第八部 第七章 モフモフ
「そう言えば、日本では三峰神社の神の使いで、真神とか大口真神とか言われてるんだっけ? 」
和弘おじさんが呟いた。
「ええ、因みに真神と呼ばれているのは、奈良の飛鳥に真神原って老狼が何度も人間を襲ったんで、神格化されて土地からついたらしいですけどね」
俺がそう答えた。
「また、糞、蘊蓄」
由宇が呆れた顔をした。
「良いんだよ。俺はこういうの好きなんだから」
俺が反論する。
いつもなら険悪になるのに、俺も由宇もモフモフしているから、笑顔だ。
やはり、モフモフに勝てる者など無いのだ。
「本当に好きだよなぁ。犬が」
雄二が苦笑する。
「その業を煮やした御方と言うのは虫みたいなのが言ってるお館様って奴かい? 」
和弘おじさんが聞いた。
「まさか? ありゃ、敵だし」
オオカミが吐き捨てるように呟いた。
「そうか、やはりそうか」
「だよね。わんわんが敵なはずがないもんね」
俺と由宇のモフモフが止まらない。
仕方あるまい。
だって、可愛いし。
「いやいや、本当にこんな事やってる場合じゃ無いんだから」
オオカミがあきれ果てている。
「さあ、約束のものを持って来てない様だから、早く帰れ。それで持ってこい。随分長い年月がかかったが、お前が育ったことでやっと約束を果たせるようになったわけだし」
オオカミが俺に訳の分からんことを言う。
「はあ? 」
俺が驚いた顔をした。
「いや、聞いてないみたいだから聞いてこい。高祖父辺りは知ってるだろう」
俺にオオカミが答えた。
「いや、もう亡くなってますけど」
俺が答える。
「もう、残念だけど、私が離婚する前に亡くなりましたよ」
和弘おじさんも少し残念そうに答えた。
「いや、あれは不死だ。生きているはずだ」
オオカミが答える。
「「「「「は? 」」」」」
何だか、凄い事を言われたような気がする。
何ですと。
「だから、戦争とかでも死ななかったろう。死なないんだからそうなる。あれも決められた代のものだ」
「ええええええええ? 」
俺が驚く。
いや、しかし、高祖父と俺は全然会ってないけど。
「戻ったら分かるはずだ」
オオカミさんが必死に話す。
「分かった。モフモフは嘘をつかない」
俺が微笑む。
「その通り」
由宇も微笑んだ。
「えーと、それで良いのかな? 」
雄二が呟いた。
「「良いんです」」
モフモフは正義だ。




