第七部 第十二章 エピローグ
「非常食さん。ぬるぬるなんですけど」
俺がちょっと怒気を込めて非常食さんに詰め寄る。
「その辺の叢で身体をすりすりしてなすって来いよ」
非常食さんがモンスターと言うより動物丸出しの回答だ。
「俺もぬるぬるすんだけど」
雄二も愚痴る。
「悪いけど、何か汚いのに細菌でも居たら困るから寄らないで」
由宇がきっぱりと答えた。
「「ふざけんなぁ! 」」
俺と雄二が叫ぶ。
「当たり前でしょ」
由宇が引かない。
「とりあえず、中華鍋で湯を沸かして、竹の水筒にお風呂くらいの温度にして渡してくれよ」
俺が由宇に頼む。
「えええ? 水が足りなくなるじゃ無いの」
由宇が無慈悲な答えで返して来た。
「いやいや、どの道一旦戻るしか無いんじゃ無いの? 」
雄二も反論した。
「確かに、それしかねぇよ。全然進んでないから戻りやすいし」
「えええええ? 」
由宇が愚痴る。
「いや、しょうがなかろうよ」
「勘弁してくれよ」
俺と雄二も愚痴る。
「そもそも、あんたが勘違いしたのが悪いんでしようが! 」
由宇が非常食さんに当たった。
「いやいや、しょうがなかろうよ」
非常食さんも困った顔で反論していた。
「ししししししし」
少し離れたところから含み笑いの声が聞こえた。
皆がそこを見ると山王二号さんがいた。
非常食さんが非難されてるのを見て喜んでいるようだ。
「ふんがー! 」
非常食さんが怒髪天の勢いで、山王二号さんを追いかけていく。
「ちょっと、ご飯はどうすんのよっ! 」
由宇が叫んだが、それは無視された。
駄目だ、こりゃ。
「とりあえず、身体は洗わないといけないから、中華鍋で湯は沸かして渡すけど、一度戻ろう。こうなると逆にあまり進んでなくて良かったな」
和弘おじさんの提案でやっと戻ることになった。
「何か、非常食さんが来てから、グダグダだな」
雄二も愚痴る。
俺も本当にそう思う。
俺達は早く元の世界に帰らなければならないのにまだ帰れていなかった。




