第六部 第八章 絶句
「つまり、二階堂家の財源はこの山と言う事か……」
和弘おじさんが絶句している。
「知らなかったんですか? 」
俺が和弘おじさんに驚いて聞いた。
「知らないよ。確かにこれなら、例えば幕府の間者が入り込んできても調べようが無いなぁ」
和弘おじさんが動揺している。
「まあ、こないだの仮説通りなら、二階堂家の長男が居ないと入っても出れないでしょうしね」
雄二が狩るだけ狩って来たのかホクホクで帰って来た。
「ったく、良くやるわ」
俺が呆れて突っ込んだ。
「いやいや、ここで、この辺のゴブリンを始末しておいた方が、先々有利だと思うからさ」
雄二が笑った。
そう言いながら、いつの間にかゴム手袋を由宇から貰って、左手には血まみれの金塊がある。
向こうで解体して来たのだろう。
とんでもない話だ。
「なるほどなぁ。本当に良く分かんない一族だよなぁ。ぶっちゃけ、アホの一族だと思われがちだけど、実際は恐ろしいほど用意周到な一族なんだよね」
和弘おじさんが異様な事を話し出す。
「用意周到? 約束を平気で忘れるどんくさい一族が? 」
俺が唖然として聞いた。
「いや、曽祖父にこそっと聞いた事あるんだけど、華族から降りたのわざとらしいんだ」
「はぁぁぁああぁぁ? 」
俺が眉に唾をつけながら聞いた。
「いや、わざわざせんでも」
雄二が俺が眉に唾をつけたんで横から突っ込んだ。
「いや、あり得ないでしょ」
「そうとも言えないんだ。問題自体が高祖父の演技だったらしくて、華族を降ろされた後にアメリカに行って向こうの財界と関係を結んできた。と言うか、前からそういうルートを持っていたらしい。その結果、戦後の農地改革も華族としての罰も戦犯も全部クリアしている。さらに、陛下の降伏に対してもいろいろとアメリカから配慮されるように動いてたらしい」
和弘叔父が真顔だ。
「嘘くさいんですが……」
「いや、マジだよ。それで曽祖父が例の船坂弘さんと同じような凄い事やったんで、高祖父にやり過ぎだって怒られたらしい。アメリカ側に交渉するのが大変になるって事らしいよ。それで、戦史からも消去されたって愚痴ってた」
「マジか」
俺が信じられなくて瞳孔が開いてる。
「ああ、それなら、納得できる。先生もその先代も達也の曽祖父の事を人間を超えた攻撃能力と不死身って絶賛してたから」
雄二が納得したように答えた。
「アメリカにしたら攻め込んだら敵がラ〇ボーだったって感じだったらしいから」
和弘おじさんが十年前の感覚らしくて、ラ〇ボーの話を出した。
「アメリカの歩兵大隊が何と戦ってんだってパニックになったって話も聞いたから」
雄二がさらにノリノリだ。
意外と、曽祖父の話は雄二も好きなのだ。
「俺はホラだと思うけどな」
「「違うよ! 」」
和弘おじさんと雄二が同時に叫んだ。
えええええええ?




