第六部 第十章 エピローグ
朝になって見ると、そこは全部平原になっていた。
昨日まで見ていた光景は全く変わっていて、正直、何かに化かされたような気分だ。
「こんな、信じられないことがあるのか」
非常食さんが驚いておられる。
いやいや、熊に角があって球雷とか電気を操っていて、しかも喋るし会話が成り立つ事態が信じがたい出来事なのだが……。
「しかも、地平線が見えるんだけど、こんなのあり? 」
雄二がぼやく。
観光で行った北海道の平原みたいだ。
「どうしょう。誘ってるとも言えるし、約束とかの為に帰るように即しているようにも見えるし、どちらとも言えないなぁ」
和弘おじさんがため息をついた。
「私達の世界がこんな風になっていたとは思いもしませんでした」
「信じがたいです」
お弟子のエルフさん達も同じような感想をしていた。
「どうすんの? 」
由宇が俺に聞いてきた。
「行かないとしようがないな」
俺も考えたけど、その結論しかない。
そもそもが帰らないとどうにもならない。
「実際、約束をほったらかして忘れるのもそうだけど、兄貴みたいに何にも考えないで行動する人間でないと厳しい世界だな」
和弘おじさんが苦笑した。
何か、昔の山奥の村とかの話で、道に迷ったら、ある笑い茸のようなキノコを食べろとか言い伝えがあって村人が実行していたとか言う民話を思い出した。
当時はそんな馬鹿な話って笑ってたけど、確かに笑い茸で恐怖も何も忘れて、ただ自分の身体に身についた習慣だけで帰る形にすれば、迷わず帰れるかもなぁ。
実際、何も考えない親父は出たり帰ったり酔っぱらってやってるわけだし。
「次は酒でも持ってくればいいんじゃ無いの? 」
雄二が笑った。
「いやいや、俺達が命がけになるやん」
俺が由宇の事を思い出して真顔になった。
「ああああ、あったな」
雄二が悲しい顔をした。
俺達を含めて、先生のとこの弟子が集まった会合で、その面白い先輩が少し酒を由宇に飲ませたばかりに、バキバキに関節を外されて、すっかり由宇に恐怖を感じて道場に来なくなっちゃった。
あの時の遅れて来た先生がその惨状を見て、酒飲んだら最強じゃ無いか?
などと苦笑してたのが思い出される。
「何か、言う事でも? 」
由宇がこちらをじろりと見た。
「「いえ、ありません」」
俺と雄二が真顔で答えた。
こんな訳で、俺達はまだ帰れていなかった。
病気で寝てて投稿が遅れてすいません。
単なる風邪だったんだけど、コロナとか警戒されて病院に行くのもしんどいですね。




