連動して生えてきたものか?


 忍者は毒を扱う。

 そして毒は、動物や植物、そして鉱物などから得られる。

 つまり鉱物の理解もまた、忍者的な技能スキルだ。

 だから、初期セットではもらえなかったが、必要であれば習得できるようにスキルが生えていた、というのが可能性として考えられる。



 そして、土石魔術と鉱物には関係がある(と先生が言っている)



 このスキルを習得することで、土石魔術で新たに鉱物が生成可能になり、ひいてはそこから鉄を錬成することなどが可能なのではないだろうか。

 スキルのシナジーは、こういったところにも隠れているのではないだろうか。



「クミン、検証したいんだけどどう思う」


『問題ないと思います』



 クミンの了解ももらって、俺は真っ先に『鉱物理解』スキルを習得する。

 流石の値段とコストの重さだ。

 その知識がインプットされる感覚も、凄まじい違和感を伴う。

 思わず並列思考を起動して、その知識を一つの思考に押し込めたくなる衝動にかられた。


 というか実際、自分の脳とはまた別の外付けのデータベースが頭の中にできた感覚であった。


 案の定、鉱物理解スキルは《闇夜と死の徒》へと統合された。

 扱いはやはり毒物か。




「土石魔術を、使ってみよう、と、思ったんだけど……」



 と、ここでスラスラと珍しい鉱物の一つでも上げられたらいいのだが、あいにくと俺の頭にはその情報がなかった。

 スキルによる知識はあるのだ。頭の中に眠っている感触がある。だが、頭に知識はインプットされていても俺の中の引き出しがない。

 知らないものを、知ることはできない。地道に検索してみるか、あるいは、図書館なりで鉱物の資料を探す必要がありそうだ。


 とりあえず頑張って見たが、頭の中で浮かぶ『マ●ライト鉱石』とか『ドラ●ライト鉱石』とかは、ヒットしてくれない。

 あっ、と思って『ミスリル鉱石』とかも検索してみたが、これは多分熟練度が低いため弾かれた感触があった。そういうのもあるのか。



 だから諦めて、とりあえず知っている『鉄鉱石』を思い浮かべてみた。



 鉄鉱石。

 頭の中にそのイメージが浮かぶ。

 同時に、そのイメージと魔術をどう結べばいいのかも、感覚で理解できた。


「こう、か?」


 土を生成するときとは違う、ごっそりとしたCPの消費。

 体感で、サイズは同CPで土を作ったときの、1/30くらいだろうか。

 生成物は、直径にして30cmにも満たなそうな塊。

 だが、確かに目の前には、赤茶けた色合いの、金属を含んだ鉱石がごろんと現れたのだった。



「できちゃったよ」


『おめでとうございます!』


「う、うん」



 昔試した時には全く作れなかったものが、パッシブスキル一つ取るだけで簡単に作れるようになる。

 これは、もしかしなくても、魔術とパッシブスキルの関係は俺が思っているよりも深いものなんじゃないだろうか。



 なんにせよ、これは前進だ。



「俺たちもアイアンゴーレムが作れるぞ」




 どれくらいのCPを必要とするのかは検討もつかないが、だがしかし。

 俺たちは、土壇場で一つ大きな武器を手に入れたみたいだった。



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