第八部 第一章 プロローグ
結局、竹の水筒に入れてもらった湯を被ったが、ぬるぬるは取れても匂いは取れなかった。
由宇が近寄らないでって騒ぐので、離れたところにブルーシートでテントを作って、寒いので焚火を焚いて温まった。
凄く悲しい。
何で、こんな事に。
ひもじいので、由宇に頭を下げて肉を貰って焼く。
あの野郎、焼いた肉を竹の皿にのせて竹の長い箸でつまんで渡しやがんの。
鼻もつまんでやがるし。
和弘おじさんが気を使って夜はこちらに来てくれた。
「大丈夫かい? 」
「あまり大丈夫でないです」
「寒い」
俺と雄二が愚痴る。
「とりあえず、弟子たちが少し薪を拾って来てくれたから」
和弘おじさんが薪や枯草を置いてくれた。
「何と優しい」
「ありがとうございます」
俺と雄二がほろりとした。
「何? 私に対する嫌味? 仕方ないでしょ。病原菌が居るかもしれないし」
由宇がグチグチ五月蠅い。
「それにしても、人間が節足動物になるって事なのかな? 」
和弘おじさんが聞いてきた。
「どうも、それっぽいですね」
雄二も頷いた。
「それと、達也のあの赤い瞳も何だったのか。二階堂の約束絡みで何かあるのかもしれない」
和弘おじさんがちょっと深刻そうな顔で呟く。
「逆に私としたら、あんまり関わりたくなくなってきたんですけどねぇ」
俺が真顔で呟く。
「まあ、面倒くさいわな」
雄二も同意した。
「あの、のっぺりとした顔がザコ扱いみたいだし、ちょっと、向こうの世界に行ったら、祖父に頼んで、特別に何らかの形で祖父の政財界での力で、国の特殊部隊とかに頼んだ方が良いような気がする」
俺的にはそうして貰いたい。
「まあ、素人がやる事では無くなってるよね」
「非常食さん、全く役に立たないどころか、足引っ張るし」
「それは言えてるわ」
俺の愚痴に雄二が同意した。
トラブルが多すぎて、一緒に戦ってもらうメリットが無いような気がして来た。
「逆に神出鬼没の山王二号さんのが役に立つかもね」
雄二も愚痴る。
食糧の計算もままならないからな。
結局、非常食さんは帰ってこなかった。
何がしたかったのだろう。




