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第六部 第七章 二階堂金

 暗がりの中で、やはりゴブリンが現れたから、エルフの弓の餌食になった。


 ゴブリンはそれなりの数が居たが、非常食さんが大喜びでナイフのような爪で踊りかかったので、ゴブリンの阿鼻叫喚が凄かった。


 連中を非常食さんが叩き潰したのは本当らしい。


 ゴブリンの恐怖の顔なんて、そうそう見れるもんじゃない。


 ただ、気が付いたら雄二が居なくて隠密的に敵の背後に回り込んで斬りまくってたのを後で知って絶句した。


 金塊が欲しかったらしい。


 恐ろしや。


 由宇も大喜びで、非常食さんにゴブリンを運ばせると解体を始める。


 マジで弟子のエルフさん達がドン引いてる。


「あれは、何をやってるの? 」


 和弘(かずひろ)おじさんが顔を引き攣らせながらゴブリンの解体を次々と行う由宇を見ている。


 大体、どこに金塊があるか分かったから、もう手際が良いんだけど、血まみれのナイフを振るいながらゴブリンの身体の中に手を突っ込んで、あったとか喜んでるのを見るとドン引きだよなぁ。


「ああ、何か、前回解体したら小さな金の塊が内臓にあるんですよ。モンスターの中に」


 俺が答えた。


「ええええ? そうなの? それは知らなかったなぁ。解体しても内臓は捨てちゃってたし」


 和弘(かずひろ)おじさんが驚いてる。


 まあ、寄生虫とか多いから、それで正解なんだけど、由宇の顔は勿体ないって顔してた。


「ほらほら、やっぱりあるよ」


 由宇が嬉しそうに薄いゴム手袋をしているとはいえ、血まみれで小石のような金の塊を水筒の水で洗って俺達に突き出した。


「うわ、本当だって言うか、これ……二階堂金だよね」


 和弘(かずひろ)おじさんが驚いている。


 二階堂金とは地元で有名な二階堂家が水銀で昔に抽出して貨幣として流通していた金だと言われてる奴だ。


 武田信玄が作っていた円形の甲州金に似ているが、二階堂金は精製のせいか凸凹があると言われていた。


 江戸時代と戦国時代に二階堂家が使っていて、単なる小領主では無く隠然とした力を持っていてた証拠とされていた。


 二階堂家は一部で知られている九州の旗本の謎の米良家に似ているのだ。


 米良家は格式は三千高以上の交代寄合に居て参勤交代もあるのに、相良家に客分として居候して、領地が非常に高地の為に何故か総石高十三石しかない。


 しかし、人口三千三百人で一村すべてが皆兵と言うもので、南朝の忠臣である菊池家の末裔で維新では活躍して男爵家に列せられた。


 二階堂家も又、尊皇で知られて、その二階堂金で維新前に米良家とともに倒幕で動いたと言われている。


 ただ、正直、二階堂家の話はちゃんと地方史にもあるんだけど、俺には信じれない。


 実際、維新で男爵家だったんだけど、とても見えねえよ。


 ちなみに第二次大戦前に粗相をやったのか、いつの間にか華族じゃ無くなってるし。


 まあ、訳が分からん一族なのである。


「こんなとこで採集してたのか……」


 和弘(かずひろ)おじさんがショックを受けている。


 その気持ちは俺も分からないでも無かった。


 それだけ、驚きの事実なのだ。


 


 


 

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