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殺戮令嬢リア・エルスワーズの華麗なる侵略史  作者: 結城 からく


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第45話 置き土産

 レグゥの死後、私達は竜に乗って王都への帰路に着く。

 拘束した盗賊は竜に吊るす形で連行している。

 劣悪な環境に盗賊が悲鳴を上げているが、それは私の知ったことではない。

 暴れると落ちるかもしれないので大人しくしてほしいものだ。


 先頭の竜の背に乗る私は、鉈を掲げてじっと見つめる。

 血を拭い取った鉈は奇妙な光沢を帯びていた。


「ふむ……」


「お姉様、どうされましたか?」


 後ろからシェリーが覗き込んでくる。

 私は鉈から視線を外さずに答えた。


「レグゥの奴が精霊の力を付与したらしくてな。何が変わったのか確かめてるんだ」


「実際に使ってみたらすぐに分かるのでは?」


「なんとなく危なそうだから、先に観察してるんだよ。罠の可能性もあるだろ」


 鉈に内包された精霊の力は、時間経過と共に膨れ上がっている。

 この力を気軽に開放するのは不味いと直感で分かるほどだ。

 魔力の流れを観察し、制御できるように学ぶのが先決だろう。


 もっとも、レグゥの最期の雰囲気からして、こちらを騙す気がないのは伝わっている。

 それでも得体の知れない力には違いないため、用心するに越したことはなかった。

 この辺りの慎重さは、ノルフから教わった部分が大きい。

 本来の私なら、とっくにぶっ放していると思う。


(まあでも、そろそろ試してみてもいいか)


 魔力の流れはだいたい感じ取れた。

 あとは集中すれば十分に制御可能だろう。

 念のためいつでも鉈を捨てられるように意識しつつ、私は鉈にゆっくりと魔力を注いで循環させていく。


 すぐに鉈が発光し、刃に緑色が差した。

 それが真紅に染まり、さらには漆黒へと移行する。

 三色の光が絶えず明滅し、その速度が上がっていった。


「おっ」


 魔力が爆発する気配を感じ、私は無理やり抑え込む。

 気を抜くと危険だ。

 両手で柄を握り、真剣な面持ちで魔力制御に臨む。


 しばらくすると鉈が落ち着いてきた。

 その頃になると、刃は三色の鈍い輝きを放ち、全体から濃密な魔力を漂わせていた。

 力が安定したらしく、制御を解いたが何も起きない。


 私は地上に向かって鉈を軽く振ってみる。

 刹那、燃える風の斬撃が黒煙を散らしながら発射された。

 斬撃は地面に命中し、巨大な亀裂を刻む。

 周囲の草木は派手に燃え、同時に腐り始めていた。


 その結果に私は感心する。


「へえ、面白いな」


「お姉様にぴったりな素晴らしい武器ですわ!」


 風と炎と闇。

 レグゥの持っていた三種の属性が調和している。

 慣れれば属性の切り替えもできそうだ。


(レグゥの野郎……悪くない置き土産だな)


 自己修復機能を持ち、三つの属性を宿す武器なんて滅多にない。

 今回の冒険における一番の報酬だろう。

 その後、私は鉈に"精霊刀"と名付けて、このまま使い込むことを決心した。

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