第六部 第九章 異常
「当たり前だ。我らの尊敬する四代前の山王と三日三晩戦った二階堂がそんな弱いはずはあるまい。四代前の山王は伝説と呼ばれた角熊だからな」
いきなり、非常食さんが参加して来た。
「まあね。戦った時、素手だったらしいし。あれで重火器持たれたら、そりゃ怖いよ」
和弘おじさんも笑った。
「お前だって、三日三晩戦って笑ってる人が敵で重火器持ってたら嫌になるだろうに」
雄二も俺に突っ込んでくる。
確かに、剛力と呼ばれた怪力だし、九二式重機関銃持って走り回ってたとか聞くしなぁ。
「敵の兵器もすぐ分捕るし、日本兵なのに米兵の武器奪って持って戦ってたりしたから、戦ってるとこ凄く異様だったらしいよ」
和弘おじさんが笑った。
「まあ、あの先生が褒めちぎるんだから、そりゃ、凄いよね」
由宇も参加して来たし。
「あれ? 」
俺が暗闇の中で見ていて気が付いた。
大きな焚火があるせいで見えたのだが、かなり笑えない。
「どうした? 」
雄二が聞いてきた。
「地形が動いてる」
俺が答えると、全員が狭隘地だった所を見た。
左右にあったゆるい崖が静かに沈んで行っている。
ぱっと見ただけでは気が付かないが、じっと見てたらほんの僅かだが動いてるのが分かる。
ぶっちゃけ、左右にあった山が無くなって行っている。
「なんだ、これ? 」
「えええ? 」
雄二と由宇がドン引きしている。
「ど、どう言う理屈なんだ? 」
和弘おじさんも困惑していた。
「何か、どでかいモンスターが下に居るのかね? 」
俺が非常食さんに聞いた。
「分からん。正直、こんなのは見たこと無いな」
非常食さんにすら言われる。
ずっとここで生きている人に言われると困る。
「これ、誘ってるのか。それとも、こちらが警戒して行かなかったから、さらに通りやすくしてるのか分かんないな」
和弘おじさんが散々考えた後に答えた。
「そうか、二階堂が帰りやすくする為に狭隘地を解消したとも考えれる訳か」
雄二が答えた。
「もしくは崖が無くなる過程だったか。ただ、もし、そうでなくて何かモンスターが居て誘ってるならおしまいだな。こんな地形を変えれるような化け物とやり合える訳がない」
俺もうんざりして答えた。
「とりあえず、今日は交代で休んで、明日の朝、見通しが良くなってから考えようよ」
和弘おじさんの言葉が結論になった。
あまりに異常すぎて、ちょっと頭がすっきりしてから考えたい。
雄二が騒がないから、とりあえず、ここでは危険が無いと思いたい。
結局、俺達はその場所で休むことになった。




